Dear Stranger ディア・ストレンジャーのレビュー・感想・評価
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バベルの塔
NYで暮らす大学で廃墟の研究をしている日本人助教授の夫と、人形劇団の監督兼演者で台湾系2世の妻という、結婚して5年の夫婦の仕事と家庭と掛け違いの話。
人形が壊れたことで休業中の妻が、近くに住む両親が営む商店の店番を息子と共にしていたら、店に覆面強盗が襲来し、と始まっていく。
父親の介護が大変なのはわかるけれど、娘に自分の都合を押し付けようとして、断られると全否定して、と古いアジア人思考丸出しの婆さんと、これまた自分の虫の居所の悪さを家事のことにして夫にぶつける妻…と思ったら夫もなかなかでどっちもどっち!?だけど過去の話しってこれ…。
警察には提出してないし初見なのか?な映像で一気に頭の中で話しが繋がって、話しも転がり始めるけれど、BARの行の妻はお前がいうな状態だし、そんな訳のわからない開き直りというかブチキレで終わりって…。
なんだかムダな描写が多い割に、本筋部分は粗く感じてしまい悪い意味でモヤモヤした。
記号的観測
国籍が違う俳優陣が多く集まり、舞台はNY、多くの国に属している作品というところに興味を持って鑑賞しました。
んー…?夫婦間での歪み合いが凄まじくなっていくもんかなーと思ったらその歪み合い含め展開がノロノロしていて、その上母国語を喋らない2人がメインの会話が多いからかテンポも悪くなっており、テーマ性も多くぶち込んでいる割にはそこまで活かしきれていないという、どっちつかずどこへ向けた作品なのか全く掴めずまま終わってしまいました。
廃墟と人形劇はそれぞれの人物の比喩なんだろうなとは思いつつも、行間がありすぎかつ観客に委ねすぎて何もない時間が結構あったのも個人的にはマイナスかなーと思いました。
元々表面上うまくやっていそうな夫婦が子供が誘拐された事により関係性が壊れていくヒューマンミステリーという筋はシンプルなはずなんですが、あっちやこっちや手を出してしまっているが故にグチャっとしてしまっている印象がありました。
両親2人もしょっちゅう子供を見逃すくらい自分本位なのもアレなんですが、そもそもガキンチョが落ち着きなく動き回るのもなんだかなぁって思いました。
まぁあのくらいの年頃ならと許容はできるんですが、施設内を3輪車爆走はあかんやろ…と思ってしまったり。
警察の捜査が杜撰すぎるのがポンコツ邦画と比べても、真面目な雰囲気を出しているがためにより脆弱性が際立ってしまっているなと思いました。
めっちゃ監視カメラがあるのにろくに調べず、証拠もバンバンあるのに雰囲気だけ出して闊歩し、最後の方もドヤァって佇んでいる様子ばかりでイライラさせられました。
この手の刑事はしっかり有能であって欲しかった…。
そのせいで作品自体の印象が悪くなってしまった気がします。
子供が誘拐された理由もまぁそうだろうなーくらいでインパクトは薄く、それでいて結構展開を引っ張りまくるので内容が無いよう状態が延々と続いて脳内カオスでした。
前半から後半にかけて夫婦2人の言動もトンチンカンになっていき、特に旦那の賢治は行き当たりばったりで、もう清々しいくらいに自分に酔ってる感じがして、自分の保身してる場合じゃないでしょ…と行動全てに呆れてしまいました。
監督の作品からして熱いぶつかり合いがあるように思えたのですか、感情と感情が互いを高め合っていた過去作と比べ、熱いぶつかり合いというよりかは相手の悪いところ探しに熱がいってしまっており、バチバチというよりかはネチネチしたぶつかり合いが奇妙でした。
全体的に男性視点での物事が描かれているので、男性女性それぞれで見方も変わるとは思うんですが、総じて苦手な人は多いんじゃないかなと思いました。
俳優陣も演技の違和感がどうしても拭えなかったです。
全編渡ってほとんど英語での演技をやってのけた西島さんとグン・ルンメイさんは凄いんですが、どうしても会話のラリーがうまいこといっている気がせず、ゴリゴリ日本生まれ日本育ちでも分かる英語の違和感がずっとあってモヤモヤしました。
他の俳優陣も淡々としているので、作品としては合っているのかもしれないんですが、主役たちを食ってしまう勢いの俳優がいたら良かったのになぁとは思ってしまいました。
オチもグダグダして中々終わらないのも嫌ですし、なんじゃその終わり方はとなってしまったのも残念でした。
まぁーしっかり苦手な作品でした。
テーマを深掘りできれば面白く観れるのかもしれないんですが、意味なく鬱屈になってしまっているのもあり、もう一回観るのはちとハードかなと思いました。
