Dear Stranger ディア・ストレンジャーのレビュー・感想・評価
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ポイントは「Dear Stranger」「廃墟」そして「人形」
真利子哲也監督、過去作については『ディストラクション・ベイビーズ(16)』『宮本から君へ(19)』についてのみ(配信にて)鑑賞済み。どちらもインパクトが強くて印象に残る作品ですが、ストレートに好みかと問われれば正直違うこともあり、今作も劇場鑑賞は少し悩みました。ですが、劇場で何度か観たトレーラーに過去作とはまた異なる印象に期待を寄せ、公開初日にTOHOシネマズシャンテにて鑑賞です。
ニューヨークに拠点を置いて生活をする日本人と台湾人の夫婦。幼い息子を抱えて決して楽ではありませんが、それでも協調性をもってお互いのキャリアを尊重し合い、日々を助け合って暮らしています。ところがある日、妻方の家業である日用品店に強盗が入ったことをきっかけに、徐々に危うい空気が流れ出して夫婦の歯車が狂い始めます。
まず本作、作品紹介におけるジャンルを確認すると多くに「ヒューマンサスペンス」とありますが、設定や雰囲気、或いは落としどころなどから見て「ノワール」と言う方がしっくりくると思います。いくつか起こる事件(or事故?)によって不安な状況が生まれ(それなりに)「ハラハラ(サスペンス)」要素はあります。そして、それらの件について刑事・ビクスビー(クリストファー・マン)による捜査(的)なことも行われますが、それらの設定や展開にあまりリアリティはなく、また「謎解き(ミステリー)」もメイン要素ではありません。その為(と言っては何ですが)、臭わせる事柄やバックグラウンドは中盤以降にようやく小出しに明かされるものの、語られることは空白だらけで意味するところは概ね鑑賞者の想像に委ねられることばかり。上映時間138分、、もっと絞り込めるような気がするのですが。。
と言うことで、このボンヤリとした作品について、ポイントとなるのはまず題名である「Dear Stranger」。そして、夫・賢治(西島秀俊)の研究テーマである「廃墟」。さらに妻・ジェーン(グイ・ルンメイ)が命を吹き込むペルソナとしての「人形」。
祖国ではない地で弱い立場でありつつも、明るい将来を見据えて前向きに生きようとしている二人。ところが本来はお互いの言語ではない「英語」でコミュニケーションし、本当の意味での「意思の疎通」は出来ていたのか?或いは、目を逸らしてきた暗部や隠し続けていた本心など、息子・カイ(エヴェレスト・タルデ)を大切に思えばこそ抑えていたものが、あることをきっかけにして一気に揺らぎ、そして崩れる「諸行無常」を画に描いたような人生。
と、一応私なりに解釈はしたものの、果たしてこれが自分好みの作品かと問われれば、やっぱり私には合わないかな。。ストーリーは「凡庸で退屈」だし、オチに起こることも想像通りの「クリシェ」であくびが止まらない。。せめてその内容に琴線に触れるような教示があればそれなりに見応えはあるのですが、廃墟については同じことを繰り返すだけで薄っぺらく(発表前から解り切っていたガヤに、涙浮かべながら反論するとかw)、また劇中劇も尺もあってか共感は得られず、メインキャラクターの「見た目のインパクト」が全てとしか感じない。
いくらノワールとは言ってもね。。今の政権のことを考えれば、例えニューヨークであってもストレンジャー達にとって更に生き辛い現状があると思われ、本作のようなアプローチはむしろネガティブイメージ(犯罪傾向等)も懸念したり。折角こういった背景を作品にまで昇華させるなら、せめてもう少しスパイスがあって欲しいかな。
居場所を求めて
グイ・ルンメイ、美しい影
西島秀俊演じる賢治はニューヨークの大学で建築学を教えている。専門は廃墟。グイ・ルンメイ演じる妻のジェーンは、移民であった親の食料品店を手伝いながら人形劇の舞台監督をしている。二人には4歳になる男の子カイがいて一見幸せそうな家族に見えるが内情はなかなか複雑である。
賢治はテニュア・トラック5年目であり安定した身分とはいえない。ジェーンの人形劇もかなり畸形な人体表現に基づくアブストラクトな色彩を帯びたものであって一般にうけるものではないだろう。そもそも廃墟にしても人形劇にしても、どこか影を引きずっている印象がある。そしてジェーンが言う通り彼と彼女のオリジナルな言語は英語ではない。二人とも夫婦喧嘩が英語で通してしまえるほどの話者であるものの、基本、この街ではストレンジャーであり、それがそもそもの影を落としている。
