愚か者の身分のレビュー・感想・評価
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年頃の娘を持つ母として
灰色は黒、黒から白へと。
戸籍売買をして生計を立てる松本タクヤと後輩・柿崎マモル、闇ビジネスを始める切っ掛けとなった兄貴的存在の梶谷剣士達に起こる話。
組織の男・佐藤から持ち掛けられた話に乗った事で始まる3人それぞれに起こる厄介な事をマモル、タクヤ、梶谷の順視点で見せてく。
本作を観て残ったのは「後輩思いの先輩」と「後輩へとる決断」ですかね。タクヤからマモル、梶谷からタクヤへと。
作品としては面白いけれどイヤな気持ち悪さみたいなものが終始あり、組織の面倒な沼へはまってく…、話を持ち掛けた奴の裏切り…、逃げたはいいがどうなる…?みたいな。
タクヤから見てマモルは後輩ではなく弟だったんでしょうね。鯵の煮魚を美味そうに食べる梶谷の言葉を聞いて「マモルにも食わせてえな」と言いながら涙するタクヤの姿には涙。
少し重たい空気の中で見せる本作だったけれど面白かった。
3人の生き様
きっと身近にあるのだろうけれど、交わることのない世界を目の前に突きつけられたように感じた。
前半では、タクヤとマモルが、それぞれに事情を抱えて、闇ビジネスに手を染める様が描かれる。
彼らに他に選択肢はなく、真っ当に生きる道は閉ざされている。印象的なのは、闇ビジネス以外の描写。ごく普通の若者として日々生きる姿が、逆に裏社会を身近なものに感じさせている。
後半では、タクヤと梶谷の逃走劇が展開する。
タクヤが両目を失い、そのことを知って慟哭するシーンは、苦しくて見ていられなかった。そして、それでもこの世界から抜け出せないことを悟っている姿も。梶谷は、タクヤよりも長くこの仕事をしている分、自分の無力さに自覚的であるように見えた。
そんな梶谷に、タクヤを救おう、一緒に逃げようと決意させたのは、タクヤのマモルへの思いを知ったことが一番大きかっただろう。
タクヤはマモルをこの世界に引き摺り込んだことに責任を感じていて、抜け出す時は一緒だと決意している。タクヤにビジネスを持ちかけた梶谷もまた、諦めて蓋をしてきたけれど、同じような気持ちを抱えていたと思う。梶谷の表情や動きの端々にそれを感じて、言葉にしなくても伝わるのがすごいなと思った。
マモルとタクヤ、タクヤと梶谷、それぞれが強い絆で結ばれていて、何もない3人が信じられる、唯一のものなのだと思う。
貧困やそれに付随する犯罪という重い背景はあるものの、ストーリー自体は息もつかせぬ展開で楽しめた。今日を必死に生きる3人の姿は、それぞれ違った見応えがある。
ただ、タクヤの両目は今後ずっと見えないわけだし、抜け出す代償として大きすぎる気がして、観終わった後も引きずってしまう、、
「逆転劇の感動ラスト」が待っています。
北村匠海、林裕太、綾野剛の3人が釜山国際映画祭で最優秀俳優賞を受賞したこの作品。期待して観ました。
・身寄りのない男性から個人情報を引き出しては戸籍売買を行う等の闇ビジネスを行うタクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)と、先輩格の梶谷(綾野剛)の3人の若者の3日間を描いたヒューマンドラマです。
・3人の若者に闇ビジネスの指示を出す上司のような存在「いわゆる半グレグループという組織」も登場し、仕事の報酬として金銭を渡すが、仕事を辞めようとする若者に対しては血の制裁を行い、犯罪組織から容易には抜け出せないように縛りをかけています。PG12の映画であるので、「暴力描写」についてある程度の耐性が必要です。
・この映画の中では犯罪組織の様々な犯罪(戸籍売買、闇ルートによる臓器売買、違法賭博による資金調達など)の状況もつぶさに描いています。
・今の若者の貧困生活の状況、そのような若者たちが「新宿歌舞伎町」に吸い寄せられるように集い、犯罪に手を染めていくという今の社会風潮を反映させています。
