「娘(応為)が父(北斎)に最後まで従っていたのは父を天才絵師として尊敬していたから。」おーい、応為 天空住人さんの映画レビュー(感想・評価)
娘(応為)が父(北斎)に最後まで従っていたのは父を天才絵師として尊敬していたから。
この映画、長澤まさみ(応為)主演というよりも、長瀬正敏(北斎)とのダブル主演と呼んだ方がよいです。
・応為が嫁ぎ先から出ていって、北斎のもとに戻ったのは、絵師である応為の夫の絵師としてのレベルが低く、父とともにいるほうが心の平安が保てるからです。言ってみれば「ファザーコンプレックス」の娘であったような方です。
・長澤まさみ(応為)は絵が十数点現存している絵師ですが、自由奔放なキャラクターとして描かれています(髪を結ばず長く伸ばす、タバコを吸うなど)。
・この映画では芸術家である北斎親子は、芸道一筋の生き方を通すため世事に疎く、大名家の家来からの仕事の依頼を「都合が悪い」と断ってしまいます。現代の有名アーティストの振る舞いと相通ずるところがあります。
・北斎親子の作業部屋は現代風で言うと「ゴミ屋敷」状態になっており、引っ越しを繰り返していたという描写は「史実どおり」だと思います。
・しかし父北斎(長瀬正敏)の絵師としての天才ぶりがさすがなもので、娘絵師の応為(長澤まさみ)が父のサポート役として最後まで従っていたのは頷けます。
・映画の後半は、旅行脚となり、あちこちで富士山の絵を描いています(いわゆる富嶽三十六景)。
・この映画は、応為という女性絵師の自由奔放な人生を描くとともに、葛飾北斎という江戸時代の一流アーティストの芸術一筋の生き方を描いた佳作であると思います。
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