愚か者の身分のレビュー・感想・評価
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搾取と逃走、そして共依存の終わり
まず、作品全体がエンタメ作品らしい見やすさで作られているため、多くの方に見てもらえるように出来ていると思いました。正直、最初は闇バイトや反社のエグい部分をたくさん見なくてはいけないのかな、と思い、そこまで耐性のない人間としては興味があったものの、抵抗感があり、見るまで時間が掛かってしまいました。しかし、蓋を開けてみれば、色々な意味で程良い人物描写によって物語が進んでいると感じ、そこまで目を背けたくなるシーンもなかったです。また、エンタメ作品らしいというのか、主人公側の3人の掛け合いがほのぼのとしていたり、どこか疑似家族のような作りにもなっていたため、緊張感ばかりではなかったのも程良いポイントのように思いました。
個人的にこの作品は、題名にも書いたとおり搾取する者とされる者、逃走する者と追う者が重層的になっていることが分かりやすく描かれています。
例えば、主人公たち闇バイト側は、被害者を選定して懐柔し、言葉巧みに騙し、戸籍を盗んで金を得るということをしているのですが、その主人公たちも反社の中枢である大人たちによって利用され、暴力を受けているという構造が明確になっています。そしてその反社の大人たちの中でも裏切りが起こっていて、つまりは搾取のし合いが起こっていることも物語では描かれています。主人公であるタクヤ(北村さん)やマモル(林さん)、そしてタクヤを闇の世界へ誘った張本人である梶田(綾野さん)は、そこに巻き込まれて闇の世界からの逃走を図るのですが、そこでも反社の大人たちによる追手が容赦なく彼らを傷つけてきます。個人的には、タクヤが目を物理的にくりぬかれて自室に放置されていたのはなかなかインパクトのあるシーンだったと記憶しています。一方、恐らくですが反社の大人たちもまた、警察の手を逃れるために末端の者たちをトカゲの尻尾切りの如く捨てていくことで生き抜いているのだろうな、ということも想像でき、しかし結果的に警察に摘発されるというのは「ざまぁ」という気分になれました。何より、逃走中にタクヤと梶田がラブホでジョージらと格闘する場面などは「いいぞ」と思いましたし、ジョージにタクヤがハサミを突き刺して梶田が蹴り上げたところなどは、「その金歯もへし折れば良い」くらいに爽快でした。この辺が程良いエンタメ性を如実に表しているとも思います。
もっと言えば、一方的に搾取されていると思われる被害者や戸籍を貰って「生き直し」を図っている人たちも、実は現実からの逃避を図っているという点です。妻に子供を殺された江川(矢本さん)や、最初に出てきた性犯罪者の中学生教師などの描写からもそれは明白で、要するに登場人物すべてが「現実」という得体の知れないものから逃げるために相互に奪い合いをしているのが、この物語の作劇なのだろうなと思いました。
とにかく、個人的には上記のような搾取と逃走の重層的な構造こそが、この物語の肝のように思っています。
また、主人公二人の結末もとても恣意的だと思いました。タクヤは闇バイトに関わった原因とも言える亡き弟の面影を、マモルに重ねており、彼のために闇の世界で自由と金を手に入れさせようと誘っておきながら、一緒に闇の世界から抜けさせそうと画策もします。同じくマモルも本当に欲しかったであろう家族からの愛情のようなものを実兄たち以上に自分に手を掛けてくれるタクヤに求めて闇バイトに手を染めていきます。冒頭でタクヤがマモルに初めて仕事を任せるところで見せる、マモルのキラキラした目は、家族に一人でおつかいを頼まれた子供のようにも見えました。そのような二人ですが、上記のようにその繋がりは犯罪であり、マモルが任された仕事は人を騙して利益を得るものです。二人ともそれを理解しながらもどこか青春の1ページのようにそれで得たお金を使って歌舞伎町を練り歩いている訳ですから、見る人が見ればとても許容できるものではないはずです。そのような関係は最早、共依存だと思いました。つまり病的なものだということだと思いました。なので、そんな二人が最後は互いの行き先すら知らずに別れていったのは、エンタメ的には切ないものの、現実的に考えれば因果応報なのだとも思いました。悪いことでしか繋がれない関係性の切なさは理解できる一方で、その残酷な終焉を淡々と流れで描いているところはとても好感が持てました。
