サターン・ボウリングのレビュー・感想・評価
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監督はリスクないとか言ってだけど…監督ぅ〜!
何の予備知識ないままに観る事をおすすめします。
導入直後、1人の男を丁寧に追いかけていく物語構成に単調さを感じたりもしましたが、疎遠だった兄やマフィアのような猟友会のメンバーが出てくる事で「主人公の身に何か嫌な事が起こるのではないか」と不安が増殖していきました。
そして…中盤の展開に唖然!
上映前に監督自身による日本語でのメッセージがあり、「リスクはない」と仰っていたんですが、とんでもない。
観る人によっては精神的にダメージを負うかもしれない「リスク」がしっかりありましたよ。
この手の作品が好きな者からしたら手を叩いて喜べる展開なんですが、苦手な人には徹底的に嫌われそうな展開でした。
人を選ぶ作品であるのは間違いないんですが、あの終わり方といい、全編に漂う空気感といい、「犯罪映画」に括られる作品が好きな人は間違いなく劇場に行った方が良いです。
物語がありきたりなだけに描写を楽しむ事に集中できる作品なので是非「犯罪映画」の世界にどっぷり浸ってみて下さい。
ハンター用?ククリナイフじゃね?
相続でボウリング場オーナーとなった刑事と、そのボウリング場の支配人になった腹違いの弟と、町の墓地で死体が次々にみつかる連続殺人事件の話。
猟友会メンバーでボウリング場経営者でもあった父親が亡くなり相続したギヨームが、前科こそないが暴力的でプータローの弟アルマンをボウリング場の支配人として雇って巻き起こっていくストーリー。
運営に口を出さない条件とはいえ、収益目標とか報酬とかの話しも無しですか?な慌ただしい船出から、予想通り鼻高々で勘違いした様子をみせるアルマン…と思ったら、どんな癖だよ!
そして1ヶ月後、墓地から埋葬されていない遺体が!となって行くけれど、観賞者的には誰が犯人かわかっている訳で、犯人捜しのサスペンスでは無いし、猟友会と活動課のVS物語でもないし、もちろんその間を取り持つギヨームをみせる訳でもないしw
ということで刑事と犯人がどう交わっていくかをみせる、ちょっと変わった物語で、ラストは急に駆け足だし妙にあっさりだったけれど中々面白かった。
女性監督が描く有害男性性
《試写会にて鑑賞》
この作品はとても深いです。
スローテンポ&セリフが少なめなので
退屈に思ってしまいがちですが、その分、
メタファーやモチーフがてんこ盛り。
この意味がわかるとかなり楽しめると思います。
例えば…
一階にあるボウリング場は父の「胃」
避難用ダクトは父の「食道」
5階の部屋は父の「脳」
車のドアからなびかせているスカーフのシーンは
母親を恋しがっている…など。
ちなみに犬は父親の小さな霊というイメージだそうです。
犬がベッドを占領してアルマンに追い払われるシーンは
大嫌いな父に抵抗していることになります。
この兄弟はどちらが悪くてどちらが善人というわけではなく、どちらにも問題ありありなところが斬新。
また、ヒムパシー、フェムサイドというテーマも盛り込まれています。
アルマンが父親と同一化していく過程が見所。
そしてなんと、監督の息子が主演!
よく全裸で演技できたなあと感心。
解説を聞いて2回目観るのが楽しみになりました。
より面白く鑑賞できそう!
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