・ではこの3人はどうなるのかというと、ネタバレになるので詳述しませんが、「逆転劇の感動のラスト」を迎えると言っておきます(映画開始から1時間半ぐらいを過ぎた以降は「逆転劇の感動ラスト」という感じ)。最後までじっくり観てほしいと思います。
とにかくキャスト陣がイイ
負け犬たち…
誰も知らないところで人生をリセットしてやり直せたら…
って俺みたいな負け犬人生?なら絶対に考えた事あると思う。
これが商売になるんだから裏社会って凄いわ(爆)
表に立つ3人がそれぞれに魅力的?な生活を謳歌してやっぱり歌舞伎町って舞台に似合う。
俺が知ってる新宿コマ近辺で流れる「1時間800円!」のアナウンスはそこには無かった(笑)
外国人があまりに見当たらないのは大人の事情なんだろうけど…
匠海くんはヤクザな役はやっぱり似合わない。
滲み出る人の良さが隠しきれていなかった。
それに比べて綾野剛は流石だわ。
非情さを捨てきれない良い人を上手く演じていたと。
全員の最後が投げっぱなしなのはちょっとだけ寂しい。
捕まるのか?朽ちるのか?匂わせじゃ無いピリオドがあった方が好き。
木南晴夏の幸せを祈るばかりです。
ネタバレなしで観た方が良い作品だけど、ちょっと衝撃的なシーンがあるので要注意かな
2025.10.24 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(130分、G)
原作は西尾潤の同名小説
闇ビジネスから抜け出そうとする若者を描いたスリラー映画
監督は永田琴
脚本は向井康介
物語の舞台は、東京の歌舞伎町
戸籍売買の仲介人をしているタクヤ(北村匠海)は、シェアハウス時代に知り合ったマモル(林裕太)とともに、女性を装ったラインを送り、パパ活にハマっている希沙良(山下美月)に繋ぐという仕事を行なってきた
借金まみれの人間から戸籍を買い、それを他人に売ることで中抜きをして、それを監視役の佐藤(嶺豪一)に上納する
佐藤は幹部のジョージ(田邊和也)にそれを渡すことで組織の一員として恩恵を受けていた
ある日のこと、佐藤から寝返った仲間がいることを聞いたタクヤは、佐藤の目論見を知ることになる
それは、裏切り者に責任を押し付けて、ジョージが溜め込んでいる金を奪うというものだった
物語は、「柿崎マモル」「松本タクヤ」「梶谷剣士(綾野剛)」という順番で展開され、それぞれが章立てのようになっている
佐藤の計画を知らないマモルの目線で彼らの日常を描き、タクヤの目線にてその経緯を描き、梶谷の視点にて顛末を描くという構成になっていた
序盤で危ない橋を渡っていたタクヤが突如あんなことになって、という展開になり、その全貌が描かれていくのだが、この語り口はうまい構成だと思う
映画は、ヤバい話に巻き込まれてしまったタクヤが何とか組織から抜け出そうとする展開を描き、可能な限りのインテリジェンスを発揮していく
佐藤の金庫番をしていたタクヤがトランクルームに罠を仕掛けるのだが、佐藤はその上を行くことになる
それは劇中で登場した中国人夫婦(顧暁東&わたなべやえこ)にまつわる顛末になっていて、その手伝いをさせられることになった梶谷がタクヤと絡んでいく流れになっていた
バックアップを取るのが彼らのやり口ということで、何重にも逃げ道を塞いでいくあたりがいやらしくもある
映画では、闇ビジネスは危険だよというメッセージも込められているが、それ以上に戸籍売買はヤバいよというメッセージもあったと思う
戸籍がなければ部屋も借りれず生活がままならないのだが、それはこれまで普通に生きてきた人では無理という話でもある
路上生活をするとか、訳ありの物件に住むなどの生活を余儀なくされるのだが、現金を溜め込めば何とかなる世界でもある
だが、2年で返ってくるというのが嘘であり、戸籍を売ったところで自分の過去は変わらないので、そこまで行く前に何とかするしかない