因果応報という意味では、最後に反社の大人たちが一斉検挙されたことももちろんのこと、逃げ延びたと思っていたタクヤと梶田のもとに警察が内偵(?)を掛けていたところも印象的で、そこまで時間をかけずにこの二人も捕まることが示唆されており、闇に手を染めた者には自由がないということを見せてくれるところも、多少説教臭いと言われるかも知れませんが情操教育的に良いと思いました。そういう意味では、タクヤに守られ、本当に暗い部分を知らなかったおかげで逃げ延びられたと思われるマモルと、反対に結構暗い部分を知っていたように思われるものの、ちゃっかり逃げてメールだけで関係を断ち切れる希沙良(山下さん)の処世術の出来具合なども恣意的だな、と思いました。結局は、タクヤや梶田が言っていたとおり「同情するな」の精神で自分の身だけで逃げた者が生き残ることが出来るのが闇の世界ということかも知れないし、一方で浸り過ぎると人間性が失われていくということなのかも知れないと思いました。
そんな感じでテーマ的にもメッセージ性的にも分かりやすく、程よいエンタメ性もあり、若者に対する教養的側面もあると思う本作なのですが、あくまで個人的には、登場人物たち(特に主人公たち)が少し都合よすぎるかな、と思ってしまいました。
正直、闇バイトに触れるような人たちは、所謂「一般社会」というところで立場や役割を与えられず、あるいはそこに嫌気が差している人たちが大半だと思います。なので、自分のためにもっと冷たく他人を勘ぐるし、チンコロしたりされたりしているし、本当に不要となれば自分たちに足が付かないように確実にその人間は殺すのではないかな、と思います。なので、共依存関係のタクヤとマモルはともかく、梶田までもが山梨まで行っておいてタクヤの人情話を聞いただけでどうして自分や木南さん演じる恋人を危険にさらしてまで動けるのか理解出来ませんでした。もしかすると、梶田もタクヤに対して弟のような愛着を持っていたのかも知れないし、だからこそ、逃走中に妙にグダッとした場面(トイレに行かせたり、タバコを吸わせてあげたり、ラブホで髪を洗ってあげたり)があったのかも知れませんが、そこの描写があまりないように感じられたので、個人的にちょっと無理があるのかな、と思いました。
また、同じことは反社の大人たちにも言えて、どうしてタクヤを殺さなかったのかが疑問でした。あそこまでやったのだから、いっそのこと殺しておけば良かったではないかと思うし、内臓を売るために鮮度を保ちたいと本当に思うのなら、日を跨がずに目をくりぬいたその日のうちに運べば良かったように思ってしまいました。同様に、反社の人たちが実際にどれくらい抜けているかは知りませんが、タクヤと梶田の関係性くらい把握していても良かったのではないかな、とも思ってしまい、そこも随分と甘いな、と思いました。そういう間抜けなところも描きたかったのかは不明ですが、それでは闇バイトと反社の恐ろしさを教養的に伝達する効果が薄れるのではないかな、と思ってしまいますし、正直、「北村匠は殺せなかったのかな」と、メタ的なことまで勘ぐってしまい、モヤッとしてしまいました。
江川にタクヤが「罪滅ぼし」と称して二千万円をマモル経由で渡したのも、上記のような理由であまりに自己犠牲が過ぎて、ちょっと非現実的だなと思ってしまいました。ここでもやはり「北村匠を完全な自己中にはできなかったのかな」と勘繰った次第です。
このような登場人物たちによる物語なので、エンタメ性は担保されて気分は良いものの、闇の世界のエグさは少し薄れたように思いました。同時に、そこで生きる人たちの残酷性も損なわれたことで「こうまでしないと生きられない」というメッセージ性も減少し、一部の闇に染まった大人たちだけが報いを受けたような受け取られ方をされてしまうようにおもってしまいました。
ということで、総合的なところ、程よいエンタメ性がある一方で、闇の世界とそこに生きる人たちのリアルさが、個人的に少ない分、テーマと共に担保されていたメッセージ性も減少してしまったため、上記の点数とさせていただきました。
タイトル通り愚か者。
闇ビジネスの話。
弟を救う為に戸籍を売って、そしてどんどん愚かになっていきます。
本当はすごく優しいお兄ちゃんだったんだろうな。