鑑賞日 9/12
鑑賞時間 12:00〜14:25
本当にストレンジャーばかり出てくる
西島さんが運転する年季の入った車。登場人物の母国語がバラバラな中でのコミュニケーション。というとどうしても「ドライブマイカー」を思い出してしまうが、もちろん違う点もある。
廃車寸前の車は、始終異音を発してるし、大きく落書きもされている。登場人物は、英語を介してコミュニケーションを取ってはいる。西島さんは感情を表に出すキャラクターだ。
主要な登場人物は皆、ストレスやフラストレーションを溜めていて、それぞれ日本語、中国語、スペイン語?で吐き出されるが、その理由はラスト近くまでわからないものが多い。というか、ラストになっても明示はされない。
解釈はいろいろあると思うが、捜査担当警官が言った「クロらしいことをひとつずつ調べて可能性を排除していって、最後に残ったのがクロだ」みたいなセリフに沿うと(ありましたよね?)、ラストショットのあの人がクロなんだな、と自分は思った。
そう思うと、物語全体の表現が腑に落ちてくる気がする。
家族の崩壊の話とも取れるが、すべてをつまびらかにした上で再生に向かう第一歩の瞬間を観たと思うと、希望が感じられるかなと思った。
それにしてもルンメイさん、初めて観たけど美しかったなー。
観光では行かないようなNYの秋冬の風情も美しかった。
ゆれる夫婦
ポイントは「Dear Stranger」「廃墟」そして「人形」
真利子哲也監督、過去作については『ディストラクション・ベイビーズ(16)』『宮本から君へ(19)』についてのみ(配信にて)鑑賞済み。どちらもインパクトが強くて印象に残る作品ですが、ストレートに好みかと問われれば正直違うこともあり、今作も劇場鑑賞は少し悩みました。ですが、劇場で何度か観たトレーラーに過去作とはまた異なる印象に期待を寄せ、公開初日にTOHOシネマズシャンテにて鑑賞です。
ニューヨークに拠点を置いて生活をする日本人と台湾人の夫婦。幼い息子を抱えて決して楽ではありませんが、それでも協調性をもってお互いのキャリアを尊重し合い、日々を助け合って暮らしています。ところがある日、妻方の家業である日用品店に強盗が入ったことをきっかけに、徐々に危うい空気が流れ出して夫婦の歯車が狂い始めます。
まず本作、作品紹介におけるジャンルを確認すると多くに「ヒューマンサスペンス」とありますが、設定や雰囲気、或いは落としどころなどから見て「ノワール」と言う方がしっくりくると思います。いくつか起こる事件(or事故?)によって不安な状況が生まれ(それなりに)「ハラハラ(サスペンス)」要素はあります。そして、それらの件について刑事・ビクスビー(クリストファー・マン)による捜査(的)なことも行われますが、それらの設定や展開にあまりリアリティはなく、また「謎解き(ミステリー)」もメイン要素ではありません。その為(と言っては何ですが)、臭わせる事柄やバックグラウンドは中盤以降にようやく小出しに明かされるものの、語られることは空白だらけで意味するところは概ね鑑賞者の想像に委ねられることばかり。上映時間138分、、もっと絞り込めるような気がするのですが。。
と言うことで、このボンヤリとした作品について、ポイントとなるのはまず題名である「Dear Stranger」。そして、夫・賢治(西島秀俊)の研究テーマである「廃墟」。さらに妻・ジェーン(グイ・ルンメイ)が命を吹き込むペルソナとしての「人形」。
祖国ではない地で弱い立場でありつつも、明るい将来を見据えて前向きに生きようとしている二人。ところが本来はお互いの言語ではない「英語」でコミュニケーションし、本当の意味での「意思の疎通」は出来ていたのか?或いは、目を逸らしてきた暗部や隠し続けていた本心など、息子・カイ(エヴェレスト・タルデ)を大切に思えばこそ抑えていたものが、あることをきっかけにして一気に揺らぎ、そして崩れる「諸行無常」を画に描いたような人生。
と、一応私なりに解釈はしたものの、果たしてこれが自分好みの作品かと問われれば、やっぱり私には合わないかな。。ストーリーは「凡庸で退屈」だし、オチに起こることも想像通りの「クリシェ」であくびが止まらない。。せめてその内容に琴線に触れるような教示があればそれなりに見応えはあるのですが、廃墟については同じことを繰り返すだけで薄っぺらく(発表前から解り切っていたガヤに、涙浮かべながら反論するとかw)、また劇中劇も尺もあってか共感は得られず、メインキャラクターの「見た目のインパクト」が全てとしか感じない。
