劇場公開日 2025年7月11日

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「シンプルなスリラーを斬新な構成で再構築」ストレンジ・ダーリン kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 シンプルなスリラーを斬新な構成で再構築

2025年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

斬新

全6章の物語を第3章からシャッフルして構成するパズルのような斬新な構成のシリアルキラースリラー。
連続殺人事件が全米を震撼させる中、とあるモーテルの前で止まる車の中で出会ったばかりと思われる男(カイル・ガルナー)と女(ウィラ・フィッツジェラルド)は一夜を共に過ごすのか駆け引きをしている。女はあなたはシリアルキラーなのかと尋ねる・・というのが第1章の始まりだが、章の上映順はシャッフルされているので第1章がどこで出てくるかはお楽しみ。全編通してこの男女の追走劇なのだが、ストーリーについてはこれ以上は書けない。
第3章で始まる映画はなぜか全身赤い服を着て耳から血を流す女が男に終始追われている。シリアルキラーに執拗に追い込まれる展開はシンプルかつ定番のスリラー映画だ。
この映画の面白さはシンプルな追走劇の順序をシャッフルした斬新な構成にある。登場人物は少ないが各章の人物は魅力的。
第3章の謎は徐々に明かされていくのだが、キーになるのは「思い込みの危険さ」か。男だから、女だから、そうしたジェンダーによる思い込みに警笛を鳴らしているところもこの映画の深さになっている。
35ミリフィルムによる往年のスリラー映画のルックスといいJT・モルナー監督は巧妙に映画をコントロールしている。またアメリカからスリラー映画の巧者が登場した。次回作も楽しみだ。

kozuka
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