お箸の持ち方の違いとか、すごい細かい部分で、色々表現している作品だと思います。
みんながみんな、人を想う気持ちは持っているのに
人を騙して、お金に目が眩み、負の連鎖だけど
すごい人のことを思う力とかを感じる映画でした。
3人が揃うシーンのジャケ写は、実際は揃うことのない3人の写真でした。
目は無くなったけどどうにか逃げ切れだと思ったら
最後は、あの騙した男が警察官でしたね。
囮捜査、その後は描かれてないけどきっと北村匠海は捕まっちゃうんだろうな。
弟みたいに可愛がってたあの子、全員犯罪者なのに、逃げ切って欲しいって思ってしまう作品でした。
目がなくなったことに気づかずに、目隠しだと思ってる瞬間と、目隠しがないことに気づいて叫ぶシーンは思わず涙が出ました。
目がないことを受け入れるの早くて、スってして過ごしてる時間は、え?こんな平気なの?痛みは?ってかんじで不思議でした笑
臓器売買ってあんなふうにほんとあるんだろうな。怖いなぁ。
映画館で見てよかったです。
覚悟していた以上のイタさ… 観たかったものが観られないツラさ
朝ドラでめちゃくちゃいい人(やなせたかし先生)を演じていた北村匠海くん。あれはあれで素晴らしかったけど、戦争中のちょっとヤバい状況になったときの方が真に迫っていて真骨頂だなと感じたのが本当のところ。
ちょっと痛い映画かもと覚悟しつつ、「悪い夏」のような三白眼北村くんに会えるならと観に行ったけど、“ちょっと”なんてもんじゃなかった!
登場人物たちが揃いも揃ってイタいうえに、北村くんが受ける暴力の痛さと言ったら!あれじゃあ出番の半分近く、お目当ての三白眼演技を観ることもできないじゃないか!
あんなクソみたいな世界の中で、主役クラス3人の間には相手を思いやる気持ちが残っていて、だからこそ物語が成立しているんだけど、現実のああいう世界では、容赦なく切り捨てられて物語にもなりようがない状況もあるんだろうなと思って、背筋が寒くなる。
戸籍まで取られて搾取されるばかりの“貧すれば窮す”状態には覚えもあるので、自分の人生も歯車がちょっとでも狂っていたら我が身に起きていたことだったかもと(この先も可能性はあるけど)考えると心が痛くなる。
それにしても本当に痛かったしイタかった。イタすぎたけど、観て後悔はなかった。苦悩する綾野剛さんが良かったし、どこまでも彼氏と牛乳のことが気になる彼女(木南晴夏さん)が最高だった。マモル(林裕太くん)を含め、彼らの未来に光はあるのか。光を失ったタクヤの未来は…フィクションなのに現実かのように気になっている。
希望の光が生きてゆく支えに変わりゆく。
今年観た映画でどれよりもグロくて吐き気がする作品でした。
スプラッターとか脳みそグチャとかはらわたがーではありません。ちょっとだけそんな描写がありましたが、それよりもはるかに上回る気持ち悪さが反社や暴力団くずれの奴等が人の弱みを握りあっさり使い捨て金を得る。ただただ金を得るだけの欲にまみれているのがキツかったです。
タイトルの『愚か者』よりも『身分』というワードがかなり引っ掛かりました。
作品の中でいろんな理由があるなしに若者が居場所を求め行き着いたノワール世界。
底なし沼に時間をかけて沈んでいきます。
3人の視点から描かれた作品ですが自分よりも後からハマった若者にまだ僅かに残っていた良心が小さく囁くのが耳の奥に残って離れません。
そして成り行きに身を任せ突っ走ります。
得たもの失ったものはそれぞれ大きかったんですが1番の収穫は希望でした。
この作品を観て知らなくていい世界が存在し踏み入ってはいけない事を知らしめてくれています。
手のひらの小さな画面や大きいスクリーンの向こう側の別世界ではありません。
奴等は身近にいるんです。暴力団やらトクリュウやらといろいろと名を変え手口を変えて私たちの世界に潜んでいるんです。
若者の小さな声なき声を拾い耳を傾け手を差し伸べるそんな運動が、未来を希望で溢れるひかり輝く世界へとなるのです。
キラキラ音楽
使わないで!と思っていたが、あのエンディングならやむを得ないか・・せめてカラコンを蹴飛ばす辺りは無音位が良かった。
煮付けの目玉の下りから嫌な予感がしていたが。
山梨の病院、金歯怖い。女がチクッたのかと思ったらバックアップ・・ますます怖ろしい。
後輩くんは子犬の様な眼差し。
役者に対しての映画評価
