愚か者の身分のレビュー・感想・評価
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現代の支えのない社会を問う社会派、そして友情映画
主人公のタクヤは一番大切な弟の命を守るために手術費を戸籍売買という稼ぐため闇ビジネスを一度やる。その1回だけのつもりが、それをきっかけに抜けられない状態になり、むしろどんどん深く入り込んでしまいました。そこに中卒で家を出てきた無一文のマモルと出会い、マモルにも稼げる仕事があると紹介し、そしてマモル自身も段々と入り込んでしまう。タクヤ自身も先輩から闇ビジネスを紹介してもらうという構造で始まる。立場のほとんどない若者達がいかに無力に犠牲になっていくかが描かれていました。暴力シーンが多かったり、救われない描写があったえいとつらいシーンが少なくなかったですが、タクヤやマモル、そしてタクヤとタクヤの先輩との友情は心に熱くくるものがありました。この映画を見ていて困っている人をその人自身に負わせずに公的にも社会として支えていく仕組みが必須だなと感じました。心残る素晴らしい映画でした。
生まれながらにして選択肢が与えられていない悲惨さ
逃げるのを諦めたと語った梶谷が逃げる決断をした瞬間が熱い。その思考...
北村匠海が一皮むけてる
「お前も一緒に来い」は恐い
劇中のセリフ「お前も一緒に来い」というワードは、本当に怖いです。言われて断れず、ついて行ったが最後、見なくていいことを見て、聞かなくていいことを聞いて、最後はやりたくないことをやらされる羽目になる。そしてやり終わった後に「また連絡する」と告げられ、逃げられなくなる。これって闇ビジネスだけじゃなく、真っ当な会社でも同じ流れがありますね。立場の弱い人間は、流れの前は断りにくく、流れた後は逃げられない。これに(金がもっと欲しい)という心理状態が加われば、たちまち「闇はあなたのすぐそばに」です。
この映画を観に行くのは少しためらいました。どうしようもなくキツくてリアルな話だったら、嫌な気持ちしか残らないのではと。ところが、闇の世界の末端者タクヤ(演:北村匠海)とマモル(演:林裕太)の、闇バイトしながらも、魚の煮つけを作って食べたり、飲んでヤンチャに遊んだりと、都会で暮らす若者となんら変わらない姿が描かれ、更にタクヤの過去経緯や二人の出会いがバランス良く回想されていく演出に、短い時間で一気に二人を応援…とは言えませんが、親近感が湧きます。中盤以降は怖い世界(目玉を抜かれて脳感染死しないのでしょうか?)に陥っていきますが、おそらく由衣夏(演:木南晴夏)のパック牛乳な存在が闇を抜け出すきっかけとなった梶谷(演:綾野剛)も含め、最後に三人が見せた「善」と「兄弟愛」に心は熱くなり、ビビらずに観に行って良かったです。
ラストに悪組織の検挙と、オトリ捜査だったのかと思わせる(ですよね?)轟の再登場でタクヤと梶田は捕まるのかもしれませんが、闇を抜け出せそうで良かったなと。マモルはホントにかわいい弟分でした。林裕太さんの絶妙な演技に拍手です。
「見事な脚本と見る者の想像力を掻き立てる秀逸な演出」
闇社会で暗いノワール的映画を予想していて正直あまり期待していませんでした。
しかし見終わった時には見事の予想を覆してくれました。
主要登場人物をそれぞれのパートで進む向井康介の脚本は
見進めるうちに三人の関係がにじみでてくる素晴らしいストーリー
展開でした。
また永田琴監督の不要で余分な説明を排除した演出は
見る者の想像力を掻き立てるものでした。
まだ上映中ですから多くの人に見てもらいたい映画です。
以下、私の映画評です。読んでください。
【映画評】
向井康介の脚本がいい。マモル、タクヤ、梶谷それぞれのパートに分けて撮ることによって三人の結びつきの強さがにじみでてくる見事なストーリー展開だ。
マモルのパートではタクヤとの仕事のやり取りが細かく撮られており、マモルがタクヤを兄のように慕っている。しかし組織の上の人間が「明日タクヤに会うな、電話も取るな」と言われてマモルはぽかんとする。歌舞伎町でマモルがタクヤを飲みに誘い笑いあいじゃれあいながら歩くシーンは、闇社会で働く一瞬の夢のような感覚を想像させる。そしてマモルはタクヤにこれ以上闇社会にはまるなと忠告される。
タクヤのパートでは、タクヤが危険なことに手を出す。しかし撮られるのはマモルとの出会いやマモルに食事を作って食べるマモルのおいしそうな表情だ。タクヤが何気なく手を挙げたときマモルが手で頭を覆う。マモルが今までどのような状況で生きてきたか想像させる。そんなマモルを弟のように可愛がる。しかし組織はタクヤに残酷な報復に出る。