映画が進むにつれて、さらに、カイの出生について秘密があることがだんだんわかってくる。それに関連して、この家族を襲う暴力と犯罪、そして警察による捜査。影が正体を現し牙を剥いて向かってくるのである。
正直、最後の30分間の進展はよく分からない。ここで行動しているのはほとんど賢治一人なのだが彼の出版発表会における講演や発言はよく理解できないしその後の賢治の行動や心境も共感できるようなできないような曖昧な感じである。
この映画で決定的に素晴らしいのはグイ・ルンメイの美しさ。彼女が尊敬しているといっているマギー・チャンのように光を当てれば光り輝く女優ではないが、グイ・ルンメイは光を当てることによって、濃く、美しい影をつくり出すことができる。影絵のように動き、深い余韻を残すことができる。だから、この作品のラストカットは彼女のアップで終わるのだがその表情はやはり具体的な怒りであるとか喜びではなく、何か諦念めいた影の深いアトモスフィアなのである。
廃墟
オンライン試写にて観賞。
薄氷を踏むようなギリギリの夫婦生活が息子が誘拐され崩壊していく。想いあっているからこそすれ違う2人の精神的な殴り合い。「美しく恐ろしい運命」が廃墟ならば、それに魅せられた賢治はその愛を貫いたのかもしれない。
序盤は仲良さそうに見えた3人家族だけど、賢治(西島秀俊)は廃墟に行っては現実逃避。ジェーン(グイ・ルンメイ)は自分の分身と言える人形に思いを馳せる。息子カイが誘拐されて夫婦は途方に暮れるんだけど、賢治は何やら犯人に心当たりがありそうで…そこから夫婦の秘密が明らかになるんですよね。
なんかもう、中盤から賢治が冷静さを欠いて狂いだしてきて…でも私はこういう西島さんが観たかったんだな〜って逆にテンションが上がりまして。でも、ずっと孤独でひとりだけ疎外感を感じていた賢治の気持ちを考えると本当に切ないよな…
真利子哲也監督作品って暴力的な描写が強い印象があるんだけど、今作は精神的にえぐられるような痛みがあった。余韻の残る映画でした。
大好きだけでは家族にはなれない
ジェーン役のグイ・ルンメイさんが凄すぎて。
人形と心身一体になって一人芝居してるシーンが忘れられない。
火のない所に煙は立たないとはいうけど、それぞれの不安の火種に、妄想が燃料を投下して暴走していくのが怖かった。
家族も自分以外は他人だもの。
信じたい。でも信じられない。
家族といえども自分以外は全員他人な訳で、心の中までは覗けないし支配もできないもんな。
異国で移民同士で結婚って、本当にすごくすごく大変だと思う。
余程相手の事好きじゃないと無理だよなあ。
そしてジェーンの男子の好みの振り幅の広さよ。エリートから問題児まで。
何を基準に好きになってるのか全然わからんかった。
アメリカでバリバリお仕事してる割に、賢治の言動が昭和の男子で、外国人と結婚しているのにそれで大丈夫なのか心配になったわ。
家族の在り方は、国によって違うかも知れないけど、基本、自分が一番心安らぐ場所であるべきものなので、それが揺らぐと色んな問題に発展するよなと思った。
親として夫として
ひと昔前の火曜サスペンス劇場の、つまらない作品みたいな感じ
旦那が目を離した間に、息子が誘拐された。奥さんのイライラ爆発。
ところが、犯人は奥さんの元カレで、息子の実父。今度は旦那のイライラ爆発。
そして、その犯人が誰かに殺害されて見つかった・・・
ひと昔前の火曜サスペンス劇場にでもありそうな設定です。
でも、それだけ、話を広げておいて、その先の展開がつまらない。
廃墟や人形で旦那と奥さんの心情を表すのはいいけれど、
グダグダしたままで、旦那が事故って??? いや、そんな事故、無理でしょう。
どうやって、旦那がそこを通るってわかるのでしょうか? GPSで追跡されてたとか?
そして、待ち構えていたかのように刑事さん登場。なんですかね、それって???
西島秀俊さんは、いい役者だと思うけど、セリフが固いですね。舞台向きかも。
まして、今回は英語。日常会話も、セリフ感丸出しって感じでした。
わざと、母国語で会話出来ない、夫婦のイライラを強調していたのかもしれせんが・・・
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