豪華役者に対して映画がいまいち。そもそもジャケット写真の3人での物語を期待していたが全く違った。映画は予告なしでワクワクする人もいるので考えてジャケットを決めて欲しいと思った。内容も最後マモルの描写が曖昧で終わった。いろんな描写を持ち入れずに、もっとストーリーを絞って細かくやって欲しかった。
今年1番の映画かもしれない
映像のひとつひとつが丁寧に撮られていると感じました。
打ち捨てられて雨水に溶けていくシェイクと、川に漂う壊れた傘。それに対比するような、夜明けの眩しい光や手料理のぬくもり。彼らはそれらが共存する世界に生きている。
やさしさだけで生きていける場所ではないけれど、ひとにぎりだけでも、それを希望にして生きることはけして愚かではないのだと思う。
言葉で表現しようとすると、拙いものにしかならず、勿体ない。そんな映画でした。
ふたりが魚の煮付けをまた一緒に食べる日が来ることを願ってます。
リアルで、少しだけファンタジー、そして途轍もなくヘビーな映画
かなり疲れました。観終わった時には、もうグッタリでした。
展開が読めないところは面白かったような…でももうちょっと救いがあってもよかったような…いや、あったのかもしれないけれど。
とにかく辛い話でした。
街の雰囲気は今風でしたが(正確には外国の方がもっと溢れていますが)、戸籍売買に臓器売買、親に恵まれず闇に生きて行くけれど半グレに利用され…というと、時代設定は90年代後半からゼロ年代辺りでしょうか。
タクヤについて、
「それほど悪いことをしていないのに、可哀想」
と思ってしまいました。
そして、私の善悪觀念はおかしいか!? とちょっと悩んでいます。
もちろん違法行為には違いなく、安易にラクに稼げる処へ身を寄せたのだから自業自得と言えなくもない。
けれど、ゼロ年代は、身寄りのない若者にとって普通に生きて行くことが難しい時代でした。
それでも、頑張って悪に手を染めずに生き抜いた人はたくさんいる! との反論はもっともなのですが、全員が生き抜けるほどのキャパはなかったと思うのです。
「それほど悪いことをしていないのに」と思ったのは、昨今の闇バイトと比べて、なのかな。
ゼロ年代と今を比べると、全体や平均はよくなっていると思います。
でも、悪のレベルは上がっている気がするのです。
自分が金を得るために、どこまで酷いことができるかのレベルです。
私見なのですが、摘発や取り締まりを厳しくすればするほど、悪のレベルは上がっていく気がします。
取り締まりが不要だと思っているわけではないのですが、強力な殺虫剤を撒いても、害虫は進化して生き延びるだけ、みたいに思えてしまう…
(我ながらヒドイ喩えで申し訳ないです)
フィクションなのにドキュメンタリーに見えてくる作品。闇の世界に落ちた三人が、それぞれの方法で闇から這い上がろうと足搔くが、それらはやがて一本の線に繋がっていく。
アバンがなく、すぐに縦書きのタイトルが出てくる始まり方は、昭和のヤクザ映画を彷彿とさせましたね。街の愚か者タクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)がじゃれあっている。一見楽しそうだけど一般人は絶対に近付かない夜の風景。ここからドンドン闇社会の残酷さが暴かれていきます。
マッチングアプリでカモを釣り上げて希沙良(山下美月)に陰で指示を出しながら戸籍の売買という最悪の方向に誘導するシノギの手口。実はタクヤ自身も戸籍を売っているという事実からも、本音ではこのシノギで不幸になる人を作りたくない、自分も闇ビジネスから脱出したいという気持ちが演技の細かいところから垣間見えます。
ここからはタクヤの個人視点で話しが進みます。巨大な闇ビジネスの後ろ盾は、当然一つや二つだけであるはずもなく、シノギの奪い合いの現場を目にしたある意味賢いタクヤは、脱出の準備を梶谷(綾野剛)と進めていきます。梶谷の車の後ろに積んであるキャスターバッグに自分が詰め込まれることになるとは知らずに・・・
そしてマモルのターン。上記の光景を目撃してしまったマモルは、タクヤの前に立ちはだかって何をしていたか詰問しますが、それには答えないタクヤ。「物事は知らない、知ろうとしない方が良いんだよ」という佐藤の言葉がここで効いて来ます。マモルが真実を知ったのは、タクヤの目玉が無くなった後なんですけどね。
