「芸術は呪術だ」大長編 タローマン 万博大爆発 ありのさんの映画レビュー(感想・評価)
芸術は呪術だ
自分は元になったテレビ版を視聴済みだが、今回の劇場版も十分に楽しむことが出来た。
一つ懸念だったのは、テレビ版は短編なのでそれが長編になったことでどうなるか?という点である。シュールでクセの強い笑いは5分程度の短編なら軽く楽しめるが、100分となると流石に観てて疲れやしないか…と思ったのだ。
映画は序盤からTV版のノリそのままに飛ばし気味で始まる。ただ、このテンションがずっと続くわけではなく、中盤あたりから少しずつ展開は落ち着いてくる。タローマンと地球防衛軍(CBG)が機械人間エランと共に未来の万博へタイムスリップし、ここからタローマンとCBGの二手に分かれて物語が展開されるのだ。
しかし、正直な所、展開が少し鈍重という気がしてしまった。万博を襲った黒幕の見顕しや、”常識”を信条とするエランの葛藤、更にはジェネレーションギャップによる小ネタ等、色々と見所が用意されているが、如何せん肝心のタローマンの出番が陰りがちになってしまったのが惜しまれる。
とはいえ、クライマックスでタローマンとCBGの面々が邂逅すると、いつものタローマン・ワールドが復活し、何だかんだと言って最後は楽しむことが出来た。
最も笑ったのは、クライマックスの戦いで見せる”ある演出”である。映画ファンとしてはスクリーンの画額は常に気になる所であるが、本作は70年代のシーンはいわゆるブラウン管サイズ、2025年の未来のシーンでは画面が横に広がる。このクライマックスではそれが更に変化し、この演出にはやられたという感じがした。ちなみに、画質も時代に合わせて変えている。
また、毎回タローマンにビルを壊されて嘆く社長と部下のコンビは、本シリーズの名物キャラであるが、今回は未来の世界でも登場してくる。その姿に笑ってしまった。
尚、映画の冒頭とエンディング後に本作のファンであるサカナクションの山口一郎が解説者として登場してくる。昔の赤青のセロファンで作られた3Dメガネをかけていたが、劇場でもぜひこれを配って欲しかった。
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