フジコ・ヘミング 永遠の音色のレビュー・感想・評価
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心に響く素晴らしい演奏
言葉よりも強いもの
永遠に生き続ける魂
フジコ・ヘミングの存在を初めて知ったのは、多くの人と同じく、1999年のNHKドキュメンタリーであった。都会の片隅で犬や猫に囲まれて暮らす、まるでジプシーのような姿に衝撃を受け、その数奇な人生に心を揺さぶられた。この番組をきっかけに彼女は一躍脚光を浴び、同年に発売されたデビューアルバム『奇跡のカンパネラ』は、クラシック界では異例のミリオンセラーを記録する大ヒットとなった。私も当時そのCDを手にしたが、ジャケットに写るピアノに向かう横顔は、60代後半とは思えぬほど若々しく輝いていた。
本作は、世界がコロナ禍でロックダウンに入る直前の2020年から、彼女が亡くなるまでの4年間を追ったドキュメンタリーである。彼女はこの間も、世界各地で毎年60公演をこなしていたという。90代にしてこの活動量は、まさに驚異的だ。
各地で撮影されたインタビュー映像では、画家だった父、ピアノ教師であった母、俳優だった弟ウルフへの思いが語られる。ウルフ自身の口からも、彼と妻が不遇時代の彼女を陰ながら支え続けていたことが明かされる。また、父親の足跡を辿る過程で初登場した異母妹エヴァさんは、彼女と同じように音楽や動物を深く愛し、住まいに強いこだわりを持つ人物であることがわかる。
ピアノの前に楽譜を置かず、目を閉じて一心に鍵盤を叩く彼女の姿。手と身体に刻み込まれた「ラ・カンパネラ」は、波乱に満ちた人生そのものと深く結びついている。深い哀しみや切なさ、そしてそれを乗り越えようとする情熱的な意志が、音の一つ一つに込められている。その演奏は聴く者の心に強い共鳴を呼び起こし、どこか懐かしく、温かな余韻を残す。本作では、その名演をフルバージョンで堪能できる。
エンドロールに流れる「続けること、続けてきちんと準備していれば、必ずチャンスは訪れる」、そして映画ポスターのキャッチコピー「切ないのがいいのよ、人生は」。これら数々の名言もまた、彼女の音色とともに、永遠に私たちの心に刻まれるだろう。
人生山あり谷あり
目をつむって弾く
焦点をどこに当てたかったのか…
昨年あたりに観た作品とどうしても比較してしまいます。フジコさんはとても大好きで、その世界観がとても美しくて独特で。心に刺さる名言もあります。本作は昨年の映画とは異なり、父親や弟、叔母との繋がりが頻繁に描かれています。そのためピアノのシーンは少なく、フジコさんの胸に刺さる名言も少なめ、私が期待していたものとちょっと違って、少し退屈に感じました。
それでも、フジコさんが演奏するラ・カンパネラは、いつ聴いても目頭が熱くなりますね。ワンチャンも、ねこちゃんもとても可愛い。
フジコさん好きにはおすすめ出来る
自分の足で元気に歩いていた頃のフジコさん。
彼女独特のおしゃべりが沢山聴ける映画だった。また僕の知らなかった40代の頃にヨーロッパで活躍されていたエピソードもあった。
ロシアのピアニストがフジコさんのラ・カンパネラを聴いて(ピアノをあんな風に弾いて良いんだ)と非常に感動していたというエピソードが印象的だった。
恐らくフジコさんの譜面に描かれきれない楽曲の表現力に圧倒されたのだろうと思う。
映画の作りとしては、もう少し工夫が欲しかったかな。
(昔のエピソードを振り返る際に、過去と現在の画がごちゃごちゃしてる部分もあり、見ていてちょっと分かりづらかった)
文句なし!人として演奏家としてのフジコの魂
文句なし!フジコ・ヘミングのドキュメントは配信を含め今回で3作目だが、フジコヘミングの小学生の頃、若い頃のフジコヘミングの日記が残されているとは思わなかった。このような過去があったからこそあの魂をこめたフジコ・ヘミングの演奏になると改めて痛感。カンパネラのこだわりも今回の作品からなのだろう。カンパネラはしっかりフルバージョン。よくここまで映像、資料、写真が残っていた。小松監督に脱帽。素晴らしかった。
孤高の天才ピアニスト
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