梶谷は当初計画通りにタクヤを内藤病院に運ぶことを考えていますが、途中で休憩をしたり恋人の由衣夏(木南晴夏)とスマホで会話しているうちに気が変わります。「そうだ、俺も闇から脱出しよう」と。ここから梶谷とタクヤの逃走劇が始まりますが、GPSを車に取り付けられていたり恐ろしいシーンが連続しますが、梶谷が唯依夏に準備させていたことが功を奏して西宮に逃げ延びます。
西宮の生活で二人は鰺の煮つけを食べますが、そういえばタクヤの部屋を掃除し終わった後のマモルも冷凍した鰺を欲しがっていたな、と思い出したところでの答え合わせが秀逸でしたね。タクヤが江川に託した生存証明メール、星印の封筒の中身がマモルに届いたときタクヤの計画の全貌が明らかになったのは圧巻でしたね。マモルも希沙良のメールでピンチを回避できたし。
フライヤーの写真みたいに三人が肩を組んで笑いあうシーンはありませんでしたが。三人が闇社会から遠いどこかで繋がって、いつか笑って再会できる未来を期待させる作品でした。
思ってたのと違う・・・
小説は未読。残念ながら予告が全てで現実はこの何倍もエグイと思ってます。
まず現在の「闇バイト」。
先日の異国での摘発でも明らかになっていましたが・・・足がついても末端のみで赤の他人同士が寄せ集められて実行という形式になっています。
舞台設定がいつなのかわかりませんが「映画的に」幹部がのこのこと現場に出てくるのはコントかよ!と突っ込まずにいられません。
強奪した金もこのご時世に「現ナマ」です。戸籍を売りたい困窮者がいるのであれば口座を借りてマネロンしないのか?仮想通貨なり簡単に奪えない土地やら権利に変えてしまったほうが安全でしょう。
隠すのは・・・簡単に偽造できる鍵かよ。現在はせめてパスワードだろ!
一番よくわからなかったのは組織が「何故、主人公の眼球のみ取って生かしておいたのか?」です。
拉致して麻酔して眼球+各臓器を奪って焼却が一番足がつかないでしょう。
あんなぐりぐりやったみたいな保存状態でまともな移植に使える訳がないし、出血多量の割に元気すぎやしませんか?
また臓器なんて戸籍を売った生活困窮者を騙して拉致ったらすぐに用意はできるでしょう。
(現実的に適合するかは不明)
それでも車内で眼球が無いと気づくまではまだ見れたのですが・・・その先の逃走劇がコントにしか思えませんでした。
GPSのくだりも「映画的」すぎて苦笑いするしか。
車を強奪して替えるとか・・・身バレしているはずなので服装くらいは変えましょうよ。素人かよ。
年齢性別問わず、スマホからの指令で見ず知らずの他人が急に襲撃してくる恐怖。
北野武さんの「ソナチネ」「アウトレイジ」くらいの緊迫感が欲しかったです。
そういう細部に乗れなくて何かもったいないなぁ・・・と感じました。
コンプライアンス的にエグい表現が難しいとは思いますが、若者に向けた注意喚起としてはいい映画だと思います。
しかし、ノワールものとしては物足りません。
ひとつ評価したいのは男同士の信頼・友情に重点をおいてベタな男女間の色恋話を極力排除している点。セックス・ドラッグ問題も入れていたら更にチープな仕上がりになっていたと思います。
やっぱり大学生がツイッターで気軽にバイトを始めて転落していくほうが現実味はあるかなぁ。
韓国映画みたいにハンマーで老人宅を強盗など表現的に映えそう。
(たぶん生活保護ビジネスも盛り込みたいのでこういう設定なのだろうな・・・)
アニメでも最近多いが「 煙草を吸っていれば絵になる 」的発想もなんかダサいと思ってしまいました。
落とした財布やスマホが戻ってくる日本であって欲しいと思う。
途中、息を飲んだ。
フリはあったので、そうかなと思っていたけれど、反面、「まさかそこまでひどいコトをしないだろう」と思っていたら、それ以上が来て、戦慄した。
むごすぎると思った。
生きたまま眼球を取り出すことも、更に腎臓を摘出するために息の根を止めないことも。
人間を人間として扱わないというのは、こういうことなのか。
そこまでして、お金を手に入れる必要があるのか。
一見平和な日本社会に、こんなギリギリの戦場があるんだ。
ここまでの凄惨な展開にするなら、梶谷が病院に入ってバッドエンドの方がすんなりきたかもしれない。
ヨーロッパでも、夜は危険なのでほぼ外出しない。
もしするなら、ホテルにタクシーを呼んでもらい、ドアトゥドアにする。
しっかり持っているバッグを奪われそうになった時は、大声出して、相手の腹に渾身のケリを入れ、倒した。
