「女性たちに寄り添った姿に納得。」黒川の女たち 羅生門さんの映画レビュー(感想・評価)
女性たちに寄り添った姿に納得。
分かり易く弱い立場の女性たちに辛抱強く寄り添う姿勢に共感した。親の世代の加害性・責任に向き合い碑文の根回しの努力を惜しまなかった遺族会会長の健気さに頭が下がる思いだ。ただ、ハルエさんに寄り添う藤井さんの髪の色の変化に見られるように経年の状況と語るテーマが時系列ではないので、視覚的に少し混乱するかな。松原監督の前作「ハマのドン」は、利権に有り付けない保守のドンが菅陣営の反目に回り、敵の敵は味方さながらにリベラル派と共闘して選挙戦を戦ったご都合主義に無関心なのか都合が悪いのか全く触れなかったので違和感があったが、今作はそんな政治的な不公平感は感じることなく安心して見ることが出来た。 1点注文があるとすれば、満鉄以来の満州利権はあったものの、満州事変はどう見ても関東軍の暴走で、それを政府が事後承諾のような歪さがあったと思うが、断定的なのは何故なのかな?満蒙開拓団もソ連国境付近は武装した屯田兵のような方々もいたはずで、未開の地で他にも馬賊と戦闘を覚悟した方々も居たはず。 黒川村の方々のように、比較的安定した土地で、地元の満州人を追い出したパターンがデフォルトではないと思うのだが、そこはもう少し丁寧であるべきだったのでは?と思った。
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