「優先するのは「心/ファンタジー」か「体/現実」か」君の顔では泣けない ゆり。さんの映画レビュー（感想・評価）
優先するのは「心/ファンタジー」か「体/現実」か
タイトルで、ああ「転校生」ね、と解ったし、高橋海人さんの演技が芳根京子さんと釣り合うのだろうかと思いましたが、入れ替わったまま15年経ってしまうという話に惹かれて鑑賞しました。
高橋さんは男っぽい雰囲気と中性的な面を併せ持っているので、この役にピッタリでした。
芳根さんは、”実は男である”という演技は上手じゃないですね。座って膝に手を置く時に脇を締めていたり、仕草が女っぽ過ぎました（実際には、仕草が美しい男性はいますが、映画的には表現が分かり易い方がいいので）。結果的に、2人のバランスは良いと思いました。
高校時代を演じた西川愛莉さんと武市尚士さんは良かったです。陸の弟役の林裕太さんも存在感がありました。
互いの心と体が入れ替わったまま戻れないという発想は良かったですが、葛藤が描き切れてないと思いました。
15歳でいきなりプールに落ちるところから始まったかと思うと、突然30歳に飛びます。
2人の元々のキャラクターも、入れ替わりでどれだけショックを受けたかも省略です。長い期間の話なので時間が足りないとは思います。
すごく気になったのは、時系列がしょっちゅう行き来するので、2人の心境の変化が全く伝わらない事です。あの時のあの態度は、実はこういう気持ちだったから、という答え合わせのような展開です。
初めはショックを受けながらも、戻れると信じてお互いの体や生活に気を配ったり、希望と絶望の間で感情が揺れ動いたでしょう。励まし合ったり、罵り合ったりもしたでしょう。そこがすごくあっさりだし、2人の気持ちに温度差も生じたはずですが、その部分が分かりませんでした。
本作は、外見（身体の性）と内面（心の性）のギャップに重点を置いたのかもしれません。
だとすると、もっと繊細に描いて欲しかったです。
陸（心は女性のまなみ）が17歳で童貞を捨てた事。求められたのが嬉しかったと言い、相手の心と体の事は気遣わないまなみ。その後も多くのセフレ（当然女性）を持つ事に抵抗は無いのか。
まなみ（心は男性の陸）は、田崎に迫られて体を許してしまう。陸は自分の親友と交わる事に抵抗は無かったのか。
入れ替わった頃の陸はまだ少年で華奢で肌もスベスベ、それがだんだん体格がゴツくなり、髭も濃くなって、可愛い物が好きだったまなみは嫌悪感や絶望感が増していった、と思います。
まなみの外見は美しくなっていき、男の陸は女性のリスクを何度も実感したと思います。
男子を割と中性的にして、リアルな嫌悪感を軽減していると思いました。時間も足りないことだし、2人の気持ちを中心に描いてくれれば、もっと感動できる作品になったと思います。
陸の母親をヒステリックな人物にしたのは、原作通りなのかもしれませんが、余計だなと感じました。まなみ（心は陸）が戻らなくても良いと考えた事にそれが関係していたのかが分かりませんでした。
コメントありがとうございました！
《入れ替わった頃の陸はまだ少年で華奢で肌もスベスベ、それがだんだん体格がゴツくなり、髭も濃くなって、可愛い物が好きだったまなみは嫌悪感や絶望感が増していった、と思います。
まなみの外見は美しくなっていき、男の陸は女性のリスクを何度も実感したと思います。》
ゆり。さんのこのコメントに本当に共感しました！！若い時は男を楽しんで遊んでいても、男性特有の骨っぽさや筋肉のつき方、男臭いというか、匂いや髪やヒゲ、体毛のちょっと不潔さ？みたいなものを歳や年月を重ねる程に徐々に気付いたりそれを嫌でも所有しなければいけない、心とのギャップがでてきますよね。入れ替わってなくても白髪や顔や身体のシワたるみや老いを受け入れられないのに、ましてや他人の身体でその変化を受け入れるのは苦しいですよね。
お互い立場逆転するのが切ない…。
今回私はまなみ寄りだったので、逆に陸の気持ちや立場になって考えたくて、明日もう一度映画館に行ってきます。
2度目のレビューしたい〜！
性差の影響とか、どこまで相手の人生を優先させるかとか、あるべき葛藤が薄かったですね。
田崎との馴れ初めに時間かけすぎ。笑
芳根さんの演技は、「はしゃいでるアピールする3軍男子」なので男っぽくし過ぎなかったのかも。
ほぼ芳根さんの陸の心の不安を描いていました。よかったです。
難しい役所だと思います。
芳根さんだったのでみました。
他のひとだったら観てないかも。(笑)
共感・コメントありがとうございます！
＞互いの心と体が入れ替わったまま戻れないという発想は良かったですが、葛藤が描き切れてないと思いました。
一番気になるのがここなんですよね。元々どのような性格の主人公たちだったかが分からないままなので、自分もこの部分はモヤモヤしたままでした。原作を読めば解決するかもしれませんが、読みかけの原作本が沢山あるので、解決はだいぶ先になりそうです。
たびたびすみません。
確かに山もなければオチもない、ですよね。
あの冷たいお母さんの態度には、本を読むと
分かるるだそうなんですけど、読む気も起きないし。
今の若い人って、変に繊細で、絶対に踏み込むな！！
オーラ出したり、してますよね。
姪や甥っ子でも、距離を感じてます。
共感＆コメントありがとうございます。
なかなか観ていても歯痒い映画でしたね。
もっと面白くできそうだし、ラストでは
ボロボロ泣けてもいいはずなのに、敢えて
感動に蓋をする・・・みたいなラストですし、
やはり陸（芳根京子)が父親の死に直面して、
他人のまなみが泣いてたら、変な人・・なので、
お母さん（片岡礼子)の冷たさが、わたしには堪えました。
切ないのに、観客も泣けない映画でした。
共感&コメントをありがとうございます！ラストシーンでは外見 陸の佇まいにも注目してみていました。おっしゃる通り、基本的に陸視点（外見まなみ）で描かれているので、まなみ視点が入ると、より解像度があがるように思います。
共感ありがとうございます。
設定は凄く良いのに、今一つ弾けなかった印象です。
中盤以降のテンポの悪さ、男（中身女）が常にイライラしてるだけ、27と30の行き来も影響してると思います。夫や子にとっての自分（中身男）で無くなっていいのか？という葛藤も今一つ。
“子犬”林くんは今作でも良かったですね。
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