君の顔では泣けないのレビュー・感想・評価
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宇宙におまかせの判断が素敵!
ラスト近くで15年も続けてきた入れ替わりを元に戻すかで2人は葛藤します。特に陸(芳根京子・中身は男性)は戻りたくないと言います。まなみ(高橋海人・中身は女性)はその意見を優しく受け入れたのですが、陸が過去の動画を見ているうちに、もうどちらでも良くなって、全て宇宙におまかせしますと2人でプールに入ることを選択します(プールに入っても戻らない可能性もあるのでお任せになったのです)。そして本当に戻ったかは分かりません笑。ラストシーンはいつもの喫茶店で2人は見つめあって微笑むばかりです。このラストが拍子抜けしているようで逆にめちゃく腑に落ちました。私は人生は全て宇宙におまかせで良いという派ですので拍手喝采でした。人生をコントロールしない。頑張らない。思い通りにしようとしないのが一番!?そして15年間も二人は悲喜交々の人生を体験し、やっと本当の戦友(相棒)になれたような瞬間がラストに訪れたので感涙でした。入れ替わりというのをテーマにした「君の名は。」は傑作だと思いますが、この作品はそういうファンタジーなイメージはなく、逆に実に山あり谷ありの繊細な生き方に対する感情を、リアルに描き切っていますのでこちらも傑作だと思いました。しかも入れ替わっても性的な下ネタには一切触れません。それがさらに重厚感を増しているのでしょうか?あと、入れ替わりというと魂と肉体が分離していることを想起させますが、それはまさに人間は常に生まれ変わるという考え方が一般的になってきたという証左なのかもしれません。
追記 会話と会話の間合いがたっぷりあるのが実に素晴らしかった(奥深いです!)。ヒロインの高校生役と芳根京子は本当に眼福でした!!
異邦人として生きていく
入れ替わる不思議。年齢に沿ったことをしているはずなのに、正解じゃない気分がする。普通、をしているはずなのに違う。なにか、間違っている気分。何かがずれている気分。誰しもが大人になる時に感じる違和感やその痛みがあまりにリアルに描かれている。「異邦人」という名前の喫茶店で会う2人。恋人もいて、仕事もあって、何も間違ってないはずなのに、自分が自分じゃないような気がする。俺、間違ってないよな?と聞く。まさに、自分が異邦人のような気がして不安なのだ。一緒に大人になってきたはずなのに、どんどん形が変わっていくお互いを、お互いの形で、認め合う空間。
私たちみんな、どこかのタイミングで誰かと入れ替わって生きてきちゃったのだろうか。どうしてこんなに共感できるのだろうか。どんどん家族との関係も変わっていって、兄弟は知らない内に大きくなる。大学に入ってイメチェンもしてみて、守りたい人もできて、どんどん大人になっていく。なのに何か違う。相手の人生を羨んで、憎くなる。そんな自分が惨めなのに、泣きたくても泣けない。親が死んだって、本当の自分でいられなくて、苦しい。親の前ですら、泣けない。本当にリアルで痛かった。どんどん変わっていく自分に気づかないふりをして、生きていく。
高橋海人くんはとてもいい演技をする。声のトーン、仕草、視線。ああ、本当に彼の体に間違って入っちゃったんだね、と思わせる。お父さんが亡くなったことを知らせる電話、不安と喪失感に溢れた声、声だけなのに、声は男性のはずなのに、女性特有の滲み出す脆さのようなものが感じ取れる。不思議だ。「だが、情熱はある」でも思ったが本当に繊細で綺麗な演技をする。
戻ったって、救われるかわからない。あの頃の自分はもういない。それでもいいのかは、分からない。2人とも、今の姿を受け入れて生きているのに、あの頃の、高校一年生の頃の自分が消えない。ずっとあの頃の自分を慰めて生きている。こうするしかない、これでいいって。心の中であの頃の自分が戻りたいって泣いているのを、頑張って無視する。
ありえない話のはずなのに、妙にリアルだ。みんな、あの頃の自分と、今の自分のズレを無視しながら生きている。その痛みとも似た感情を非常に新しい方法で描写した作品。沁みる。
個人的には最後、元の体に戻ったような気がする。坂平くんは冒頭から先に着くや否や太ももをさする仕草を何度かしていた。最後、先に座っていた坂平くんが同じ仕草をしていた。
戻っても、そうじゃなくても、生きていく。異邦人として、生きていくんだろうな。
芳根京子さんはあらためて綺麗と言いたい!
