Dear Stranger ディア・ストレンジャーのレビュー・感想・評価
全68件中、1~20件目を表示
ストレス耐性が強めの方なら
白状すると、真利子哲也監督の作風が苦手だ。身体的暴力や精神的圧迫の描写で鑑賞にストレスが長い時間伴うから。最新作「Dear Stranger ディア・ストレンジャー」ではもっぱら後者の精神的なストレスを観客に共有させるシーンが多い。もちろんストレスへの感受性と耐性は人によって異なるし、真利子監督の作風が大好きなファンも多かろう。ストレスへの耐性が強めの方なら、本作への評価も高くなるのでは。
グイ・ルンメイはお気に入りの女優で、日本を除くアジアの女優では一番好き。十代後半のデビュー作「藍色夏恋」(2002)を含む青春ものから、恋愛、アクション、ヒューマンドラマと、年齢に応じて出演作のジャンルと役柄も移り変わったが、ベルリンの金熊賞を受賞するなど高評価された「薄氷の殺人」(2014)のファム・ファタールが素晴らしすぎたせいか、以降は「鵞鳥湖の夜」そして本作と暗めの役柄が多い気がする。
ニューヨークで暮らす日本人助教授(西島秀俊)と台湾系アメリカ人の妻(グイ・ルンメイ)が一見愛し合っているようで互いに本音を隠している節があり、さらに幼い息子の失踪も相まって夫婦間のストレスが表面化し高まっていく。母国語がそれぞれ日本語、台湾語の夫婦は英語で会話しており、このコミュニケーション不和もストレスの一因に。私自身短期間ながらアメリカで過ごした経験があり、ストレスが限界を超えて母国語で悪態をつくシーンには大いに共感した。
直接的なバイオレンス描写はほぼないものの、グイ・ルンメイが大型の人形を操るシーンは本作随一のダイナミックなスペクタクルになっている。なお、10月24日に日本公開されるリュック・ベッソン製作アクション「ドライブ・クレイジー タイペイ・ミッション」でのグイ・ルンメイは、やはり幼い息子のいる妻だが天才的ドライブテクニックで台北の街を駆け抜けたり、元恋人の米国人捜査官と喧嘩したり甘い雰囲気になったりと、多彩な魅力で楽しませてくれる。好対照の2作の役柄を見比べるのも一興だろう。
夫婦の危機、あるいは父性の危機?
女は人形劇、男は廃墟研究とそれぞれオブセッション(に近い仕事)を抱え、育児に専心できないでいる。そんなところに、子の誘拐事件が起きるが、事件は意外にあっさり解決して子どもも戻ってくるが…。ミステリ、というより心理劇の要素が大きく、象徴的な表現も多用され、なかなか核心にはたどり着かない語り口。傍から見ると、ぐちゃぐちゃ悩んでないでちゃんと親をやれ、と言いたくもなるが、そうは割り切れないのもまた人間。そうしたままならなさが、人形/廃墟に象徴されている…ということだろう。NYで暮らし、非母語でコミュニケートせざるを得ない中国・日本人カップルという設定も、安易な「心の通じ合い」的解決を許さず、もどかしい。ほぼ全編英語で通すが、西島秀俊が時折切羽詰まって漏らす日本語が、とても印象的(抑制が毀れた瞬間を見てしまった、ような)。銃や車の使い方も技巧的だが、やや暗喩が渋滞気味ではある。この主題なら1時間半くらいの上映時間に収めて欲しいところ。
異邦人
とにかく全編重苦しい雰囲気の映画だ。暗いというより重苦しい。そして映像も暗くて一部見にくい。
舞台は全編ニューヨークで台詞もほぼ英語。西島秀俊にとってもグイ・ルンメイにとっても母語ではない言語での台詞だが、監督は登場人物の母国ではないので流暢でなくてもよいということだったらしい。実際、西島は英語のできない僕が聞いていても流暢ではないのが丸わかりだったが、グイ・ルンメイは非常に流暢にしゃべってるように聞こえ、もともと言語能力が高い人なのかもしれない。そのためもあってか西島も演技が下手な人ではないはずなのに、グイ・ルンメイのほうが圧倒的に演技が上手く感じられた。人形劇も素人目には本当に出来る人のようにしか見えず、本人はインタビューで米国に渡ってから集中的に指導を受け、かなり苦戦したと言っていたが、とてもそうは見えなかった。やっぱりグイ・ルンメイすげえ。そして相変わらずお美しい。
映画はちょっと重苦しすぎて、夫婦の亀裂とかも今ひとつ僕の趣味ではなかったんだが、監督が『ディストラクション・ベイビーズ』(未見)や『宮本から君へ』(未見)の人と聞くと、なんとなくわかるような気がする。まあ悪くはなかったです。
答えがないから探さないと
結局、どうしたらよかったんだろう‥
