「みんな騙される。」ストレンジ・ダーリン マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
みんな騙される。
全部で6章あるのに、3章から始まって、しかもいきなり犯人の男と被害者の女が分かってしまう。
「えっ、ミステリーなのに、もう犯人分かってネタバレって何?」と思ってると、次は第5章で、ライフル構えたシリアルキラーが、逃げるコネコちゃんを探す場面。なんとヒッピーのオヤジはシリアルキラーに撃たれて血を流して死んでいる。
「ええー、シリアルキラーの正体ってふつう映画の後半で判明して、まさかコイツが犯人だとは思わなかったという意外性でみんなビックラこくもんでねえの? こんなに早い段階で、ここまでハッキリと正体バレバレって何か変だなー」と思いながら鑑賞する。
ここで余りの違和感に、オヤもしかしたら、女性がシリアルキラーかもと鑑賞者に気付かせる。連続殺人の犯人なんて聞くと、みんな思い込みで勝手に犯人は男と決めつけるのを逆手に取ったんだなと観客は分かる。第4章で、誰がヒッピーのオヤジ殺るかだな。ということで第1章へGO。
しかし登場人物たちは騙される。
誰かから逃げているらしい傷を負った若い女性が「助けて」と叫んでたら、誰もそいつが殺人犯だとは思わない。
だから、みんな騙されて殺される。
第2章で下着姿の彼女を助けた2人も、第4章のヒッピーの2人も、第6章の警官2人も騙される。
ベテラン男性警官は警戒したのだが、さすがに相方の女性警官にああまで言われてしまったので渋々同意したのが命取りになった。
エピローグの女性は彼女を助けたが殺されはしななかった。
「銃を向けられたので撃ちました」なんて、さすが銃社会アメリカならではの対応だと思って驚くやら感心するやら。日本だったら相手が銃を持ってるなんて思いもしないから、絶対殺られてる。
アメリカでは小学生の子供でも銃で人を殺すことがあるから警戒はしていたのだろう。
相手が子供だろうが女性だろうが、銃を向けられたら一瞬の迷いが命取り。躊躇なくぶっ放す。お見事 。
ポスターの赤い髪の女性が気になるから鑑賞しようなどと思った僕も絶対殺られてる (-""-;)
【追記】エピローグでも思い込みで判断した (  ̄▽ ̄ ;)
エピローグで女性が騙されてシリアルキラーをトラックに乗せたとき、僕は、シリアルキラーを殺すのは(或いは捕まえるのは)いったい誰なんだろうと思った。も(ぅ)ゼッタイ、オバハンは殺されるか助けられる側で、彼女が自分の身を自分で守る側になるかもしれないという考えは、全く頭をよぎらなかった。
もしかしたら、シリアルキラーが男性警官を殺すのを、たまたま近くで目撃した警察官か一般人が、オバハンを助けるためにライフルでシリアルキラーを殺して一件落着になるのかなと思った。
シリアルキラーを成敗ずるのが、警官にしろ一般人にしろ、僕がイメージしたのは男性だった。
まったく、これじゃあ 「女性は守られ助けられるもの、男性は守り助ける側」っていうゴリゴリの昭和のオヤジの発想じゃね?。 って昭和だけどネ (^^;)
自分はそうじゃないと思っていても、刷り込み・思い込み恐るべし。最近だと認知バイアスって言うようだ。