梶谷のパートでは、タクヤが梶谷を兄貴のように慕う。タクヤは弟が病気の時、梶谷からお金を借りたが弟が亡くなり、すべてを捨て闇社会に入ってきた。梶谷は組織からタクヤについて命令を受けるが、組織を裏切る決断をしてタクヤと一緒に逃げる。逃げるため恋人の由衣夏にいろいろ手配を頼む。この由衣夏のおっとりとした、しかしきちんとしているところに梶谷は惚れている。由衣夏とまともな暮らしをしたという、梶谷の思いが想像できる。しかし組織の手は伸びてくる。タクヤはメッセージとある物をマモルに残していた。
今の世の中、簡単に闇社会に入ってしまえる。闇バイトがそのいい例だ。何か社会として効力あるネット規制等ができないかと考えさせられてしまう。見る者に何かを感じさせる、考えさせる。そのため不要で余分な説明をなくし、見る者の想像力を掻き立てる永田琴監督の演出は見事だ。ラストシーンに余韻というよりは余白がある。永田琴監督が望んでいることは、余白は見る者が埋めることではないか。
鯵の煮付け
爆弾→愚か者の身分でハシゴして見た
爆弾で問われてた、命の価値、人の平等とは?の嫌な答えをまじまじと見せつけられた
命の価値に違いがあってはならないと思うけど結局社会では、お金や立場次第で命の価値が変わってしまう。そんな現実を感じさせられた
私は逃走劇結構好きだからハマった
3人の視点で進んでいくのも面白かった
マモル→タクヤ→梶谷
前情報何もなしで見て、想像以上にグロくて重くてドキドキで見終わった後しんどっっって
でも終わり方は明るい終わりで、あなた達のこれからが平和で幸せなものでありますようにと祈るばかり
最後にこそっと…目取られた後のタクヤ可哀想と思いながらも結構癖に刺さる
⋯⋯⋯⋯で?
新宿歌舞伎町でのロケシーンが素晴らしい。マモル役の林裕太が、無茶苦茶いい。 多分、今年の助演男優賞を総ナメすると思う。
評判がとてもいいので気になり、見てきました。
悪くはないんだけど…。
いい点は、何点かある。
まず、シナリオがいい。3人の登場人物ごとに描くことで、立体的な深みが出た。
今年の脚色賞は、「国宝」かこのシナリオだと思う。(日本はオリジナルと脚色を分けていないが、今年、原作ものをうまく脚色したのは、この2作だと思う)
新宿歌舞伎町でのロケシーンが素晴らしい。
松本タクヤ(北村匠海)と柿崎マモル(林裕太)つるんで歩いているシーンが、生き生きとしていた。やはり実際の場所での演技、映像は、臨場感があり、とても魅力的な映像になる。
役者では、柿崎マモル役の林裕太が、無茶苦茶いい。
リアルで切なくて、可愛さがある。多分、今年の助演男優賞を総ナメすると思う。(彼を見ているだけで泣けてくる)
北村匠海は細かい演技で、セリフで語らない微妙なところを表情でうまく表していた。綾野剛は、どことなく面倒臭そうな表情をしながら、助けるところなど相変わらず良かったし。
女優陣も山下美月が出番は少ないけど良かった。木南晴夏が可愛いくてあったかい関西女を演じていた。彼女も出番はほとんどないが、電話の声が良くて、これも泣かせる。
擬闘(アクションシーン)も痛そうな演出で良かった。(話は違うが、「国宝」の擬闘は酷かった。なんでそこを手を抜くかと思うぐらい)
初めて見た監督(永田琴)だが、映像で端的に表すのが上手い監督だと思った。
北村匠海(松本タクヤ)と柿崎マモル(林裕太)は、疑似兄弟的な関係で、いつもつるんでいる。で、柿崎マモルは虐待の過去があることがそぶりでわかる。そのそぶりがまるで野良猫のよう。セリフでなく、映像で語ろうと意識した演出で、好感が持てる。あの新宿歌舞伎町の躍動感のある映像は、そんなところがうまく出たと思う。
ただこの監督は、テレビドラマ的な演出で、ある意味平坦な、あまり深みがないように感じる。
それに映画全体のチープ感が気になる。設定自体のチープさではなく、撮り方や制作上のチープ感というか。新宿のロケ以外は、あまり臨場感がなく、テレビドラマかVシネマのような平板さを感じた。演出力の不足なのかもしれないが、節約感が画面から出ている気がする。
ラスト近くの北村匠海と綾野剛との鯵の煮付けのシーンもこの映画の肝のシーンなのに、なんであそこでカットを割るのかわからない。もっとじっくりと撮れば、素晴らしいシーンになったと思う。
ただ、ラストシーンのマモル(林裕太)の表情で唐突に終わる演出は、キレが良く、結果的に素晴らしい余韻になった。
あのラストは、マモルが、何千万の金より、パチンコで儲けた2万円でタクヤに焼肉を奢った頃が一番幸せだったと言っているように感じた。
期待しただけに、辛口になったが、とても切ないいい映画でした。
愚か者とは誰だ?
