愚か者の身分のレビュー・感想・評価
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なかなかしんどくなる映画ですが、いろいろ考えさせられます。
・なかなかしんどくなりますが、こんな世界もあるんだと、いろいろ考えさせられます。
・北村匠海の演技が素晴らしいですね。
・人生1度狂うとなかなか取り戻せないですよね、私もこんなレベルでは無いですが、小さかれこういったことはあり、精神がやられて普通の判断が出来なくなる時があります。しっかり勉強して、情報を集めて、引き返せないレベルにならないように生きていかないといけないですね。
絵に描いたようなゲテモノ映画
身分から逃れるため
緊張感で観終わったあと疲れてました。
序盤で謎と恐怖が最高潮になり、その状態で答え合わせ、そしてそこからと続いてく息つく暇もない緊張感のある話でした。
予告もここのシーンは!と思うけど踏み込むと内容がわかるのでなんともむずかしいだろうなと。予告よりも見た方がおつりが来るくらい面白いです。叫んでるシーンとかを実際見ると。。。
主人公たちを見ていると仕方ないとはいえ想像力が欠けていて手慣れてやってたと思ってたら住む世界が違うんだと思わされました。
何回も心のなかで頼む~○○といろいろなシーンで思っちゃいました。
気になったのはホテルのシーンはもっと人来ないの?とは思いました。
物語と関係はありませんが周りが悪人だとルールもなく線引きなんかもなく気を休める瞬間ないよなとどの立場の人物をみてもおもいました。
中々きついけど面白い話
北村匠海の最近作の「悪い夏」では生活保護担当の市役所職員役で辛い境遇の市民に対応する側で、今回は様々な境遇でハングレにならざるを得なかった若者側でとんでもない目に合う側で、演じていて感情移入してしまうと辛いだろうなと、役者仕事は大変だなと思った。3人の主人公の各々のパートに分かれ、同じシーンをそれぞれの立場で観客が追体験できるのがすごかった。ハードで救いのないシチュエーションなのだが、視聴後の突き抜けた感じは爽快でもあった。何か、ショーシャンクの空に、の視聴後感と同じようなものを感じた。この三連休で「火の華」「爆弾」と本作と連日観て、いずれも当たりだった。個人的には、このサイトで4点以上のものは、安定してはずれなしという実感がある。
切ない青春
青春を謳歌できる、それがかなわない若者と現代の闇、誰が悪い、社会が悪いなんて言うつもりもない、いつの時代にも家庭の温もりや小さな幸福とは縁のない若者はいた。ただ今の日本の現実は、しっかりと刻んでおいた方がいい。
搾取される若者
搾取する側とされる側
なぜにこうも現実は、弱者に厳しいのか。
家庭的に恵まれなかった若者
いつの時代にもあるけど
経済が停滞し、景気のいい話が出てこない昨今
タクヤとマモルのような境遇も現実感がある。
5人兄弟の末っ子、貧しい家庭を捨てて都会でもがくマモル。
貧困ビジネスの安宿でタクヤと出会い、闇バイトの世界に。
稼いだお金で、2人で新宿を遊び歩く場面が秀逸だ。
ああ、この2人は味わうことのできなかった、青春を楽しんでるんだな。
そんな姿が、切なく見えてしまう。
今まで、こんなに楽しい時間を過ごしたことがなかったんだろうな。
昔から不遇な若者はいた
私の生まれ育った、昭和の時代にも家出少年は沢山いた。
今より多かったかもしれない。
子供の絶対数が多かったから。
昭和から平成にかけて、日本は景気がよかった。
あの頃家出少年の働く場所は、いわゆる住み込みの仕事。
そんな募集が、多かったです。
中小企業や個人商店がかなりあったし。
そんな企業や、商店の労働力として重宝されていた時代。
ただ、身分証とかどうなのかな、保険証だって必要だし。
その辺りをクリアあるいは、グレイにしても雇ってくれるところはあった。
何年か勤めて、次を探すなり、あるいは雇主が保証人になってくれてアパートを借りたり。
まだ、方法はいくつもあった。
だが現代は、アプリでその日の仕事を探して、ネットカフェで寝泊まり。
あまりにも不安定だ。
誰とも深く関らず、1人で生きてゆく。
そんな孤独な時代だと言うこと。
映画は、前半は都会の孤独。
そこでもがく若者の姿。
よく描けていると感心する。
だけど、後半はやや安直に物語に収めようという感がする。
闇バイトに関って、そのお金を持ち逃げした者がその後逃げ切れるとも思えない。
悲しい現実を想像してしまう。
タクヤが作るアジの煮付けが象徴的だ。
彼らの生活に、おおよそそぐわない丁寧なおかず。