芳根京子さんは中味が男の子を上手く演じてましたね。しゃべりだけでなく、歩く時に綺麗な女の子なのに少しガニ股歩きで(演出とは思いますけど自然に)本当に中味男の子に見えました。
髙橋海人さんも女の子してました。けど、男は演るとオネエっぽく見えてしまうのは私だけか?
ストーリーは二人が互いを知って好意を持って付き合うという展開はなかったのは意外でした。ラストが元に戻っても、戻れなくても後悔しない話にいったのは好印象でした。
15年の間で変わったものと変わらないもの
自分だったらどうするのか
ファンタジーなのにどこか本当にあるんじゃないかと思わせるリアリティを感じる作品。
入れ替わって戻ることなく15年過ぎる。
生まれてきた15年と入れ替わっての15年は実は分岐点としても思い出としてもこちらの方が濃厚なんじゃないか。お互いに戻ることを考えて、相手のことを考えての15年。しんどい…。女性だからまなみの気持ちもわかるし、結婚して子供もいるから陸の気持ちもわかる。2人が本当に孤独で可哀想で陸とまなみを抱きしめてあげたくなる作品だった。どちらにも幸せになってほしい。
そして、本当に役者さんが上手くないと成り立たないこの作品に挑んだ芳根京子さん、髙橋海人さん、西川愛莉さん、武市尚士さんに拍手。拍手。陸の弟役の林裕太さんも素敵でした。
あ、笑えるシーンも前半はちょこちょこありました。ソファーベッドと“コーラください!”は笑った。
評価に“泣ける”を付けましたが、私は泣いてないです。どちらかというと“せつない”かな…
見た後の余韻が抜けない
観た後に心を支配される映画
2人の幸せを願わずにいられない
こんなに見ていて苦しくなる入れ替わりものがあっただろうか。
主演の芳根京子さんの陸も素晴らしかったけど、自分が女性だからか、髙橋海人さんのまなみに感情移入してしまって、とても胸がぎゅっと苦しくなる場面が何度もあった。
いつ戻れるのか、そもそも戻れるかも分からない状態で15年。
完全に相手の代わりとして生きるには長過ぎる年月。
自分の人生としても生きたいし、相手に体を返す時が来るかもという配慮も必要で。
最後はどうなったのか、見る人によって答えが変わるのもおもしろい。
入れ替わりものの新境地
近年稀に見る良作
共感の困難と大切さを描くリアリズムファンタジー(!?)の傑作
心と体が入れ替わり、別の人の人生を生きる「入れ替わりもの」のファンタジードラマだ。まず思い出すのは大林宣彦監督の「転校生」(1982)。他にも「フォチュン・クッキー」や東野圭吾原作の「秘密」なども同ジャンルだろう(最近の映画では「パパとムスメの7日間」「君の名は。」などもあるけれど、僕は未見だ)。
定番ジャンルの中でも、本作は異色の仕上がりであり、新たな達成を成し遂げた傑作だと思う。まずは原作の力が大きいのであろうし、同時に監督の脚色・演出にも非凡な力量と志の高さを感じさせられた。たまたま時間があったので見たのだけれど、若い人向けの恋愛ファンタジー映画だと思って、見逃してしまったらもったいなかった。
異色と感じたのは、演出やエピソードの数々が徹底してリアリズム寄りであることだ。
「入れ替わりもの」は、荒唐無稽なif設定が面白さの原点だ。だから「転校生」はあり得ない状況が次々起きるドタバタ喜劇として楽しいし、「秘密」はその悲劇性が高まった。それによって男女の絆は高まり、切ないラブストーリーとして完成した。
一方本作は、出発点は非現実なのに、そこから先の物語は「実際に入れ替わったら、こうなるかもしれないな」と感じる現実感に満ちている。「自分がこうなったら、どうするだろうか?」といちいち考えさせられる。物語は、何度もifを発し、その答え合わせを、時間軸を行ったり来たりして見せてくれる。
主演の4人も、とても抑制された演技で素晴らしかった。大きな声で叫んだり、泣いたり、顔芸のような日本映画の感情表現が、嫌いなこともあるけれど、彼らが現実の若者と重なって見えて、とても好ましかった。
さらに、音楽もかかっていたのか思い出せないほどだ。だから、家から追い出されて、自分の背後でガチっと鍵がかけられる音など、生活音がはっきり聴こえて、それがまた「もし自分が主人公だったら」という思いを強くさせてくれる。あるいは、主人公が呆然する場面でも、無音のまま、ただ動きも音もない時間を撮影し、こちらも呆然とさせてくれる。
そのリアリズムこそが、本作を傑作へと高めた最大の理由だと思う。
また、それによって本作は、私たちの社会の基礎となっている「個人の尊重」「平等・公正」を標榜する自由主義(リベラリズム)の原点を問い直す作品になっていると感じた。
自由な社会を実現する基礎は「他人の気持ちになって考える」「相手の立場になってみる」ことにある。それによって弱者を尊重する公正な正義も、道徳も作られて、自由が保障されるのだ。
「入れ替わり」は、「相手の立場になって考える」の究極の形だ。そして、本作は、その大切さと困難をリアルに徹底的に何度も示してくれる。
相手の立場になって、相手が理解できた! 共感し、深い絆が生まれた!!