タクヤは悪党として登場するが、次第に人間味を見せ、いいやつとして描かれる。
タクヤは病気の弟を助けるために自分の戸籍を売って金を作る。
マモルに亡くなった弟の影をみて、なにくれとなく世話をする。
やばい案件に巻き込まれて金を得たうえでマモルを逃がそうとする。
梶谷も善意にあふれている。
タクヤもマモルも梶谷も善性の人たちが犯罪に手を染めている。
善なるものが貧しさの故に悪に染まり、抜け出せなくなる。
闇ビジネスに取り込まれてしまう若者たちを私たちは「愚か者」として扱ってきた。
頭が良ければ、そのような悪の道に入らずに済んだのだろうか?
タクヤもマモルも公的なものに頼る気配はない。
比べて、ジョージや貝塚は腐りきった外道だ。中国人の老夫婦も同じようなものだ。
タクヤたちとジョージたちの違いは何なのだろう。
タクヤは両目をえぐられて、それを受け入れている。
常人にとってはこれ以上の不幸は無いように思えるが、その受容の裏に深い絶望があるとしたら恐ろしい話だ。
しかし、私はタクヤもマモルも逃げきったと思いたい。
でもそんなはずはないよね。
弾劾すべきは若者を見捨てる世間なのかもしれないが、それを背景としつつ、この映画に若者たちへの優しい眼差しを感じずにはいられない。
監督は永井琴。なるほど女性監督。
さまざまな伏線が次々と回収される。お見事。
因果応報
はじめは軽い気持ちでも、悪事のツケは大きくなってかえって来るものだなと、思いました。
題材のわりに、暴力シーンが少なめなのは、救いですね、(かなりびっくりする所はあります)あと、それなりに穏やかな日常のシーンも良かったです。
うん、真っ当に生きようという、当たり前の気持ちが湧いてきました。
人生やり直したいからって戸籍の売買に手を染めるという発想は普通無いですよね。
戸籍を売ってしまい、その後悲惨すぎる目に合うというのは、ドラマ「相棒」でもありましたね。
事情があるとは言え、やはり大きなツケになって仇をなしてかえってきます。
この映画は買う人、詐欺グループがメインです。
北村匠海さんは、なかなか達者な役者さんですね。
ドラマ「アンチヒーロー」とは真逆でした。
綾野剛さん、良いですね。
最近、「地面師たち」「でっちあげ」「最後まで行く」を観て、今更ながら良い役者さんだと改めて実感しました。
この作品は綾野剛さん目当てで観に行きました。
内に激しいモノを秘めながら、物静かな佇まい的な役がとても良く合う方だなと、思いました。
食事を作ったり、食べたり、恋人と電話したりのシーンは、普通にいる優しい男性って感じでした。
でも、いわゆる半グレですが。
半グレであの恐ろしさ、さらに上の本当に危険な人達は物凄いのだろうなぁと想像しかできませんが。
共感できる人物はいませんでした。
ラストシーンでは、今後どうなるのか
色々と考えてしまい、モヤっとしました。
すごかった
闇バイトで悲惨なことになる。まさかそうならないだろうと思っていた以上にひどくてびっくりした。どうせ日本映画だからそこそこのぬるさだろうと舐めていたらすごかった。
両目をえぐられた主人公が「目隠しを外してください」というのがリアルで怖い。せめて片目にしてくれよと思う。綾野剛は大阪でずっと主人公の面倒を見て生活していくのだろうか。
気になったのは車に仕掛けられたGPSが赤いランプが点滅していて、今時そんなのあるか? 普通のエアタグなどではiPhoneじゃないと発見できないからしかたなくそうしたのかもしれないけど、 だったらiPhone使って欲しい。
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