いくらノワールとは言ってもね。。今の政権のことを考えれば、例えニューヨークであってもストレンジャー達にとって更に生き辛い現状があると思われ、本作のようなアプローチはむしろネガティブイメージ(犯罪傾向等)も懸念したり。折角こういった背景を作品にまで昇華させるなら、せめてもう少しスパイスがあって欲しいかな。
居場所を求めて
グイ・ルンメイ、美しい影
西島秀俊演じる賢治はニューヨークの大学で建築学を教えている。専門は廃墟。グイ・ルンメイ演じる妻のジェーンは、移民であった親の食料品店を手伝いながら人形劇の舞台監督をしている。二人には4歳になる男の子カイがいて一見幸せそうな家族に見えるが内情はなかなか複雑である。
賢治はテニュア・トラック5年目であり安定した身分とはいえない。ジェーンの人形劇もかなり畸形な人体表現に基づくアブストラクトな色彩を帯びたものであって一般にうけるものではないだろう。そもそも廃墟にしても人形劇にしても、どこか影を引きずっている印象がある。そしてジェーンが言う通り彼と彼女のオリジナルな言語は英語ではない。二人とも夫婦喧嘩が英語で通してしまえるほどの話者であるものの、基本、この街ではストレンジャーであり、それがそもそもの影を落としている。
映画が進むにつれて、さらに、カイの出生について秘密があることがだんだんわかってくる。それに関連して、この家族を襲う暴力と犯罪、そして警察による捜査。影が正体を現し牙を剥いて向かってくるのである。
正直、最後の30分間の進展はよく分からない。ここで行動しているのはほとんど賢治一人なのだが彼の出版発表会における講演や発言はよく理解できないしその後の賢治の行動や心境も共感できるようなできないような曖昧な感じである。
この映画で決定的に素晴らしいのはグイ・ルンメイの美しさ。彼女が尊敬しているといっているマギー・チャンのように光を当てれば光り輝く女優ではないが、グイ・ルンメイは光を当てることによって、濃く、美しい影をつくり出すことができる。影絵のように動き、深い余韻を残すことができる。だから、この作品のラストカットは彼女のアップで終わるのだがその表情はやはり具体的な怒りであるとか喜びではなく、何か諦念めいた影の深いアトモスフィアなのである。
廃墟
オンライン試写にて観賞。
薄氷を踏むようなギリギリの夫婦生活が息子が誘拐され崩壊していく。想いあっているからこそすれ違う2人の精神的な殴り合い。「美しく恐ろしい運命」が廃墟ならば、それに魅せられた賢治はその愛を貫いたのかもしれない。
序盤は仲良さそうに見えた3人家族だけど、賢治(西島秀俊)は廃墟に行っては現実逃避。ジェーン(グイ・ルンメイ)は自分の分身と言える人形に思いを馳せる。息子カイが誘拐されて夫婦は途方に暮れるんだけど、賢治は何やら犯人に心当たりがありそうで…そこから夫婦の秘密が明らかになるんですよね。
なんかもう、中盤から賢治が冷静さを欠いて狂いだしてきて…でも私はこういう西島さんが観たかったんだな〜って逆にテンションが上がりまして。でも、ずっと孤独でひとりだけ疎外感を感じていた賢治の気持ちを考えると本当に切ないよな…
真利子哲也監督作品って暴力的な描写が強い印象があるんだけど、今作は精神的にえぐられるような痛みがあった。余韻の残る映画でした。
大好きだけでは家族にはなれない
ジェーン役のグイ・ルンメイさんが凄すぎて。
人形と心身一体になって一人芝居してるシーンが忘れられない。
火のない所に煙は立たないとはいうけど、それぞれの不安の火種に、妄想が燃料を投下して暴走していくのが怖かった。
家族も自分以外は他人だもの。
信じたい。でも信じられない。
家族といえども自分以外は全員他人な訳で、心の中までは覗けないし支配もできないもんな。
異国で移民同士で結婚って、本当にすごくすごく大変だと思う。
余程相手の事好きじゃないと無理だよなあ。
そしてジェーンの男子の好みの振り幅の広さよ。エリートから問題児まで。
何を基準に好きになってるのか全然わからんかった。
アメリカでバリバリお仕事してる割に、賢治の言動が昭和の男子で、外国人と結婚しているのにそれで大丈夫なのか心配になったわ。
家族の在り方は、国によって違うかも知れないけど、基本、自分が一番心安らぐ場所であるべきものなので、それが揺らぐと色んな問題に発展するよなと思った。
親として夫として
《試写会にて鑑賞》
夫婦の秘密は予告で想像がついてしまいました。
(子供の顔があの人と似ているため)
でも、そこからの展開が良かったです。
沈黙の時間に表現されるおふたりの芝居がリアリティ。
静と動の作品でアート要素もあり。
説明的ではないので疑問が多く残る。
観客に解釈を委ねすぎているかもしれない。
不穏感ある音楽と車の音が重なり合って
さらに不気味感が倍増!