少しずつ分かり合えない歪みが、日常にストレスを与えていって、それがあるきっかけで露見、爆発する、というのを撮りたかったのだと思うけど、観終えたこちらに相当なストレスを残す映画。答えを教えて欲しいわけじゃないけど、しんどいなぁ。
わたしは立場的には妻側だけど、ジェーンには全く共感できず。これは国民性? それか個人的な性格の問題? 夫さんは割とよくやってたと思うけど‥
夫婦のなんやかや、って話はあんまり好みじゃなく、トム&ニコールのアイズワイドシャットとかも性に合わないんですが、ここは夫婦だということを置いておいて、人種間、または超個人間の話と考えると、やはり分かり合えないんだ‥という結果になるのは切ないですね。戦争のニュースを見てるみたい。
不協和音みたいなBGMも、車のキュルキュルも、洗わないままのBLANKも、暗くてよく見えない演出も、もうずっとストレス。
人形も廃墟も、どっちもなかみはがらんどう。がらんどう同志が家族を作ろうとしてるんだから、うまくいかなさそうだけれど、どういうふうに惹かれあったんでしょう。
ところで、人種や言語の違いをあらわす為に日本人と中国人夫婦にしたのだと思いますが、同じアジア人、欧米の人からみたら違いがよく分からないかも?などと思ったりして。
正直、奥さんが
疫病神だと思う、引っかかった男含めて。人形と生身で引き裂かれたのか?こういう人、よく観るねェ遠い山なみとか。
今迄観たNINIFUNIとディストラクションベイビーズより、大分観易かった。ジャズぽいジムオルークも聴き易かったけれどキュラキュラ音・・。
最後の巨大人形にはあまり意味が?
Darknessな人間の心理
前半の幸せに見えながらもすれ違っている感がわかる
賢治(西島秀俊)とジェーン(グイ・ルンメイ)夫妻。
その子カイのおかげで何とか保ている様子。
加えて、ジェーンが父母を頼り、カイを預けたりするのもリアル。
なんかもう前半だけでモヤる。
カイが誘拐されてから、夫妻の亀裂が決定的に。
もう醜い争いは本当に見たくないくらい。
しかも誘拐犯は、賢治が車屋で会った荒くれた男。
この男が妻の元カレ。
そしてカイは、その元カレの子・・・というこれでもか!というくらい
設定が入りくんでいるし、元カレの現彼女が共犯となって誘拐。
誘拐事件は解決して無事カイは戻ってくるが、
そこからカイを守る行動で賢治はすごく悩む。
ジェーンが寄り添うも悩み続ける。腹立たしいくらいウジウジしている。
ようやく光明が見えたかと思いきや・・・
誘拐犯の彼女に復讐されるという、
なんとも人間のイヤな部分だけをこれだけ見せられると、ゲンナリしてしまう。
ラストも悲しいなあ。
ジェーンとカイが元カレの墓参りをしているのがどうにも悲しいやらせつないやら。
この後、賢治とジェーンはどうなっていくのだろう?
恐るべし真利子哲也監督。
ドスンと気分が落ち込むヘビーな作品だった。
後悔と蟠り(わだかまり)の積み上がった先にあるものWhat Lies Beyond Accumulated Regret and Unspoken Feelings
自分にとって良い映画かどうかの基準は
観る前と後で、世界が変わって見えるかどうかだ。
その意味で、良い映画だった。
日本、台湾、アメリカ、移民など
ルーツの異なる登場人物が
英語、台湾語、日本語、スペイン語(?)で
繰り広げられる。
始まって程なく、
気にならなくなる。
暮らしていれば
小さな後悔、
小さな蟠り(わだかまり)はある。
主人公の賢治は、妻のジェーンに
子供のカイに、
そして自分の過去に、積み上がったものがある。
彼の仕事は、過去に強く影響を受けている。
おそらく阪神淡路大震災と思われる。
その影響は、個人的に理解できる。
妻ジェーンも、子供のカイに、
夫の賢治に、そして自分の過去に。
二人の後悔と蟠りで、他の人々を巻き込みながら
物語が進んでいく。
正しいとか間違っているとかではなく、
それぞれの想いが交錯し、
人々を突き動かし、
エンディングを迎える。
アメリカという国の
ルーツを別に持つ人々の集合体であることも
観ているものに突きつけてくる。
ああ、だから「Dear stranger」なのか。
【ストレンジャー
〘名〙 (英stranger) 外国人。見知らぬ人。】
メインキャストは、全員
strangerだったよ。
日本人、台湾人、黒人、おそらく南米からの移民。
考え続けることを観るものに求める
そんな映画でした。
My standard for whether a film is good or not is simple: does the world look different before and after watching it?
