KNEECAP ニーキャップのレビュー・感想・評価
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ドードーを解き放て
言語や社会問題など、理解が難しそうとは思いつつ、予告で興味を惹かれて鑑賞。
導入の語り口は別にいいのだけど、なんだか“ノリ”が合わない。
これは本来的な問題ではないのだが、字幕の文字情報が早くて多いのも疲れる。
一つの曲の中で、歌詞が下に出たり右に出たり、歌詞以外の情報が左に出たり…忙しい。
主人公たちも好きになれず、早々に睡魔とバトル。
確かにポスターにも「クズ」とは書いてあるんだけど、JJ以外の2人が擁護できないんですよ。
理不尽な弾圧で捕まるとかじゃなく、ドラッグを売る、どころかライブで配るし。
JJはJJで煮え切らない態度にモヤモヤ。
言語やアイデンティティの問題とは別のところで応援できないのはツラい。
また、リリックが全然刺さらなかった。
個人的にラップは、韻を踏むという言葉遊びの上に皮肉やユーモアを乗せるから面白いと思ってる。
でも彼らのそれは、(訳が悪い可能性もあるが)ほぼドラッグと下ネタ。
アイルランド語を使うこと自体が反抗ではあるのだが、だったらヒップホップでなくてもいい。
曲のノリ自体は嫌いじゃなかったので、余計に残念。
ストーリーに関してはまったく頭に入ってこなかったが、結構ムリヤリだった印象。
前述のリリックに関しては実際に規制されたりもあるらしいが、過激であればいいわけではない。
もっと知性や問題意識に基づいた反抗を期待したので、子供っぽく映った。
面白かった!!
北アイルランドやベルファストといえば、IRAが火炎瓶投げてて、いつも何かがどかんどかん爆破され街全体が煙と砂ぼこりでもうもうなイメージ。
冒頭の、「北アイルランドといえば…」の一般人が連想するお決まりの過激派の爆破シーン、からの画面いっぱいの大きなX、「これはそういう話じゃなく」それでガッツリ心掴まれて、そのままのノリで突っ走って最後まで失速なし。
ニーキャップは、火炎瓶を投げる代わりに、音楽とパフォーマンスで「自由」を求める。
「祖国」を、「アイルランド北部」と表現されれば都度、「いや、北アイルランドだから」と修正させるところに、彼らのアイデンティティーへのこだわりが見える。
スタイリッシュでパワフル、シャープで過激で笑いが満載、頭からしっぽまでみちみちに具が詰まった、美味しい映画でした。
メンバー3人とも自然で、演じている感なし、何しろ本人だからパフォーマンスが本人まんま。これがもう素晴らしい。
3人とも顔もいいよね。
IRAの伝説の闘士な父から「アイルランド語は自由のための弾丸だ」と教育され、すくすく育ったニーシャと幼馴染みのリーアム、二人で組んでドラッグディーラーで稼いでいるが、捕まったニーシャが取り調べでかたくなにアイルランド語しか話さず、派遣された通訳の音楽教師、JJと出会って、という出会いがスムーズ。
アイルランド語を、若い二人は「ゲール」と言っていたよう。
征服者が被征服者を従わせるために、被征服者の文化を自分たちに同調させるのは大昔からよくあることだが、もっとも効果的なのが、言語を奪うこと。言語が奪われるというのは、それを使っていた人たちのアイデンティティーも奪われるということだ。
アイルランドの「ゲール」が2022年まで公用語ではなかったのは驚きだが、ニーキャップの存在が公用語への法制定の後押しになったのではないか。(作中ではアイルランド語法制定推進派代表のJJの奥さんに、彼らのリリックがドラッグや性的表現が過激でイメージ悪くなるから止めてくれと詰め寄られていたが。)
彼らとの出会いからアイルランド語を学んでいる、という女性が出てきて、実際にニーキャップのおかげでこの言語を学ぶ人が増えたという話も聞く。
そして、分母が大きければ大きいほど、社会を動かす力になりうる。
引きこもりだったニーシャの母が、息子の窮地にカウチから立ちあがる。
長年クローゼットにしまわれていたドレスを着て革ジャンを羽織り、ブーツを履いて、ばっちりきめて家を出る。風を切って歩く姿がカッコイイ。
息子を思う母の強い気持ちが分かる良い場面だが、肩を怒らせて向かった先が美容院。
さすが、良くわかっていらっしゃる。よくぞそこ気づいた、とニーシャのママに感心しました。
私の母は田舎の美容師で、田舎の美容院は近くの女性の社交場だから噂話の一大集積地。母はそこでたくさんの情報を仕入れてはお客様に拡散、当然のように結構な作り話も交じる大本営みたいなところなんです。お客様はそれぞれがまた拡散するからあの映画まんまで、頷きつつ笑ってしまった。女性たちの噂話はコスパ最強の宣伝方法だったりするんだよね、近所に限りますが。
H.O.O.D
KNEECAP自体は映画の情報が出たタイミングで初めて知ってから音楽を聴いたのですがめちゃくちゃ好きなヒップホップで以降ノリノリで聴いています。
自国の言語に誇りを持っているというところがもうめちゃくちゃ共感してそれきっかけでも観ようとも思いました。
KNEECAP本人たちが演じているということもあって、歌唱シーンに切り替わっても熱量そのままに楽しめるのが魅力的でしたし、薬やりまくりブラックジョーク飛ばしまくりも本人たちがゴリゴリにやり抜いているので潔いですし、社会に訴えかけるという面でも言葉が力強いからストレートにくるというのも魅力的でした。
なんなら本人たち演技もめちゃめちゃ上手で、コメディチックなところはバッチリふざけてくれており、シリアスなところは眼光鋭く光らせていたりと表現者ここにありって感じでした。
若者2人に中年音楽教師という異色の組み合わせがこれまた良い意味でのチグハグな感じを醸し出していましたし、年齢や職は違えど向かう方角、目指す方向は一緒っていうのがとても胸を熱くさせてくれます。
1人だけ歳の離れているプロヴィが根っからの真面目なので何度も咎めようとしつつも流されといった感じで制御役にもなっているし、
景気付け、ゲン担ぎでドラッグをキメていくのが超良かったです。
正しくないし、めちゃめちゃ犯罪行為なんですが、これで一気にギアが入るっていうのがバシッとカットとして決まっていましたし、R18+でっせとしっかり明言してはるのでオールオッケーです。
思ってること全部歌詞に詰め込んで歌にして解き放っちゃえばいいじゃないか精神がバチバチにかっこよかったです。
生き様が反映される歌って、言葉遊びも含めてめちゃめちゃアガるんですよね〜。
アイルランドの社会情勢に詳しくない分、内容が全て理解しきれなかったのが惜しいところで、そこんとこの情報を整理した上でもう一回観たいなと思わせてくれる出来でした。
今作が日本でも公開されたってという縁でKNEECAPが日本に来日とかしてくれないかな〜と思ってみたり。
ライブハウスで轟音で味わいたいですね〜。
鑑賞日 8/3
鑑賞時間 18:50〜20:35
とてもよかった
アイルランド語のラップ映画。それと同時にドラッグ描写とデモなど抵抗運動やその組織が強く描かれる。ドラッグが使用だけなら問題じゃないような描かれ方だ。今後日本が、どんどん移民を受け入れていくと、そんなドラッグの規制も現状のままではいられなくなることだろう。微罪で捕まえていたら刑務所がいつも満員になる。
ニーキャップメンバーは本当のメンバーのようだ。みんな演技がうまい。特にDJの先生本物の役者のようだ。学校でTR808でトラックを作る場面が特に面白い。
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