本作では簡単にそうはならない。
「相手の立場」なっても、意識は自分自身のままだ。相手の気持ちは分からないし、自分の気持ちも分かってもらえないーー「共感は不可能だ」という絶望的な事実を何度も突きつける。だからこそ、対話を継続して、その不可能の溝を埋める努力を続けるしか道はないことも、本作は表現している。
リベラリズムなどと大げさな言葉を持ち出したのは、近年かなり揺らいでいるからだ。「私の気持ちはないがしろにされている」「社会に公正さはない」という分断が世界に広がり、日本にもその波は来ている。
本作は、もう一度、共感=相手の立場になってみるとはどういうことか。それはいかに困難か、それでも続けるべきことかを伝えている。
男子の陸に比べて、女子のまなみの方が、共感力やコミュニケーション能力に優れている。だから、まなみは陸くんのうまくいっていない家族に入り込み、そこに温かい関係性を築き上げる。
陸は逆に、まなみの優しい両親にイライラして関係を悪くしてしまう。陸も薄々は自分がダメなことをわかっているが、だからこそうまくできない自分にイライラし、怒ってしまう。これには僕も大いに心当たりがあるし、多くの男性が共感するところではないだろうか。
いくら立場や状況を変えても、自分からは逃れられない。その厳しい現実をどう乗り越えていくのかーー様々に考えさせてくれて、余韻が大きい。
今を大切に生きる
表情、佇まい、目線まで
彼は彼女にしか見えなかったし彼女は彼にしか見えなかった
芳根京子さん髙橋海人さんのナチュラルな演技に魅了されました
異邦人で会う時だけが唯一の素の自分だったのかな
ラストが原作から少し踏み込んだ形でそこも良かった
2人の人生を温かい目で応援する映画
入れ替わりが映し出す、ふたりの「本当の人生」
塚地武雅とガンバレルーヤよしこで同じ設定でやってみろ!
2025年劇場鑑賞320本目。
エンドロール後映像無し。
上の情報だけ見られるようネタバレ無しにしてありますが、実際はネタバレしないと感想が書けないので下の方に書きます。ネタバレ嫌な方はここまでにしておいて下さい。
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「転校生」や「君の名は。」などの映画や、アニメの単発回ではよくある入れ替わりですが、そのまま戻れず十数年経つというのは初めてです。
普通なら男の体に入った女の子が「えっち!私の体見ないで風呂はいって!」と無茶を言うのが入れ替わりあるあるなのですが、今作はそれどころか率先して人の体で女の子とエッチしてしまうというのにヒいたのですが、男は男で女の子の体でエッチしてしまうんですよね。心が女で女の子とセックスするならそれはレズだし、逆はゲイなのでは?異性を演じているうちに感覚がおかしくなって来ているという話はしていましたが。そもそも、エロ漫画なら一億パーセント入れ替わったままセックスして「すごいっ 気持ちいい所全部分かってるっ!」っていうやつでしょうが!セックスしないにしてもフリだけでも付き合ったことにしておけばお互いの家族に自然に会えるし、万が一入れ替わりか終わっても変化を最小限にくい留められるし、子供ができたって入れ替わりが終わっても生物学的に自分の子供のままなんだから。
最後の観客の想像にお任せしますも自分が一番嫌いな終わり方で気に入らないです。服装が今まで
とセンス違うから元に戻った説も見ましたが、映画の作り方として、もしどちらでも好きに想像してくださーいだけだったらプールに飛び込む所で終わって良かったと思うのですが、わざわざ喫茶店のシーンを入れたということは、元に戻っていたらもう会う必要ないはずなので(旦那さんに浮気だと疑われてもおかしくない)戻ってないのではないかと自分は思いました。
ただ、他の時は今何歳か数字が出ていたのに、あのシーンだけ数字がなかったので飛び込む前より前の時代の可能性が残ってはいるのですが、さすがにそれやられたらなんでこのシーン入れたんだという。
そしてこの入れ替わり後、イケメンと美人だから彼氏彼女できたんですが、こっちは入れ替わってないけど全然彼女できてねぇぞ!塚地武雅と、ガバレールヤよしこでやったらこの映画成立するかやって欲しいと思います。
