「男前な長澤まさみと、絵師に憑依した永瀬正敏」おーい、応為 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
男前な長澤まさみと、絵師に憑依した永瀬正敏
着流し・へこ帯・裸足の長澤まさみ・・・匂い立つ色気
葛飾北斎の娘・葛飾応為は究極のファザコン、だったのではなかったの
でしょうか?
晩年・中風のため身体の不自由な北斎から、自分の死後、どうする?と
案じられて、
【どうもしねえーよー】と、ベラんめー口調で答える。
しかし応為は同時に、江戸へ帰ったら北斎から離れて
「好きに生きろ‼️」とも諭される。
その時の応為の態度は予想外に激しい。
非常に腹を立てて、
「ずうっと好きに生きている。一緒に居たいから居るのだ」
と観客の私も面食らうほどの怒りで。
応為は父親・北斎を非常に尊敬していて、仕事のサポートに命懸けで
望んでいるのだと、知る訳です。
言わずもがなですが、永瀬正敏の葛飾北斎がもう絶品です。
紹介によると3万点の作品を描き仕事中毒、
晩年に「猫ひとつちゃんと描けない」とこぼすほど、満足を知らない。
また北斎は引っ越し魔で93回引っ越したと記録にあります。
映画の中でも3回ほど荷車を押して引っ越す様子が描かれる。
正直言って、そんなにストーリーに起伏が無く、笑えるシーン、
泣けるシーンもほとんど無い映画です。
画面も暗く、住まいの長屋は万年床を押しのけて隙間で父親・娘が
寝そべって絵筆を走らせています。
灯りは蝋燭一本。
実際に自然光で撮影したそうです。
しかしながら永瀬正敏と長澤まさみは見応えありましたね。
1820(北斎51歳)から1849年5月10日(北斎90歳)に亡くなるまでの
晩年の北斎と応為が描かれていますが、
1938年頃に小布施(長野県)に制作旅行に行き、帰って来た日の
ボロボロに疲れ果てた姿、
後ろ姿の痩せ衰え両足が曲がってO脚になる様子、晩年のハゲ頭の姿。
特殊メイクも凄くて永瀬正敏さんは見せ場と見所の宝庫でした。
応為に話しを戻せば、作品は数十点とのこと。
でも葛飾応為画集が出版されています。
映画の中でも、吉原に出向いて、格子戸越しに遊女が客に声を掛けたり
三味線を弾いたりする様子を見ているシーンがあります。
「吉原格子先之図」で、
このシーンは浮世絵になっていて、映画の中でも披露されていますが、
色調(暗い赤色をベース)、構図、格子戸の内と外が平面で描かれて、
非常に現代的なイラストのようなポスター画のようです。
応為の才能がひしひしと伝わります。
北斎が「富士越龍図」を描きながら事切れる(死ぬ)シーンは事実か
知らないけれど壮絶な死に様。
筆を指から離すのに至難する応為。
その後、
北斎の葬式を立派にあげた応為は猫のように姿を消したようです。
生没年不詳の女絵師。
葛飾北斎の娘。
ミステリアスな応為を、
長澤まさみが生きているように演じて
とても美しい凛々しい姿でした。
共感ありがとうございます!
実は自分と娘の関係も北斎と応為に似ていて、普段の自分の生活と重ね合わせてより一層ジーンときてしまいました。娘が応為のように振舞ってくれるとは思えませんが、父娘の関係性は良い方向に働けば晩年は心穏やかに過ごせると確信しました。
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