そんな安心できる、家庭環境があったら、彼らのように路頭には迷わない。
若者は、安心できる場所があって初めて旅立てる。
またいつでも戻れる場所。
それがかなわない多くの少年少女が、歌舞伎町にたむろする現実。
家庭や家族、安心できる場所。
そんな環境の大事さをこの映画は、突き刺してくる。
鯖と牛乳。
間違いなく、えぐられます
搾取と逃走、そして共依存の終わり
まず、作品全体がエンタメ作品らしい見やすさで作られているため、多くの方に見てもらえるように出来ていると思いました。正直、最初は闇バイトや反社のエグい部分をたくさん見なくてはいけないのかな、と思い、そこまで耐性のない人間としては興味があったものの、抵抗感があり、見るまで時間が掛かってしまいました。しかし、蓋を開けてみれば、色々な意味で程良い人物描写によって物語が進んでいると感じ、そこまで目を背けたくなるシーンもなかったです。また、エンタメ作品らしいというのか、主人公側の3人の掛け合いがほのぼのとしていたり、どこか疑似家族のような作りにもなっていたため、緊張感ばかりではなかったのも程良いポイントのように思いました。
個人的にこの作品は、題名にも書いたとおり搾取する者とされる者、逃走する者と追う者が重層的になっていることが分かりやすく描かれています。
例えば、主人公たち闇バイト側は、被害者を選定して懐柔し、言葉巧みに騙し、戸籍を盗んで金を得るということをしているのですが、その主人公たちも反社の中枢である大人たちによって利用され、暴力を受けているという構造が明確になっています。そしてその反社の大人たちの中でも裏切りが起こっていて、つまりは搾取のし合いが起こっていることも物語では描かれています。主人公であるタクヤ(北村さん)やマモル(林さん)、そしてタクヤを闇の世界へ誘った張本人である梶田(綾野さん)は、そこに巻き込まれて闇の世界からの逃走を図るのですが、そこでも反社の大人たちによる追手が容赦なく彼らを傷つけてきます。個人的には、タクヤが目を物理的にくりぬかれて自室に放置されていたのはなかなかインパクトのあるシーンだったと記憶しています。一方、恐らくですが反社の大人たちもまた、警察の手を逃れるために末端の者たちをトカゲの尻尾切りの如く捨てていくことで生き抜いているのだろうな、ということも想像でき、しかし結果的に警察に摘発されるというのは「ざまぁ」という気分になれました。何より、逃走中にタクヤと梶田がラブホでジョージらと格闘する場面などは「いいぞ」と思いましたし、ジョージにタクヤがハサミを突き刺して梶田が蹴り上げたところなどは、「その金歯もへし折れば良い」くらいに爽快でした。この辺が程良いエンタメ性を如実に表しているとも思います。
もっと言えば、一方的に搾取されていると思われる被害者や戸籍を貰って「生き直し」を図っている人たちも、実は現実からの逃避を図っているという点です。妻に子供を殺された江川(矢本さん)や、最初に出てきた性犯罪者の中学生教師などの描写からもそれは明白で、要するに登場人物すべてが「現実」という得体の知れないものから逃げるために相互に奪い合いをしているのが、この物語の作劇なのだろうなと思いました。
とにかく、個人的には上記のような搾取と逃走の重層的な構造こそが、この物語の肝のように思っています。
また、主人公二人の結末もとても恣意的だと思いました。タクヤは闇バイトに関わった原因とも言える亡き弟の面影を、マモルに重ねており、彼のために闇の世界で自由と金を手に入れさせようと誘っておきながら、一緒に闇の世界から抜けさせそうと画策もします。同じくマモルも本当に欲しかったであろう家族からの愛情のようなものを実兄たち以上に自分に手を掛けてくれるタクヤに求めて闇バイトに手を染めていきます。冒頭でタクヤがマモルに初めて仕事を任せるところで見せる、マモルのキラキラした目は、家族に一人でおつかいを頼まれた子供のようにも見えました。そのような二人ですが、上記のようにその繋がりは犯罪であり、マモルが任された仕事は人を騙して利益を得るものです。二人ともそれを理解しながらもどこか青春の1ページのようにそれで得たお金を使って歌舞伎町を練り歩いている訳ですから、見る人が見ればとても許容できるものではないはずです。そのような関係は最早、共依存だと思いました。つまり病的なものだということだと思いました。なので、そんな二人が最後は互いの行き先すら知らずに別れていったのは、エンタメ的には切ないものの、現実的に考えれば因果応報なのだとも思いました。悪いことでしか繋がれない関係性の切なさは理解できる一方で、その残酷な終焉を淡々と流れで描いているところはとても好感が持てました。