観賞後『Dear Stranger』というタイトルに納得し、
監督の描く暴力性を見届けました。
終盤からは油断できないシーンが盛り込まれているので
緊迫感は最後まで続きます。
長いが、没入できる作品。
人形劇はもう少し短くてもよかったような…。
諸行無常。
好きなタイプの作品だった。
父とは、母とは、パートナーとは。
夫婦だって所詮は他人。子は鎹とは言うけれど、子供が親にしてくれると言うのはある意味では真実。
では主人公のケンジやジェーンは?
理想の親になれている?家族にはなれている?夫婦にはなれている?
お互いを大切に想うがあまり本音が言えない。理想の風味像を追い求めるが故に嫌な話題には触れない。それがストレスとなり大きな歪みとなる。けど仕方がない。折り合いをつけることは悪いことじゃないし、皆んな神様みたいに出来た人間じゃない。自尊心も捨てられないし、被害妄想も感じてしまう。
その配慮と我慢が、息子のカイの失踪事件をきっかけに濁流を巻き起こしていく展開が興味深い。
カイを通してお互いを疑ったり確かめあったり。『子は鎹』にならないこともある。ポスターの夫婦の間にいるのはカイではなく人形だ。無表情の。
そう、この作品に出てくる人形は無表情。人形の気持ちは観客が解釈するもの。人形劇のシーンでは劇を観て笑うカイ、笑えないケンジ。人形を通じて己を表現し切って清々しいジェーン…と対比が切ない。
言語も効果的に使われていた。
喧嘩や独り言で感情が爆発するシーンはお互い中国語、日本語。
監督がトークセッションで言われていたけど、ジェーンは夫婦の少し深い問題、ケンジは表面的な問題を母国語で伝えていたのもまた興味深い。
個人的にジェーンの好きなシーンは英語だった。
バーの外でジェーンが『英語』で本音をぶつけるシーン。まるで母国語のように率直で心から湧き出た表現。あぁジェーンはちゃんと進んでいる。歩み寄っている。涙。
ケンジの印象的なシーンは日本語だった。車を運転しながら独り言を言うシーン。『あいつを見つけたかった…』ジェーンにも感情をもっと話せていたら間違った遠回りはしなかったかもしれない。
でも、ラストには明るい未来が見えた気がした。
警察官だって馬鹿じゃない信じたい。
虚偽の自首だってわかったよね?
一緒にここまで落ちたんだから、夫婦で登っていけるはず。
(メモ)
・ジェーンが自宅で人形操作の練習をするシーン。意味もわからず圧倒され、後で思えばストレスが最大限に溜まっていたことが痛いほど分かる。胸を締め付けられる。人形を通じた自分との対話。息を呑み惹き込まれた。
・ケンジが廃墟で拳銃打つシーン。一瞬明るくなった先には人形の幻影。ずっと囚われているケンジの苦悩が苦しい。辛い。
・ケンジが廃墟について語るシーンは全て重要。
・中心にいるようで、絆のようで、問題の核のようで、不在の存在でもあるカイ。まだ4歳。きっと自我が芽生えた未来は明るいはず。
・車の故障音、落書き、雨、雪、NYの住宅街、廃墟となった劇場や学校。人形。全てが登場人物の心の有り様にリンクして意味のある描写だった。
・あの人形劇観てみたい。
・ケンジの講義受けてみたい。
・一見難解なようでとても分かりやすい。
・警察絡みのシーンは所々テンポが悪く感じた。あと15分は短くまとまっていたら最高だった。
ひと昔前の火曜サスペンス劇場の、つまらない作品みたいな感じ
旦那が目を離した間に、息子が誘拐された。奥さんのイライラ爆発。
ところが、犯人は奥さんの元カレで、息子の実父。今度は旦那のイライラ爆発。
そして、その犯人が誰かに殺害されて見つかった・・・
ひと昔前の火曜サスペンス劇場にでもありそうな設定です。
でも、それだけ、話を広げておいて、その先の展開がつまらない。
廃墟や人形で旦那と奥さんの心情を表すのはいいけれど、
グダグダしたままで、旦那が事故って??? いや、そんな事故、無理でしょう。
どうやって、旦那がそこを通るってわかるのでしょうか? GPSで追跡されてたとか?
そして、待ち構えていたかのように刑事さん登場。なんですかね、それって???
西島秀俊さんは、いい役者だと思うけど、セリフが固いですね。舞台向きかも。
まして、今回は英語。日常会話も、セリフ感丸出しって感じでした。
わざと、母国語で会話出来ない、夫婦のイライラを強調していたのかもしれせんが・・・
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