In that sense, this was a good film.
Characters of different backgrounds—Japanese, Taiwanese, American, immigrants—interact in English, Taiwanese, Japanese, and Spanish (?). But before long, the mixture of languages no longer feels unusual.
In life, we all carry small regrets, and also small, unspoken feelings that we cannot quite put into words.
The protagonist Kenji has accumulated these—toward his wife Jane, toward his son Kai, and toward his own past. His work, too, is strongly influenced by his past—most likely the Great Hanshin-Awaji Earthquake. That influence is something I can personally relate to.
Jane, his wife, also carries regrets and unspoken feelings—toward her son Kai, toward her husband Kenji, and toward her own past.
Together, their regrets and unspoken emotions drive the story forward, pulling other people into their orbit.
It isn’t about right or wrong. Rather, their emotions intersect, push people into action, and lead to the ending.
The film also confronts the audience with the reality that America is a collective of people whose roots lie elsewhere.
Ah, so that’s why it’s called Dear Stranger.
Stranger (noun): foreigner, outsider, someone unfamiliar.
All of the main cast were, in fact, “strangers”—Japanese, Taiwanese, Black, and likely immigrants from South America.
It is a film that demands its viewers keep thinking about it long after the credits roll.
Dear Stranger(映画の記憶2025/9/25)
なんか納得できん場面もありました。(;´・ω・)
① 拳銃の必要性ですね。
② 4歳に殺人罪?? 自己防衛でしょ 誘拐だし。
③ 自首しますって どーにも意味が わからんちん。
でも グイちゃんが 昔のイメージ残していたので
良しと します。手話とかも流暢でしたね。
10年ほど前に観た「言えない秘密」が最高でした。
夫婦って....難しいよね。
かなりモヤモヤが心の中に残る物語
イメージとは違う映画でしたけれど、妙に心に残る映画でした。
主役の西島秀俊さんが、アカデミックな廃墟研究者(大学の非常勤講師。)の役。
西島さんだから、廃墟でのアクション・シーンでもあるのかと思っていた(予告編でそれっぽく誤解させる)けれど、もっと夫婦の内面をえぐり込むお話しでした。
しかし、この夫婦は、結局は妻が一方的に悪いのではないか?とは思いましたね。夫がかわいそう。
悪い意味ではなく、かなりモヤモヤが心の中に残る物語でした。
観終わっても心がざわつくサスペンス
音と言語と静寂と…
予告編を観て…ハードなクライムサスペンスだと思ってた。
しかし、誘拐事件はキッカケに過ぎない。
前半は時々噛み合わない夫婦の生活を淡々と描く。なかなか事件は起こらない。
冒頭の「バベルの塔」のエピソードを持ち出すまでもなく…言語によるお互いの理解というのは可能なのだろうか?…根底にあるこの映画のテーマだろう。またこの映画、とても音に拘っている。
劇伴音楽、効果音、会話そして静寂。耳から入る情報という視点。
ニューヨークに住む日本人と中国人の夫婦のコミュニケーションに関する話。ほとんどが英語のセリフだが…英語は2人にとっては母国語ではないのがミソ。互いに思いのすべてを伝えられないようだ。
夫は感情的になったり本音をボソッというときは日本語が出る。