因果応報という意味では、最後に反社の大人たちが一斉検挙されたことももちろんのこと、逃げ延びたと思っていたタクヤと梶田のもとに警察が内偵(?)を掛けていたところも印象的で、そこまで時間をかけずにこの二人も捕まることが示唆されており、闇に手を染めた者には自由がないということを見せてくれるところも、多少説教臭いと言われるかも知れませんが情操教育的に良いと思いました。そういう意味では、タクヤに守られ、本当に暗い部分を知らなかったおかげで逃げ延びられたと思われるマモルと、反対に結構暗い部分を知っていたように思われるものの、ちゃっかり逃げてメールだけで関係を断ち切れる希沙良(山下さん)の処世術の出来具合なども恣意的だな、と思いました。結局は、タクヤや梶田が言っていたとおり「同情するな」の精神で自分の身だけで逃げた者が生き残ることが出来るのが闇の世界ということかも知れないし、一方で浸り過ぎると人間性が失われていくということなのかも知れないと思いました。
そんな感じでテーマ的にもメッセージ性的にも分かりやすく、程よいエンタメ性もあり、若者に対する教養的側面もあると思う本作なのですが、あくまで個人的には、登場人物たち(特に主人公たち)が少し都合よすぎるかな、と思ってしまいました。
正直、闇バイトに触れるような人たちは、所謂「一般社会」というところで立場や役割を与えられず、あるいはそこに嫌気が差している人たちが大半だと思います。なので、自分のためにもっと冷たく他人を勘ぐるし、チンコロしたりされたりしているし、本当に不要となれば自分たちに足が付かないように確実にその人間は殺すのではないかな、と思います。なので、共依存関係のタクヤとマモルはともかく、梶田までもが山梨まで行っておいてタクヤの人情話を聞いただけでどうして自分や木南さん演じる恋人を危険にさらしてまで動けるのか理解出来ませんでした。もしかすると、梶田もタクヤに対して弟のような愛着を持っていたのかも知れないし、だからこそ、逃走中に妙にグダッとした場面(トイレに行かせたり、タバコを吸わせてあげたり、ラブホで髪を洗ってあげたり)があったのかも知れませんが、そこの描写があまりないように感じられたので、個人的にちょっと無理があるのかな、と思いました。
また、同じことは反社の大人たちにも言えて、どうしてタクヤを殺さなかったのかが疑問でした。あそこまでやったのだから、いっそのこと殺しておけば良かったではないかと思うし、内臓を売るために鮮度を保ちたいと本当に思うのなら、日を跨がずに目をくりぬいたその日のうちに運べば良かったように思ってしまいました。同様に、反社の人たちが実際にどれくらい抜けているかは知りませんが、タクヤと梶田の関係性くらい把握していても良かったのではないかな、とも思ってしまい、そこも随分と甘いな、と思いました。そういう間抜けなところも描きたかったのかは不明ですが、それでは闇バイトと反社の恐ろしさを教養的に伝達する効果が薄れるのではないかな、と思ってしまいますし、正直、「北村匠は殺せなかったのかな」と、メタ的なことまで勘ぐってしまい、モヤッとしてしまいました。
江川にタクヤが「罪滅ぼし」と称して二千万円をマモル経由で渡したのも、上記のような理由であまりに自己犠牲が過ぎて、ちょっと非現実的だなと思ってしまいました。ここでもやはり「北村匠を完全な自己中にはできなかったのかな」と勘繰った次第です。
このような登場人物たちによる物語なので、エンタメ性は担保されて気分は良いものの、闇の世界のエグさは少し薄れたように思いました。同時に、そこで生きる人たちの残酷性も損なわれたことで「こうまでしないと生きられない」というメッセージ性も減少し、一部の闇に染まった大人たちだけが報いを受けたような受け取られ方をされてしまうようにおもってしまいました。
ということで、総合的なところ、程よいエンタメ性がある一方で、闇の世界とそこに生きる人たちのリアルさが、個人的に少ない分、テーマと共に担保されていたメッセージ性も減少してしまったため、上記の点数とさせていただきました。
エグイい…
愚か者の身分
鑑賞後、改めて良いタイトルだなと思った。
彼らは犯罪者だけど、悪人ではない。ただの愚か者かなんだなと。
三人の過去の境遇や人柄を丁寧に描くことで同情を誘いつつ、
その後は単に金のために犯罪を繰り返す愚かさをしっかり映すところが良いなと思った。
