おーい、応為のレビュー・感想・評価
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へたくそな漫画みたい
麿赤兒と大森父子。
応為の歴史を知れる
圧巻の永瀬正敏
北斎の影に生きた女絵師・応為を描く──映像と音楽の調和が光る作品
先日の『トロン アレス』同様、今回の『おーい、応為』もあまり期待せず、肩の力を抜いて鑑賞した。というのも、過去の『北斎漫画』(1981)や『HOKUSAI』(2020)が正直どちらも印象に残らず、期待値が上がらなかったため。
しかし、本作は良い意味で裏切られた。秀作というより“好感度の高い作品”と呼ぶのがふさわしい。その理由をいくつか挙げたい。
●リアルな日常描写
食事風景や衣装、会話のひとつひとつまで、北斎や応為を含めた江戸庶民の暮らしが丁寧に描かれている。他の作品にありがちな、蔦屋重三郎や歌麿、馬琴、十返舎一九といった人物の“顔見せ的クロスオーバー演出”がなく、あくまで北斎と応為の関係に焦点を絞っている点が好印象だ。
●画家のまなざし
物語は父娘ふたりの絵師に徹底して寄り添い、画家がどのように風景や人々を見て、頭の中で浮世絵として再構築していくのかを映像化している。これは他の北斎作品にはなかった視点であり、実に新鮮だった。
●映像と音楽の妙
日本の四季や庶民の生活を背景に、トランペットとギターによるアンサンブルなJAZZが流れる。意外な組み合わせながら、映像に見事に溶け込み、心地よいリズムで物語を支えている。
特にラスト近く、望遠レンズで捉えた富士山の夕景は圧巻。構図・光・色彩、どれを取っても息をのむ美しさだった。
●二人の俳優
応為を演じた長澤まさみ、北斎を演じた永瀬正敏。
永瀬は海外映画『パターソン』で日本人詩人を演じた頃から演技の深みが増した印象があり、本作でも自然体のまま50代から90歳までを見事に演じ分けている(そのために8kg減量したという)。
一方の長澤まさみは、本作で新たな境地を見せた。男勝りで“べらんめぇ”な気風を持ちながらも、ふとした瞬間に女性らしい色気が漂う。特にキセルを操る所作の艶やかさは、まさに浮世絵的といえる。
総じて『おーい、応為』は、派手さはないが、映画好きの心には確かに響く作品だ。例えるなら、かつてのATG(日本アート・シアター・ギルド)作品のような静かな余韻と趣を持っている。観る人を選ぶタイプの映画だが、じっくり味わうにはうってつけだと思う。
一筋縄ではいかないリアルな会話の面白さ
一筋縄ではいかない会話がほんとうに楽しい。
父子の悪口の言い合いも、怒ったり、泣いたり、笑ったり、
とにかくいろんな感情のバリエーションがあって面白いが、
応為が一方的にしゃべって、北斎がなにも答えないシーンが不思議と印象的。
そうそう、人間の会話は、
いつもテンポよく理路整然とやりとりされてるわけじゃなく、
図星を突かれて黙り込んだり、ムッとしたり、
ちょっと考え込んだりすることあるよね、と改めて気付かされるし、
そんなリアルな間が存分に盛り込まれた会話にすごく引き込まれた。
だから、物語は、駆け足に北斎と応為の半生を点描で辿り、
あまり大きな起伏はないけれど、最後までほんとうに面白く観た。
後半の人生を象徴するかのような富士山のアップの描写は大胆。
大友さんのジャズの音楽も喜劇的な感じが合っていた。
そんな感じかー
大友良英さんの音楽を鳴らしすぎる
葛飾北斎の娘の映画。
予告の感じだと娘も天才の父親の影響で絵を描く人みたいで、父と娘の関係性みたいなところが主題なのかしらと眺めてたら、冒頭からドキュメンタリー映画みたいに手持ちカメラでゆらゆらした映像だわ、娘は全然絵を描かないのに周りの男の絵をけなし人格否定する。これパーソナリティ障害なのかしら。
大友良英さんのどこかノスタルジックなユーモラスなジャズは嫌いじゃないけど、シーンの切り替えのたびに鳴らすので、引越しのシーンもチンドンやの行列のように見えてしまう。
序盤は引きつけて後半だれる映画はよくみるけど、珍しく前半から突き放されて、睡魔におそわれる。
