「普通であることは不幸か、それとも幸福か」おーい、応為 虚無さんの映画レビュー(感想・評価)
普通であることは不幸か、それとも幸福か
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物語構成にはせず、アルバムをめくるように、その時々の応為と父・北斎の生活が描かれる。
せっかくの北斎なのだから、一枚ずつ絵を眺めるように、とでも言いたいところだが、写真のほうが近い。
凝縮されたものはなく、写真のように、蓮っ葉な態度を貫く応為は、普通なのである。
それなりに期待もしたのだろう結婚は破綻し、恋しい人には想いを伝えることすらできず、応えるだけで得られた幸福を掴むこともしなかった。
家族を普通に愛し、また家族からも愛されていた。
その普通さが、やけに侘しく感じられてしまうのは、傍にずっと北斎がいたからか。
絵に対する感性もあり、それなりに父や周囲に認められもした。
けれどーー彼女は北斎のレベルからは程遠い。
本人が一番それを解っていたのだろう。
北斎が何度も自分の傍から応為を離そうとしたところは印象的だ。
それでも応為は父の傍から離れなかった。
離れられなかった。
面白くはあったが…正気言えば眠くもあったかな。
波が収まっていくように、話の起伏が進むにつれて小さくなっていったから。
いつでも幸不幸ともに抱える応為のように、面白さと退屈さが常に同居していた…そこがいいとも言えるのだが。
役者陣は皆、素晴らしかった。
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