「神々の対話」おーい、応為 サマシヨさんの映画レビュー(感想・評価)
神々の対話
言わずと知れた日本が誇る大画伯「葛飾北斎」の娘「葛飾応為」を主役とした物語。私は、以前何かの機会に「吉原格子先之図」を見たのをきっかけに応為の存在を知ったが、父親の作風が太陽だとしたら、月の光を思わせる彼女の作品の画力に圧倒され、知名度は父親程では無くとも、娘も負けず劣らず後世に名が轟く程のとんでもない仕事人という認識をしていた。そのため、本作品で描かれたこの親子の会話、表情、一挙手一投足の全てがまさに神の領域にいる人物同士の対話のように思えてならなかった。
それから、ストーリーだけでなく、主演長澤まさみさんはじめ役者陣の演技、表情、仕草は、まさに、いかに「吉原格子先之図」という大傑作が生まれたか、ということを感じさせるものとなっており、作品を生むことの奥深さを味わうことができた。また、こだわり抜かれたカメラワーク、光量のバランス、江戸の町並みや長屋、季節の風景があったればこそ、そのように思わされた訳で、映画職人の方々の仕事の素晴らしさにも感服せずにはいられなかった。
最後に、「HOKUSAI」「北斎漫画」「百日紅 Miss HOKUSAI」と北斎および応為を描いた映画を見てきたが、本作の永瀬正敏さんの老北斎先生が、私が選ぶザベストオブ老北斎となった。特に、第4形態か第5形態だろうか、頭が丸まってからの北斎先生の、出来上がっちゃった感、体使い、死に様が堪らなかった。私は、永瀬さんの役作りに、おそらく北斎が作品作りの際に見せたであろう、狂気とも呼ぶべき命がけの姿を重ねて見ることができ、終盤はひたすら『こうなりてぇなぁ』と心の中で呟き続けてしまった。そのことを思い返すだけでも贅沢な2時間だったと言える。
共感ありがとうございます!
只々ゆっくりした構成の中で、飽きさせることなく父娘の日常を描いているのに感心しました。時代劇には合わないスローなジャズ調の音楽が功を奏したのか、眠くなることなく安心して鑑賞出来ました。
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