後半は、北斎が出てくるたびにどんどん老けていくのがおもしろい。長澤まさみは全然老けない。このあたりから固定カメラに切り替えてようやく落ち着く。そして、娘が絵に目覚めて、父親に対してもさりげなく愛情を示す。
応為の描いた絵に驚かされる。この時代に光源を意識したグラデーションを表現している。北斎は後にカメラアイと呼ばれる瞬間を捉える天才だったが、娘も光や色彩の天才だった。
タイトルがトリッキー
葛飾北斎の娘、お栄は三流絵師のもとに嫁ぐが、父親は言うまでもなく自分よりも画力が劣る夫に嫌気がさして父の元に出戻ってくる。何人かの子どもの中で唯一北斎の画才を引き継いだお栄は絵を描きながら父の世話をする。常に「おーい、飯!おーい、筆!」のように北斎に呼び付けられていたお栄にはやがて「葛飾応為」という画号が与えられる。
この応為の話だと思って観ていると、応為の修行している様や創作過程の苦しみなどが描かれる訳でもなく、肩透かしを喰らうかも知れない。
タイトルが示すように「おーい、応為」と言っている行為者は他ならぬ北斎であり、応為は北斎の最後を看取るまで献身的に付き添い、一緒に旅をし、共に創作活動に励んだに過ぎない。
そう考えれば、本作の主人公はあくまで北斎である。しかしながら、その北斎も応為の存在がなければ90歳で大往生するまで作画を続けることは出来なかったに違いない。
エンドロールで応為の作品をもっとたくさん次々と見せれば、それでもしっかり絵師としての才能を磨いていたんだ、という説得力を持たせられたはずなのに、しっかり見せるのが一つだけなのは残念。
観る前は「大河に乗っかった企画か?」とも思ったが、そこは長澤まさみ主演なので不問に付す…。
「応為」の生き様
かけがえのない日常
葛飾父娘の日常映画
夫と離縁したお栄が父である北斎の家に転がり込んでから20年くらいの月日の中で、二人の暮らしぶりが断片的に描かれる。
山もオチもない、エピソードの羅列だが、長澤まさみをはじめとする役者陣の演技や、生活感溢れる江戸の描写、犬のかわいさ等があったので飽きずに見ていられた。
実際のお栄は浮世絵師として作品を発表し、弟子もいたようだ。また、北斎の作品にも彼女との共作や代筆があると言われている。二人は師弟であり、ビジネスパートナーでもあったと思われる。この映画だと、絵師としてのお栄の評価や北斎との共同作業は、断片の中でさらっと描写されるだけなのでやや物足りない。
もっと絵師・葛飾応為の物語が見たかったなぁ。
季節は移ろい、歳月は流れる
おもしろく鑑賞できました。前半の北斎も応為も元気に怒鳴り散らしてる年代が楽しくて、ずっと観ていたかったです。お酒を飲みたくなるし、地べたに寝っ転がりたくなります。煙管も美味しそうです。
金魚売りの声、ひぐらしの鳴き、鳴く虫の声が劇伴となり、とても気が利いてました。蛍、花火、富士、雪は幻想的で、季節の移ろいと年月の経過が美しく丹念に描かれてました。虫の知らせ、火消しのシーンは白眉、素晴らしかったです。
欲を言えば、もう少しクリアな画でみせて欲しかったです。ぼかし意図の過剰さに当てられるのと、単に観ていて疲労しました。わたしの観た映画館のスクリーンが大き過ぎてこの映画にとってはアンマッチだったのかも知れません。
永瀬正敏凄い
素人目線の感想ですみません
初めての時代劇鑑賞です。
葛飾北斎にも詳しくない、映画の情報もほぼ無しでの鑑賞でした。
時代劇は子供の頃に同居していた祖父が見ていたのを横目で見たことのある程度であまり得意ではなかったのですが、この作品は見やすかったです。
私にとって江戸の町が新鮮で、それだけでも興味が湧いてきました。
映画の内容は淡々としていましたが、この時代の絵の具は何から作られているんだろう、こんな鮮やかな色が出るんだな、と好奇心が刺激されました。
映画を見ている間は「いい映画〜!」っていう感じではなかったのですが、父親と娘がお互いの絵をリスペクトしている様子や、江戸時代の人と人の関わり合いを思い返してジワジワ心に響いてきています。
葛飾北斎のしわざでした展もせっかくだから行ってみたくなりました。
父を超えて、自分の色を見つける物語です
ダジャレかい!
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