劇場公開日 2025年8月22日

「昭和100年は令和7年より素敵に見えた」大長編 タローマン 万博大爆発 jfs2019さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0昭和100年は令和7年より素敵に見えた

2025年8月24日
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鑑賞方法:映画館

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楽しい

単純

日頃から昭和の特撮映画と藤井亮と太陽の塔が大好きで、TAROMANのTVシリーズも「帰ってくれTAROMAN」まで全部視聴済み。太陽の塔の内部観覧も2度も行ってしまった。ただ、5分番組だったTVシリーズのあのノリを映画館で105分も見せられて大丈夫なのか、ガッカリしないのか、という不安はありました。

しかし、封切り前日に監督がSNSに流した冒頭4分の映像と「これがあと101分続きます」のコメントで、期待感マックスでいてもたってもいられず、その場でスマートホンから座席予約。結論から言うと期待通りでした!TVシリーズが好きだった人は見るべきです。

舞台は1970年の日本万国博覧会会場から始まります。TVシリーズのタローマンと同様に4:3の窮屈な縦横比の画面で、ぷつぷつとノイズが入ったりして音質も悪いし、昔のブラウン管テレビで見ているかのよう。そして、なんやかんやで一行が55年後の昭和100年へ移ると画面はシネスコサイズになり(音質はなぜか悪いままでしたが)、令和7年の人が想像した『昭和45年の人たちが特撮で描く2025年はこうだろう』というメタな未来世界が広がります。未来都市はピカピカでまるで幼いときに見た小松崎茂の未来図イラスト。エアカーがチューブの中を高速走行し、当たり前のようにたくさんの宇宙人が来訪し、宇宙大万博会場は巨大な透明のドームに包まれ、誰も首から扇風機をぶら下げたりしていません。その未来都市のビルのミニチュアは予算の都合でホームセンターや100円ショップで売られているプラスチック製品を組み合わせて作ったそうで、それにもびっくり。まぁ、昭和45年にはまだホームセンターも100円ショップもなかったでしょうけどね。

それにしても岡本太郎の作品と名言の組み合わせで、これだけのストーリーを構成できるのには感服します。決してデタラメではない。そして、ベタとあざとさとが絶妙にバランスした演出も素晴らしい。作り手の意図通り「なんだこれは」と思わせられることの連続。さらに、岡本太郎の精神もメッセージとしてしっかり伝わってくる。映画のスクリーンならではの必殺技も炸裂。敵総統のアジトの背景が太陽の塔の腕の内部構造だったり、どさくさに紛れて藤井亮監督の「ウギョー」がCMに出てきたり、小ネタもすみずみまで楽しめました。

この映画を見るのに一番ふさわしい万博記念公園前のEXPOシティの映画館で鑑賞。日比谷の映画館でゴジラを見るようなもんですね。映画館でも、タローマンと水差し男爵の等身大(?)フィギュアが展示してあったり(子供が一緒に写真を撮っていました)、「ここ、太陽の塔にいちばん近い映画館で見るべき映画ナンバーワン!!」と書かれた大きなタローマンのポスターで盛り上がってました。日曜日朝の上映でしたが、座席はほぼ満席。わたしのような昭和ノスタルジー好きのおっさんばっかりかと思ったら、意外にも小さな子連れの家族づれも多かったです。70年代に小学生だったわたしも、リアルタイムでタローマンを見ていたら、山口一郎さん同様、絶対大ファンになっていたでしょう。

現実の2025年の万博がガン無視で微塵も触れられていないのも良かった。そもそも企画自体が模倣で岡本太郎の精神が全く引き継がれてないですもんね。またこういうこと書くと怒られちゃうかな。いっけねー、くわばらくわばら。

jfs2019
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