その後、振り向かず全速力で人混みの方に走って逃げた。
日本で、真夜中にひとりで歩いていても怖いと思ったことはない。
自転車かごに鞄を入れて走っているが、盗られそうになったこともない。
でも、水面下では、日本の治安も揺らいでいるのだ。
昭和生まれがごっそり抜けた50年後の日本は、どんな社会になっているのか。
搾取すること、命を奪うことに葛藤も罪悪感もないアンダーグラウンドが、更に広がっているかもしれない。
マモルの今後を思いながら、エンドロールを眺める。
主題歌を聴きながら、彼が再度奈落に落ちないことを祈った。
何が幸せなのか
予告で気になって鑑賞
とりあえず見て良かった
めっちゃ好きな映画やった
主役3人の演技が全員良かった
北村匠海ってすごいってなった
パンフレットを踏まえて色々思ったのを散文的に
この映画がエンタメでありながら、問いかけてくる一面もあるのは本当に感じた
この3人はきっと形を変えて現実に存在してるし、もっと実態は悪いかもしれない
だからといって今自分に何ができるわけではないけど、そのことを認識をしなきゃいけないよなって思った
自分はこの映画のラストを全員救われないなって思ったけど、パンフレットにタクヤたち神戸組は警察に捕まったことによって救われる、やり直すチャンスを得るみたいなニュアンスが書いてあってその発想はなかったなとなった
自分はどこか映画一本で彼らの人生に終わりをつけてしまっていたんだけど、そうではなく彼らの人生は映画のエンドロール後も続いていくんだな、と
そういう意味を含めても、この映画はフィクションでエンタメの側面を持ちながらも現実と地続きで繋がっている気がしている。
92/100
物語は面白かったのだが
物語は面白かったのだがラストはあれでハッピーエンドってことなのかなぁ。
だとすれば物足りない。
このあとも作り続ける序章であるならば素晴らしい。
三者三様のこれからの人生も是非つくっていただきたい。
しかし北村匠海っていい芝居するよなぁ
人生讃歌
「ミーツ・ザ・ワールド」と同じく新宿を舞台にした作品が同じ週に公開されるっていうのは運命ですね。
こちらはヘビーな内容ではありましたが、エピソードがとにかく濃く、三者三様の物語の繋がりがお見事でやられっぱなしでした。
あらすじをサッとしか目を通してなかったので、ポスターの3人が同じタイミングで行動していくもんだと思っていたんですが、それが違ったのも良いギャップが個人的には生まれていました。
戸籍売買を生業にしているタクヤと舎弟であるマモルの物語から始まり、その戸籍売買がトラブルに発展していくのかなと思いきや、組織内部でのやり取りが原因で話が広がっていくというのが良かったです。
タクヤとマモルがしっかり仕事をやったり、仲良く飯を食べて酒を飲んだりするところなんかは裏社会の話とは思えないくらい良い雰囲気でしたし、マモルの過去回想はかなり激重でしたが、タクヤと共に生活をするごとに心を開いていき、タクヤと共に違う世界へ出ていくというのも良きでした。
2人で魚の煮付けを食べるシーンとかめちゃくちゃ大好きで、シンプルなおかずとご飯ですが本当に美味しそうで幸せな瞬間でした。
タクヤ視点でも過去回想で家族を亡くした過去が明かされたりとで激重かつ、マモルを裏社会に誘ったことを悔やんでいたり、なんとかこの世界から逃げ出そうと考えていたりと、良い人が出まくっていて心がキューっとなりました。
徐々に不穏な雰囲気になってはいきますが、その展開まで持っていくか…とヒュッとなる時は辛かったです。
目玉はスプーンで軽くすくえるだったり、中国人夫婦の奥さんの目の手術だったりとで伏線はあったんですが、まさかその伏線の回収をガッツリやるかつその絵面をドーンとお見せするところは流石にビックリしました。
思いっきり目から流血しているもんですから鳥肌が立ちましたし、それを病院に運んで腎臓も取って…と更なる方向性に向かっていくのでゾワゾワしてしまいます。
そこにタクヤの兄貴分である梶谷がやってきて、その姿を見て驚くのですが、感情が表に出る人なんだなというのが意外性があって良かったですし、タクヤを病院に連れて行こうとしたのを後悔して、すぐさま逃亡に切り替えるところが男らしさ全開でカッコよかったです。
ホテルで髪を洗ってあげるシーンとか優しさが滲みまくってて良かったです。
