「あなたの顔では“泣くに、泣けない”現実が伝わり、切ない。」君の顔では泣けない 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
あなたの顔では“泣くに、泣けない”現実が伝わり、切ない。
芳根京子と高橋海斗の繊細な演技力にハナマル🌼
とても演技力を必要とされ、試される映画でした。
高一の夏、同時にプールに落ちたまなみと陸は、
身体が入れ替わってしまう。
この映画が“入れ替わり“の映画としてかなり特殊なのは、
15年後の30歳になっても、そのまま入れ替わっている点。
15歳の坂平陸を西川愛莉が、成人してからは芳根京子が、
15歳の水村まなみを武市尚士が、成人してからは高橋海斗が
演じています。
【まあなんと言っても、喫茶店「異邦人」の時間ですね。】
一年に一度、7月の第三土曜日の昼間に2人は会う約束をして
実際にどこからでも駆けつけて、
まなみと陸が唯一本音で語り合い、現状報告して、
悩みを打ち明ける場所。
いつも話題になるのは、
【どうしたら元に戻れるか?】なのが、辛いけど
2人はかなり前向きだし、境遇を受け入れていて、強い。
いつも、じゃあ頑張ってと、ハイタッチで別れる。
喫茶店・異邦人が息抜きであり、ボヤキの場所なのであり、
陸であるまなみ、まなみである陸に還る空間。
芳根京子が自分を俺という自分に帰るし、
高橋海斗はオネエっぽい仕草が上手い。
★★そして映画は、もうとっかかりの冒頭で、
既に30歳になっています。
そしてアトランダムに回想シーンが現れる。
1歳〜15歳の自分と、
15歳〜30歳の自分を振り返っても、
急激に見た目も変わり、経験値も多くて、変遷したのは
15歳から30歳の方ですね。
私がかなり悲しくて響いたのは、
17歳の時かな?
陸の家にアポなしで訪ねた“あかねの外見の陸“
お母さん(片岡礼子)の素っ気なくも迷惑そうな様子。
殆どはっきり拒否されてしまう。
私なら泣いちゃうし、心が折れちゃうよ。
この映画は、そこんとこで、冷静に自己分析、
状況判断するのです。
そして節目節目があり、
27歳では、まなみの切迫流産の危機・・・
芳根京子が自分が死んだら、まなみの中の陸を《殺してしまう》と、
怯えるシーンは印象的。
自分の身体が自分のものであって、自分のもので無い、
そんな微妙な描写がすごいですね。
あとひとつ、
何歳だろ?
25歳くらいの時に、陸のお父さんが突然亡くなってしまう。
芳根京子にとっては実の父親が亡くなった・・・事になる。
《本当に“君の顔では泣けない“シーンが連発します》
このシーンで陸の弟役で、林裕太が出てきます。
このシーは、良くて、
喫煙をしにきた金髪・ピアスの林裕太が、父親の思い出話を、語るんだけど、
林裕太ってなんか良いんですよねー。
「愚か者の身分」を観てないと気が付かなかったかもしれないけど、
林裕太=スペシャル感あります。
滅多に降らない雪が積もって、兄の陸と一緒に雪だるまを作ったけど、
溶けるのが惜しくて冷凍庫に入れた。
お母さんにこっぴどく叱られた2人。
「翌日、冷蔵庫に何が入ってたと思いますか?」
そこでまなみが即答してしまう。
(実はお父さんが雪だるまの写真を撮って冷蔵庫に入れておいた・・・
(なんて優しい、そんなお父さんの顔を陸である芳根京子は、
(覚えていなかったのです・・・めっちゃ切ない)
林裕太は、不思議に思い、
「なぜ知ってるの?」って顔になります。
もちろん、「陸から聞いて知ってた」って答えるんだけど、
芳根京子はここででも泣かない。
泣けないのです。
本当に題名通り、
泣きたいシチュエーションを耐えて堪えて、
泣かない映画です。
微妙で繊細な描写に目を奪われ、
入れ替わっちった2人にホント切なくなる映画でした。
水村家の時のように2人で行った方が絶対スムーズなのに、何故陸は1人で坂平家に行ったのか…
息子の同級生が、息子がいないのに上がり込んで来たら普通に変でしょうに。
水村家の両親も「もしも」の話とはいえ言動が不自然で、主役2人の感情を動かすための作為を感じてしまいました。
共感ありがとうございます!
陸の心のまなみが陸の家でキレた時と、病室から不安でまなみの心の陸に電話を掛けた時のギャップが、そのまんまタイトルになっているんだなと気付いたときに、ものすごく切なくなりました。でも最後が元に戻れるかどうかを「お任せ気分」でプールに飛び込むのはちょっと残念に思いました。あれほど喫茶店で二人で話し合ってい会たのだから、何らかの結論は出して欲しかったです。
切ないお話なのに、中々核心に迫らなくて歯がゆかったです。まなみ(陸)が結婚を陸(まなみ)に伝えたシーンはどうして無いんだろうと思いました。これは裏切り行為ですから修羅場だったのではと思うんです。
陸の両親は不仲だったように見えましたね。入れ替わり前の陸が家庭に悩んでいたとかなら別ですが、映画だけでは分からなくて、あのお母さんは何?って感じでした。芳根さんが弟と話す場面はすごく良くて、陸の悲しみは伝わりましたが。
共感ありがとうございました。「君の顔では泣けない」って、とってもキャッチーなタイトルですよね。でも、君の顔のままでは泣けない、本来の姿を取り戻して、自分の顔で心の底から思い切り泣きたいのだ、と考えると、すごく悲しい話です。もし戻れてもそれまで積み上げてきた生活を捨てる事になるからどちらにしても辛いでしょうが、自分に嘘をつき続けて生きるより戻れた方が良いのかなとも思いました(大人になれば何かしら嘘をついて自分を騙し騙し生きていくものですけれど)。
考えると悲しくなるので、琥珀糖さんのおっしゃるように「泣くに泣けない切ない気持ち」の演技に魅了されてキュンとするのがきっと正解です。
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