九月と七月の姉妹のレビュー・感想・評価
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主従関係を“絆”とする姉妹の哀しさ
わずか10カ月違いで生まれた気の強い姉と内向的な妹。常に姉に従う立場の妹が、学校で虐めを受け続けた事をきっかけに…
ヨルゴス・ランティモス監督のパートナーの初監督作という宣伝で、一筋縄ではいかない内容ではと察していたが、いざ観たらやっぱりその通り。粗筋を説明するセリフの省略、中盤以降から発動する観る者の心をざわつかせる音響(『関心領域』のスタッフが手がけたと知り大いに納得)、そして何より絶対的な主従関係にある姉妹のミステリアスな存在に至るまで、作品全体がなんとも言いようがない不穏に包まれている。
とにかく主従関係を絆の証にしていた姉妹の姿が哀しさを誘う。彼女達がカースト制度のあるインドがルーツなのも意図した事なのだろうか。ついでに言えば、妹を虐める生徒の中心人物が車いすの女子というあたりに(演じた女優自身が脳性麻痺を抱えているとの事)、「障碍を持つ者も悪さはする」というファレリー兄弟作品を思い出させた。
ストーリーの終盤にさしかかる前でオチがぼんやりと分かってしまったのが残念だが、鑑賞後に原作を読み、作者がスティーヴン・キングのファンと知って腑に落ちた。というのもストーリーがキングの某小説と重なる箇所があるし、何よりも冒頭での姉妹の振る舞いが映画化されたキング小説へのオマージュとオチの伏線にもなっているではないか。実にしてやられた。
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