夫は廃墟の研究者(どんな研究なのかよくわからんが…)。何も言わない廃墟からその過去や人との関わりを読み取る。音のない廃墟は彼にとって唯一、自分自身と向き合える場所なのかもしれない。
妻は近くに住む両親とは中国語で会話をする。
妻は人形劇のパフォーマー。人形劇と言っても音楽とパントマイム…つまり無言の表現である。劇団の中で手話を使うのも興味深い。
妻は人形の練習をしながら…自問自答し、自分の感情を人形に移して表現をする。(部屋で人形を操りながら、まるで憑依されるようなシーンはホラー映画のようだ)
これもまた、妻にとっては自分自身を見つめる行為なのだろう。仮面をかぶることで心の仮面を外す…皮肉な感じだ。
そして、2人の行為は、どちらも言葉に頼らないコミュニケーションである。
話が進むにつれ、この夫婦は会話によって離れていく。他人との距離を縮めるのも伸ばすのも”言語“のなせること。時として他人との会話も雑音でしかない場合もある。
人種のルツボと言われるニューヨークの下町を…現在多国籍化しつつある日本の現状に照らし合わせている気がする。
故障した車は、ラスト近くまで雑音をまき散らし他の音を邪魔しているようだ。ラスト、その雑音が消える信号待ちで夫は、彼にとっての最良の決断をするわけだが…。
言葉の観点からもう一つ…「カイは自分の子供だ」…
実父(誘拐犯)と養父(主人公)が同じ言葉を言う。しかし…実父は、血がつながっているという事実のみに固執した言葉であるのに対し、養父は、息子として守り育てていくという覚悟の上の言葉…。
同じ言葉でもその意味は大きく違う。
映画の中で静寂を壊す二つの音が出てくる。
1つは誘拐された息子が廃墟で暴発させる拳銃の音。
もう1つはラストの信号待ちでの車の衝突音。
どちらもある意味、夫の行動を決める引き金となっている。
あと1つ、音ではないけれど…廃墟のシアターで夫が天井に向けて銃を撃つと、一瞬の閃光の中に…人形をかぶった妻(だろう)人影が映った気がする…これについてはまだ、考えがまとまっていないので…。
とりとめなく書いてしまったが…昨日、映画を観て以来ジワジワと頭の中でいろんなシーンが蘇り、色々考えてしまった。
機会があればまた、じっくりと観てみたいと思わせる作品のようだ。
「巨大な人形劇発見」
冗長でわけわからん。
ニューヨークの大学で助教授として廃墟の研究をしていた日本人の夫・賢治と、人形劇団の監督として夢を追いながら、両親の雑貨屋を手伝ってた台湾系アメリカ人の妻・ジェーン。2人は仕事や育児に追われ、そしてジェーンは父の介護も有り、余裕のない日々を過ごしていた。そんなある日、雑貨屋が覆面強盗の被害に遭った。警察の捜査幼が続く中、今度は息子・カイが行方不明になった。警察は誘拐事件とみて、夫婦それぞれから事情を聴取した。お互いを責め、夫婦間の溝が深まっていき・・・さてどうなる、という話。
最初からずっとスバル車のベルトのキュルキュル音が気になって仕方なかった。いつまで経っても部品が入ってこない?そんなバカな!日本車をバカにしてるのか?
息子がいなくなって警察が来て事情聴取されてるのに、その刑事に向かって、出ていけ、は言い過ぎじゃない?
失踪したら誘拐かもしれないのに、警察がいきなりテレビで情報提供依頼を流す?身代金目的だったら殺されるとは思わないものなのか?
防犯カメラで雑貨屋を襲ったのが誰かわかったのに、警察に言わずにノコノコ1人で行くか?
カイが居なくなったのは自分が目を離してたのが原因なのに、幼稚園に行って文句を言う。何なんだ。
で、結局はドニーは自殺したって事?
理由は?わけわからなかった。
西島秀俊は99%英語のセリフで頑張ってたのは認めるが、誰一人言動に共感できず、疑問だらけの言動で、冗長だった。
あと1時間はカットして、もっとわかりやすく作ってほしい。
雰囲気はキェシロフスキ
真利子哲也監督がオリジナルシナリオ、全編ニューヨークロケで製作した意欲作。持ち味である痛みを伴うバイオレンスは抑えて、国籍が異なる夫婦間の心理サスペンスの趣き。
ダークで硬質なタッチは、フランス資本の黒沢清作品のようだが、見終わった後に、人形劇つながりで「ふたりのベロニカ」を思い出し、キェシロフスキの雰囲気を狙ったのかと思い当たった。
人形劇のほか、バベルの塔、廃墟といったキーモチーフは、夫婦二人のキャラクターや状況を示すものとして理解できる。しかし、二人の関係性に焦点を当てた前半から、子供の秘密をめぐる後半へ、うまく物語や人物描写がつながっていない感じ。ストーリー展開も突っ込みどころが多い。とにかく2時間20分が冗長で、あと30分ぐらい切ったらすっきりしたのではないか。
西島秀俊は、穏やかな前半から、後半になって感情をあらわにするあたりに違和感があった。グイ・ルンメイは、鼻筋が通った横顔が印象的。人型ロボットのような人形は初めて見た。
ジム・オルークの音楽は、いつものギターではなくキーボード主体で、作品の雰囲気に合っていた。
よく分からない(笑)
全68件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。