「〜再びとそれからの物語〜」見はらし世代 makotoさんの映画レビュー(感想・評価)
〜再びとそれからの物語〜
渋谷の宮下パークの設計者の父親を持つ子供たち。
母親は父親と不仲なのか、死別。
やがて息子と娘は自立して、それぞれの人生を歩んでいる。
海外で働いていた父親が帰国。設計デザイナーの父は展示会場で花屋で新たな人生を歩んでいた息子と再会する。
娘は結婚を控え、幸せなものの
マリッジブルー的な不安を抱えていた。
家族の「それから」の人生を渋谷を舞台に、再び交差する瞬間をファンタジー的に描いている。
栄えた街。
いつか役目を終え、再び再生される。
幸せな家族。
事情を抱えの離別。
家族に対しての、変わってしまった認識と、郷愁の念。
街の再生と家族の「それから」を対比させた作品である。
伏線回収としてヨガ教室に通う娘と、長年会ってない父親の恋人が同じヨガ教室に通っていて、連絡先も交換している。
そして物語の終盤に再会する。
ファンタジーといえど、これはあまりないと感じる。しかしながらの解釈として意図的に焦点をずらしてたのかもしれない。
亡くなった母親が突然現れる事、唐突感と違和感ない姿に観客は困惑する。
亡き者から、いまを生きる人達へのメッセージだったのかもしれない。
主演に黒崎煌代、母親役に井川遥
父親役は遠藤憲一が務めた。
息子役の黒崎煌代のナイーブな表層が光った。
「再生」はボヤけた焦点を合わせる作業。
鑑賞後、古くて狭過ぎる快適性のない映画館を後にして、渋谷の街を歩くと、ボヤけた私の頭と身体が「再生」を始めた。
人は不完全の中を歩み、街も同様に不完全を繰り返す。
「再び」と「それから」の物語。
渋谷の街を歩きながら作品の残像がフラッシュバックしてきた。
こんな余韻もあっていい。
そんな時間だった。
映画みはらし世代の鑑賞レビューです
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