「HIP-HOP的初期衝動」KNEECAP ニーキャップ きーろさんの映画レビュー(感想・評価)
HIP-HOP的初期衝動
やばい!8月のファーストデーでとてつもない映画に出逢ってしまった!
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国で(あえて国名に北アイルランドを入れてるところがイギリスのこの領土への執念を感じる)12世紀から根深く続く宗教・民族対立の被支配側、つまりアイルランド側への文化的侵略がつい最近までゴリゴリに進められていたことに驚く。この状況は、日本が中国に占領されて主権を取られて日本語を話すことが禁止されるっていう未来を想像しながら見るとリアリティが増すかもしれない。そう、自国の言葉は弾丸なのだ。
IRAによる北アイルランド紛争時のテロリズムはイギリスとその息子アメリカによってかなり歪められてプロパガンダされてるわけだけど、植え付けられた負の歴史すらも木っ端微塵に吹き飛ばすくらいのレボリューションエンターテイメントだった。
そもそもアイルランド語がさっぱりわからないのに初期ヒップホップのど真ん中を貫く、骨太で魂を揺さぶるトラックであっという間に映画の世界に引き込まれるし、セックス&ドラッグ&ヒップホップを地で行く展開に、アゴはずっと揺れっぱなし、口角もずっと上がりっぱなし。
伏線の貼り方やストーリーテリングの巧みさからずっとよくできたフィクションだと思って見てたのに、エンンドール見て「あれこれ本当のアーティストの半自伝映画じゃん?!」ってなって、思わずパンフレット購入(今年初)。観るまでなるべく情報入れない主義の弊害が出ましたね。
まあネタバレはしたくないのでレビューはここまで。初期ビースティーボーイズが好きならマストですわ。伝説のサンプラーのパパサンも出てくるしね。来週水曜にOdessa theaterでもう一回観させてもらいます!宇多丸さん好きそうだなあ…。
それではハバナイスムービー!
P.S.ライム&リリックの翻訳は大変だったと思いますが、時々字幕でも韻踏んでくれてGJです!松本小夏さん!