入れ替わった2人に違和感なかった
男女の入れ替わり映画は、大学生の時に鑑賞した大林宣彦監督の「転校生」が面白かったですが、今作は泣けました😭。
芳根京子さんも髙橋海人さんもセリフや仕草など、私には全く違和感ありませんでした。途中分からなくなってしまった時がありました。
お葬式での坂平の弟との雪ダルマの話しをするシーンは、胸が熱くなってしまいました。
2人の家族も良い人ばかりで(片岡礼子さんは少し怖かったけど)、「あのような家族なら、きっと戻りたいだろうなぁ」と思いました。
結婚後の旦那(前原滉)さんも良い人で、「この旦那さんとお子さんがいるなら、もう戻りたくないだろうな」と思う自分がいました。15歳で入れ替わって、その倍の年数を別の人生を生きてきたということは、2人にとってはどうだったでしょうね…
芳根さんは2018年の「累」でも口紅というアイテムを使って自らの意思で土屋太鳳さんと入れ替わってましたが、この時は、鑑賞していて2人が判らなかったことを思い出してしまいました😅。
優先するのは「心/ファンタジー」か「体/現実」か
タイトルで、ああ「転校生」ね、と解ったし、高橋海人さんの演技が芳根京子さんと釣り合うのだろうかと思いましたが、入れ替わったまま15年経ってしまうという話に惹かれて鑑賞しました。
高橋さんは男っぽい雰囲気と中性的な面を併せ持っているので、この役にピッタリでした。
芳根さんは、”実は男である”という演技は上手じゃないですね。座って膝に手を置く時に脇を締めていたり、仕草が女っぽ過ぎました(実際には、仕草が美しい男性はいますが、映画的には表現が分かり易い方がいいので)。結果的に、2人のバランスは良いと思いました。
高校時代を演じた西川愛莉さんと武市尚士さんは良かったです。陸の弟役の林裕太さんも存在感がありました。
互いの心と体が入れ替わったまま戻れないという発想は良かったですが、葛藤が描き切れてないと思いました。
15歳でいきなりプールに落ちるところから始まったかと思うと、突然30歳に飛びます。
2人の元々のキャラクターも、入れ替わりでどれだけショックを受けたかも省略です。長い期間の話なので時間が足りないとは思います。
すごく気になったのは、時系列がしょっちゅう行き来するので、2人の心境の変化が全く伝わらない事です。あの時のあの態度は、実はこういう気持ちだったから、という答え合わせのような展開です。
初めはショックを受けながらも、戻れると信じてお互いの体や生活に気を配ったり、希望と絶望の間で感情が揺れ動いたでしょう。励まし合ったり、罵り合ったりもしたでしょう。そこがすごくあっさりだし、2人の気持ちに温度差も生じたはずですが、その部分が分かりませんでした。
本作は、外見(身体の性)と内面(心の性)のギャップに重点を置いたのかもしれません。
だとすると、もっと繊細に描いて欲しかったです。
陸(心は女性のまなみ)が17歳で童貞を捨てた事。求められたのが嬉しかったと言い、相手の心と体の事は気遣わないまなみ。その後も多くのセフレ(当然女性)を持つ事に抵抗は無いのか。
まなみ(心は男性の陸)は、田崎に迫られて体を許してしまう。陸は自分の親友と交わる事に抵抗は無かったのか。
入れ替わった頃の陸はまだ少年で華奢で肌もスベスベ、それがだんだん体格がゴツくなり、髭も濃くなって、可愛い物が好きだったまなみは嫌悪感や絶望感が増していった、と思います。
まなみの外見は美しくなっていき、男の陸は女性のリスクを何度も実感したと思います。
男子を割と中性的にして、リアルな嫌悪感を軽減していると思いました。時間も足りないことだし、2人の気持ちを中心に描いてくれれば、もっと感動できる作品になったと思います。
陸の母親をヒステリックな人物にしたのは、原作通りなのかもしれませんが、余計だなと感じました。まなみ(心は陸)が戻らなくても良いと考えた事にそれが関係していたのかが分かりませんでした。
全255件中、141~160件目を表示
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