特にタクヤとマモルは役者陣のキャラも相まって、そのピュアさについつい応援したくなっちゃうんだよなぁ。。。
2人が鯵を食べるシーンではなぜか号泣してしまったし。。。
ラストは呆気なく、ここで終わり??って感じで終わってしまいますが、
彼らが表の世界で真っ当に生きていけることを願うばかり。
特に、マモルのラストは若い世代に響いてくれたらいいなとも思った。
子供たちが変な世界に手を出さなくてもきちんと生きていけるように、
困った人たちがきちんと再生する道を選べるように、
福祉や社会はどうあるべきなのか。限られた資源の中で何に投資すべきなのか。
私達はもっと自分以外のことにも目を向けて考えなければと思いました。
そして役者3人、みんないいキャラしてます。。
特に上2人は本当に堪りません。。。
2人の謎のお風呂シーンは意味不明で可愛過ぎて笑っちゃいました。
期待度○鑑賞後の満足度◎ 佳作といって良いと思う。現代の都会の闇・暗部で跑く若者達の姿。そこに差す一筋の光を思わせるラストが爽やか。
愚か者の身分(映画の記憶2025/11/3)
歌舞伎町はだれのことも、拒まない、咎めない、救わない
SNSで女性を装い、言葉巧みに身寄りのない男性たち相手に個人情報を引き出し、戸籍売買を日々行うタクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)。彼らは劣悪な環境で育ち、気が付けば闇バイトを行う組織の手先になっていた。
闇ビジネスに手を染めているとはいえ、時にはバカ騒ぎもする二人は、ごく普通の若者であり、いつも一緒だった。タクヤは、闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在の梶谷(綾野剛)の手を借り、マモルと共にこの世界から抜け出そうとするが──(公式サイトより)。
生い立ちに難があり、ヤクザ稼業や半グレ、裏社会で生きる人間がそのコミュニティの中で疑似兄弟、疑似家族としてつかの間の安らぎを享受する、古今東西(特に日本、韓国、中国に多い気がする)にある王道ストーリー。主演の北村匠海の誕生日に劇場鑑賞。ハッピーバースデー。
歌舞伎町は、はした金をつかんだ輩が奇声を発して走り回ろうが、0時過ぎにカレーを食いに出ようが、工事用のカラーコーンを蹴飛ばそうが、かれらを咎めない、拒まない、救わない。酔客を飲み込む賑やかなネオン街のすぐ側に、金と欲望が至上の価値観である漆黒の世界が併存しており、巧妙な撒き餌に食いついてしまうと、どこまでも堕ちていく、否、墜ちざるを得なくなる。
社会的な無理解や劣悪な家庭環境ゆえに、裏家業の入り口に立つマモルを演じた林裕太がとても良い。怯えたような、相手の心根を探るような眼、歌舞伎町で精一杯粋がって見せつつ僅かな違和感を宿した表情など、どれをとってもマモルに相応しかった。本作では北村匠海の隠しきれない人の好さがにじみ出てしまい、闇ビジネスに手を染めつつある若手としては若干の無理があったように感じたが、梶谷に髪を洗ってもらうシーンは、綾野剛の半ケツサービスショットとともに本作のハイライトであろう。
韓国ノワールを思わせるテーマ設定だっただけに、登場人物それぞれが闇ビジネスを手を染めざるを得なかった生育環境や社会構造、歌舞伎町を象徴するような凄惨な暴力シーンが少し物足りない印象ではあったが、他人様の戸籍を売買していた「愚か者」自身が、自らの身分やアイデンティティを喪失していく物語を端的に言い表しているタイトルが秀逸。
3人の若者たちにとことん感情移入!
えっ、ここで終わるの?と、この先の展開を考えながらみていた私と友達は、顔を見合わせちゃいました。
でもここで終わるからこそ、この若者たちの将来に、見ている私たちが希望を感じられるんじゃないかなと思います。
見た人ひとりひとりが、この後のストーリーをそれぞれの胸に描けるような、いいエンディングです。
それにしても、出てくる人みんな怖すぎる。
血や怒号や暴力よりも怖いのが、人を傷つけることに何の痛みもためらいも感じない人から滲み出てくる怖さ。
鼻をかむような軽さで人を殺せる人が、その辺に普通にいる怖さ。
対照的に、闇バイトから次第に深みにはまっていく若者たちは、切り捨てようと思っても、どうしても兄弟分を見捨てられない。
3人の若者が、裏社会の手から逃げ切って、自分なりの幸せをいつかつかめるようにと、祈らずにはいられないです。
綾野剛と言う役者に脱帽の一言_(_^_)_
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