劇場公開日 2025年8月22日

「一番「べらぼう」で「でたらめ」な芸術映像作品」大長編 タローマン 万博大爆発 たくむしさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 一番「べらぼう」で「でたらめ」な芸術映像作品

2025年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

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興奮

すごいのである。この映画は。ここまで主義主張を貫き通した作品は見たことがない。
この作品で語られる主義主張とは、「対極主義」である。簡単に言うと、正反対のものが真正面からぶつかり合い、そのエネルギーによって芸術を作り出すことだと解釈している(最近知った口なので、正しいかは問わないでほしい)。

この作品では、「でたらめ」と「常識」の対極を示している。「常識」を悪とし、「でたらめ」を肯定するのだ。しかし、そうでありながら、ストーリーは伏線をある程度回収し、提示した理論(現実に則しているかは置いといて)に基づいたバトル、個性的な登場人物の関係性を魅力的に描いた後の感動シーンなど、人を楽しませるうえで常識的なものになっている。

「でたらめ」と言いながら、そこは真面目なのかとお思いの方もいるだろう。しかし、対極主義を語る作品なので、こうした矛盾が起こるのは当然である。いや、起こさなければいけない。「でたらめ」と「常識」で対極主義を表現したのだ。この矛盾によって私は作品から何か熱いものを感じ、一時も目を離せなかった。見ていて退屈しなかった。
加えて、そもそも「でたらめ」とは「常識」が無ければ成立しないし、逆もまた然り。どちらか一方は存在しえないのだと悟った。

さらに、映像表現でも目を見張るものがある。古い特撮ドラマのような技術を駆使し、画質までそれに近付けている。令和の時代に逆行して昭和特撮を行ったのだ。ここでも新旧の対極があると考えている。個人的に昭和特撮が好きなのもあるが。

1本のしっかりした常識的なストーリーの柱から、枝葉のように付着したでたらめがスパイスとなり、相反する二つの要素が喧嘩しながらも一つの作品に仕上がった奇跡の作品と言えるだろう。本当の意味での映像芸術を見た気がする。制作側が岡本太郎氏の思想を完璧に理解しないと作れないと思うので、精一杯大きな拍手を送りたい。べらぼうに良い映画だった。

たくむし
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