「自分達を大切に俯瞰し合える幸せ」君の顔では泣けない ぱいらさんの映画レビュー(感想・評価)
自分達を大切に俯瞰し合える幸せ
先に白状するとこの映画は時間潰しを目的に鑑賞を決めた。この点は先に詫びねばならない。大変申し訳なかった。非常によく出来ていた。
「君の名は。」をはじめ、男女の入れ替わりの作品は数多く存在する。本作はそんな雑多の中の1つだろう、と思っていた。そんな事は全くなかった。
寧ろ切り口としては全く別角度。しかもオチまでちゃんとしている。恐れ入った。
作品は題材と打って変わってドキュメンタリーチックな仕上がり。作風としてリアリティが役者に求められるが髙橋海人さん、芳根京子さんはそのハードルを上手く乗り越えられたと思う。特に髙橋海人さんの演技力は自分の予想を遥かに超えていて、ヒロイン(?)の水村まなみを熱演して下さった。本当に女性のようだった。女性のような男性だった。
またこの作品、衣装もかなり凝っていて、当時の流行を上手く取り入れており、よくある現代のみの時代考証で作中の過去のリアルを片付けていない繊細な点も評価できる。
終始落ちついた雰囲気で物語は進むが、この作品、恋愛映画と思いきや人生ドラマ映画。恋愛要素も確かに内包するが焦点はそこではなく、入れ替わった2人が互いが元に戻れない事の苦さを様々なシチュエーションで覚えながら、互いの人生を支え合い生き方を模索してきた様子を振り返るといった内容。2人ともやってる事は普通なのに題材のお約束とは程遠い事を平然とやってのけてるせいでこれがまぁ面白い。同じようで同じには進まないから。
逆に他の男女入れ替わり系のお約束みたいなものは控えめであった。
鑑賞後の満足感もあって久々にパンフレットを購入した映画だった。
ドラマ系としてはよく出来ている反面、キャストのファン層の好みよりかは大人向けの映画ではあるのは留意して見に行った方がいい。
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