一歩、その道を行けば戻ることはできず、タクヤも梶谷も組織よりも大きなものの力によって、その生涯を潰えることに繋がっていく
映画では、とある顧客の正体が後半で判明するのだが、前半と後半の違いっぷりに驚かされるし、抜群のキャスティングだったと思った
やはり実力のある役者が評価されて重要な役を演じていくというのは長年銀幕を追いかけてきた報酬のようにも思える
いずれにせよ、結構衝撃的なシーンがあるのだが映倫区分は控えめなジャッジで、ファンの人とかビビってしまうように思えた
ロキソニンとムコダインで何とかなるとは思えないが、そこら辺はファンタジーで良いのだと思う
合法的に人生をやり直せるチャンスというのは探せば転がっているものなので、手元にあるスマホで何を調べて、どのように行動するのかはその人次第ということなのだろう
そう言った意味において、情報社会で生きていくための術を学んでおいた方が良いのかもしれません
ちょっとグロい
じんわりと胸に落ちてくる。。。
ジワジワくる作品でした。
今回は北村匠海さんが、梶谷(綾野剛さん)からもらったものをそのままマモル(鈴木さん)にgive している。
と映画鑑賞前の舞台挨拶で仰っていたので、 【彼らの繋がり】をポイントに鑑賞しました。
歌舞伎町のあのキラキラとしたネオンは物理的には明るいのにどこか闇があり、その中で笑っているマモルとタクヤがどうにも切なく見える。
その光と闇の対比が不気味でリアルな感じがしました。
タクヤ、マモル、梶谷の3人のことを知れば知るほど彼らの繋がりがいかに互いを支えているかを思い知らされる。その繋がりはすぐに切れてしまいそうな細い糸のようだけど残念ながらそれこそが彼らの人生そのもので、それが一番大事な繋がりにも見えるし、それしかないからそこにしがみついているように見える。
この繋がりは彼らにとってとても繊細で奇跡のようなものなのだろうなと感じました。
製作陣が作品を通して写した世界はおそらく存在していてそんな人生を生きている人たちがいるというのも鑑賞中に思い起こされました。実際の歌舞伎での撮影のため、役者陣もこの闇で実際に生きる人々も目の当たりにしていると思います。
結果、ただの悪足掻きに終わるかも知れないけれど、どうか1日でも長く、この少しの笑顔が続けばいいなと思います。
愚か者の身分
地獄の3日間は闇を抜ける為の通過儀礼
身寄りのない男たちから戸籍売買を行う闇ビジネスを稼業とする3人の若者が辿る、ある3日間。
メイン舞台が歌舞伎町の映画だと、個人的には『新宿インシデント』が印象強いが、どうしてもダーティなイメージがある。以前に比べて夜でも幾分歩きやすくはなったが、手軽に気軽に金を稼ぎたいという若者が吸い寄せられるように集い、中には違法常套な仕事にありつく。戸籍売買の実態、経済格差に伴う貧困層は若者にも及んでいるという日本の実情が生々しく活写されている。PG-12レイティングでは軽いのでは…というショッキングな顛末も含め、3人が直面する3日間は地獄ながらも、それまで染めてきた犯罪のツケを払うとともに、歌舞伎町=闇ビジネスを抜ける為の通過儀礼なのだ。
鑑賞後に原作を読んだが、原作では主要人物5人のところを、映画では3人に絞っている。この取捨選択を良しとするか否かは人それぞれだろうけど、少なくとも観やすさという点では奏功していると思う。あと、映画を観て感じた疑問点は原作である程度補完できた。
キャストに関しては、邦画やドラマを全くと言っていいほど観ないので、3人を演じた俳優も名前でしか知らなかったが総じて良い役者だと思う。とりわけ綾野剛は存在が松田優作とダブった。あとどうしても脇役に目が行ってしまうが、田邊和也や松浦祐也のイイ顔ぶりが最高。
目を背けたくなるほどリアルで、人間味溢れるドラマ!
全114件中、101~114件目を表示
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