終盤の畳み掛けのクライマックスもえげつなく、裏社会との決別を決意しつつも、それを許してはくれないお偉いさんとのバトルは見応えがありましたし、人との縁を感じられる逃亡ってのも良かったですし、マモルの寂しそうな顔で終わっていく余韻込みなものもとても好みでした。
タクヤと梶谷で一緒に魚の煮付けを食べてるシーンもこれまた良くてお腹が魚を求めていました。
細かなところの伏線も回収したり、罪滅ぼしをやり切るところなんかもメイン3人の義理堅い性格が物語の暖かさに繋がっていたなと思いました。
主演3人含め役者陣の好演も今作の素晴らしさに彩りを加えてくれていたなと思いました。
とんでもない爪痕を残しつつも、どこか清涼感のある、不思議ながらとても見応えのあった作品でした。
面白い邦画が盛りだくさんで日本人としてめちゃめちゃ嬉しいわ〜となりっぱなしです。
鑑賞日 10/24
鑑賞時間 14:50〜17:10
気を抜いてたら
闇バイトしてる調子乗った若者が、
お金パクって、組織を抜けて、友情を深めながらの逃亡ロードムービーなのかなあ、
とか思いながら見てた。
「駄目だぞお」みたいに、コツンとげんこつでもされて、逃亡するのか思ってたら、
制裁があまりにもが凄惨すぎて、劇場内も全員、息止めてるぐらい静まりかえってた。
本当に気を抜いていたから、凄い効いた。
こういう闇バイトとかへの、因果応報を啓蒙として見せてるんだろうけど、
エグかった。
最後に組織の人間も捕まるみたいな展開は、個人的には帳尻合わせ過ぎて好きじゃないな、と思ったのと、
GPSを2つも付ける徹底ぶりの組織の人間が、大事なコンテナの鍵を手下に預けるのが違和感すぎるかな。
プチ見どころは、制裁を見て驚くヒロインの、演技のチープさと、一言しかセリフのないネカフェの店長の存在感の凄い秀逸な演技ですかね。
闇社会で生きていく(しかなかった)、愛すべき愚かな若者たちの激動の数日間。
中盤はどの立場であっても辛すぎて信じたくない場面ばかりで胸が苦しくなったけれど、最終的に希望を持つことができて救われました。
この映画が誰かの逃げ場所になりますように。
弟(分)を想う親心のリレー・循環に胸が熱くなる。
私利私欲にまみれた人よりも、人を想う暖かさや人間味あふれる人が報われる世界であってほしいです。
日本の遠くもない現状がささる
少し重そうだなくらいに思ってたけど、主演三人が絶賛されているのでみてみた。ショッキングな映像にはびっくりしたが、本当に良かった。
家庭環境に恵まれなかったばかりに家を飛び出して、3度の飯と雨風凌ぐために犯罪に手を貸し、抜けられなくなり悲惨な目にもあっていく。改めてそうならずに済んだ自分の境遇にも感謝した。
最後はちょっと上手くいきすぎな気もしたし、マモルが果たしてあのお金を抱えてまともに生きられるのか?タクヤはあれでどう生きていくのか?梶谷が一生面倒見るのか?最後警察に捕まらないように、とつい願ってしまったがそもそも罪を償わなくてはいけないはずで、きっとこの先も順風満帆とはいかないんだろう。なんで捕まるところまで描かなかったのかは知りたい。。
戸籍を売るということ、2年くらいで帰ってくるという理論もよくわからないが、住民票が取れなくなる、家が借りられなくなる、銀行口座を作れない、偽造の免許証だけあって一体何ができるのだろう。腎臓を売るより軽く感じてしまうのだろうか。150万くらい?自分の存在を捨てるには安すぎる。でもそんな人がたくさん世の中にはいるんだね。
北村匠海はほんと出来杉くん、家族や人との繋がりを大切にして、美しい言葉を紡ぎ、音楽と俳優を両立する。頭も良さそう。それが今回の役に今までになく合ってる気がした。ヤンチャながら優しくて、落ち着いていて、家族のために裏の世界に入ったが悪くなりきれないタクヤにピッタリだった。
そして林勇太くんのマモルもあまりにピュアで心を打った。暴力のトラウマを抱える中で兄貴分に懐き、裏切られ、現実を知っていく。あとの二人に囲まれて見劣りしないか?という疑りは払拭されていた。彼が空気を作っていた。
そして綾野剛もすごく良かった。後輩を地獄に運びながら、めんどくせえと連呼しながら後輩を見捨てられない兄貴分、ピッタリだった。
三人揃って釜山で賞とったというのが、内容とは関係ないんだけどなんか見終わったあとちょっと救いに感じる。
絶句
なにこれドキュメンタリー?
