「北斎の家事で才能を浪費した人、になっちゃってて魅力激減」おーい、応為 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
北斎の家事で才能を浪費した人、になっちゃってて魅力激減
葛飾応為こと、北斎の娘お栄については、詳しいことは分かっていない。
だからどんなお栄を描くかは、表現者の自由。
ワタクシが今まで読んだ(観た)のは
杉浦日向子著「百日紅(さるすべり)」(1983〜88連載)
とそのアニメーション(2015)。
「嫁入り前」のお栄を描いている。
朝井まかて著「眩(くらら。2013)」はお栄の一生を、
とくに「嫁入り後」を中心に描いている。
どちらも、いろいろ違いはあるものの、お栄を、
北斎の代筆も務めるほどの実力者と認められていたにもかかわらず
表に出ようとはしなかった存在
としていた点は共通。
というのも、第一人者久保田一洋さんらによる最近の研究では、
北斎作とされているものの中に
少なからぬ応為作品が含まれている可能性が大きいというのである。
* * *
映画「おーい、応為」では、残念ながらお栄の人間像は、
「好きな絵は(なんやかんやの末)描くようになったけれど、北斎の家事で才能を浪費した人」
とされていた。
(「眩」では、嫁に行こうが出戻ろうが、描くことはずっとやめない)
北斎の代作の話など、
つゆほども出てこない。
だから前記2作品と、ベクトルが180度異なっている。
これがワタクシには、受け入れられない。
魅力激減。
最後まで観るのに忍耐を要した。
そういう本筋に加え、
個々の場面の台詞と演出も、不出来と言わざるを得ない。
とくに善次郎は、惨憺たるものだった。
「百日紅」から借用した場面も、
とってつけたような感を否めない。
結局、監督(と脚本家)は、
何がしたかったのだろう。
* * *
応為つまりお栄の作であることが確実な傑作
(であることが後世わかった)
「夜桜美人図」と「妓楼格子先図」は、映画でも描かれた。
それがまあ、救い。
>ノーキッキングさん
田中裕子さんは「北斎漫画」、
宮崎あおいさんはNHKの「眩」のドラマ化ですね。
「北斎漫画」は観てないんです。
NHKのドラマは観ましたが、たしかに薄味だった気がしますね〜
共感ありがとうございました。
過去作の田中裕子、宮崎あおい、はピタリとハマっていましたが、ちんまりしていて地味。なので
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