なんかのビデオ?
ひょっとしてライブ中継でもしてる?
って思っちゃうほどリアルで終始動悸が止まらなかった
見終わってもずっと頭から離れない
タールのように重い何かに、私の心は取り憑かれてしまったようだ
普段、こういう映画は観ないけど、北村匠海くんが出ているならと出向いてみた
あぁでもやっぱりキツイな…
愚か者の身分、愚か者の身分、愚か者の身分
【愚か者】ではなくて、愚か者の【身分】
どういうこと???怖い怖い怖い!!!深く考えたくない!!!悪夢だ…
タクヤ、不死身なの??
強烈過ぎて…キミスイの北村匠海くんがいい…ヤンチャでもタケミチくらいでいてほしい
梶谷さん、本当はアナタが一番あの世界から抜けたかったんじゃないの?
マモル、大丈夫かな
私は君が一番心配だよ
リュック、ドサッと投げ捨てるように置いて橋の下覗き込んでいたけど、あの日のタクヤを思い出していただけだよね??
一呼吸しただけだよね??
ちゃんと生きていくよね??ね?!!
リアリティのある映画で役者も演技も最高だったけど、また観たい映画ではないので★3で!
気持ちがすっかり落ち込んでしまったのでまた「秒速〜」観に行こうかなぁ
もし自分が原作者だったら最高のかたちで映画化してくれて、天にも昇る心地だろう。
一貫して苦しい物語。
最後光が差すシーンが描写されているが、本当に希望の光なのだろうか。
罪のない人を騙して大金を得て、こんな奴ら地獄に落ちれば良いのにと思いながらも
地獄で生きてきた人は地獄ループから抜け出せない非情さをリアルに描いている。
現実には憎き集団の人間を我々は映画内で応援してしまう映画のコントロール能力に脱帽。
メインの3者は皆素晴らしい演技を魅せてくれた。
マモル
林くん、本作で初めて知った俳優。子役出身なのかなと思うほどの童顔で
「弟感」がぴったりすぎる。こんなん誰だって守りたくなるはずなのに
マモルという名前は誰がつけたのだろう
タクヤ
つい先月まで半年間朝に彩りを与え、多くの子供を救った面影は一ミリもない。
最早「演技上手いなあ」とも思わせない位、タクヤそのものを生きていた。
・北村匠海のビジュの良さが、前半で映画の華を添えるが、
中盤で映る、本作での一番のドアップが恐らく匠海くんの俳優人生で最もショッキングな映像かもしれない
(出演作品を全て観ている訳ではないので確証はありませんが)
前半と後半の「目の演技」と「目以外の演技」の対比が良かった。
手術代が葬儀代になってしまった。
それも参列者居ない…....
辛い。この時点で闇の世界に誘った綾野剛を憎む
梶谷
今回、不思議に思ったこと
綾野剛主演の『ヤクザと家族』には、一切の共感ができず、自分の中ではかなり低評価。
"不幸な生い立ち"と”同情”は関係なく、そんなことで悪は揺らがない
この信念が自分にあったから。
ただ、本作はどうか。
過去の不遇が同情を買うためではなく
説得力の為に描かれていたので、受け入れられた。
梶谷とタクヤ。マモルとタクヤの絆に作中では救われていたが、
それでも、一切の同情はしない人間を貫きたいと思った。
もう一つの救いとしては梶谷の女
木南晴夏の存在。
状況を知っていてあえてなのか、底抜けの天真爛漫さなのかは絶妙に分からないが
もしかしたら人質に取られるかもとハラハラしていたが無傷で安心した
絶望的なストーリーでも
上述や鯵のくだりのような救いがあったからこそ
最後まで見ることができ、胸糞映画にカテゴライズされずに済んだ。
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