愚か者の身分のレビュー・感想・評価
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コメディと紙一重のシリアス‼️❓因果応報‼️❓臥薪嘗胆‼️❓縦横無尽‼️❓
映画の中の戸籍販売は現実とは違う事例だし、目玉を乱暴に摘出されて治療せずに普通に生活する時点でコメディでしか無い、ただ、犯罪に手を染めてしまうくだりは心が痛む。綾野剛と主役の彼はともかく、後輩の彼の演技が凄い、そのものの彼がそこにいるようだ。山下美月も薄幸な女性がよく似合う。トクリュウなんか抑止に繋がるだろうか、そんな輩は映画なんか観る余裕無いか。ただ、後味が良く無い映画、後輩の彼が穏やかな人生を送れますように、あゝ、映画か、悪い夢を見た😴
負の連鎖と優しさの継承
■ 作品情報
永田琴監督作品。主要キャストは、北村匠海、林裕太、綾野剛。共演に山下美月、矢本悠馬、木南晴夏など。脚本は向井康介。原作は西尾潤の同名小説。
■ ストーリー
身寄りのない男たちを言葉巧みに欺き、戸籍売買ビジネスで生計を立てるタクヤと、彼を慕う弟分のマモル。彼らは劣悪な環境で育ち、半グレ組織の手先として裏社会に深く足を踏み入れている。しかし、タクヤは、自身をこの闇の世界に引き込んだ兄貴分的存在の梶谷の力を借り、マモルと共に裏社会から抜け出そうと試みる。折しも、組織の拠点から大金が消失し、これをきっかけに、タクヤ、マモル、梶谷の三人は運命を左右する三日間の逃亡劇へと巻き込まれる。三人は、互いへの信頼と、過酷な裏社会の現実の間で揺れ動きながら、生き残りをかけて必死にもがき続ける。
■ 感想
一つの事件を巡り、それが三人の登場人物それぞれの視点から描かれることで、彼らの抱える葛藤や心情に深く寄り添うことができます。おかげで、観終わった後もずっしりと心に残る、なんとも言えない息苦しさを感じる作品です。
梶谷からタクヤ、そしてマモルへと連なる犯罪への加担は、紛れもない負の連鎖です。しかし、その底なし沼のような状況の中でも、悪党になりきれない彼らに見え隠れする「優しさ」が、この負の連鎖を「優しさの継承」と錯覚させるほどに印象的です。
身近で困窮する青年を弟のように思い、何とかしてその苦境から救い出してやりたいと願う彼らの姿には、確かに深い優しさがあります。しかし、犯罪の片棒を担がせること以外に救う手段を見つけられなかったという切なさや悲しさが、胸に迫ります。一度は引き込んでしまったものの、そのことを悔やみ、まっとうな道に引き返させたいと手を差しべるその姿は、じんわりと心に沁みるものがあります。
出演されている俳優陣に一切の隙がなく、観る者を圧倒するような迫力があります。おかげで、最後まで作品世界に没入することができます。特に、名だたる俳優陣の中で、若手の林裕太さんの奮闘が光っており、その存在感と演技力は、今後の活躍を期待させるものがあります。
誰もが最初から好き好んで犯罪に手を染めるわけではない。やむにやまれぬ事情を抱える人々がいるという現実を、本作は突きつけます。それでも、私たちは踏みとどまって生きていかなければならない。戸籍も心も、決して他人に売っていいものではないのだと、本作は強く、そして静かに訴えかけてくるようです。
健康で追われない生活の幸せを実感できる映画 一歩床板踏み抜いたら這...
意外と重くなく絶妙!
裏社会のスリリング映画
グローバル資本主義の闇
ボスのジョージは東南アジアの金塊ビジネスを展開し、
中ボスの佐藤は(おそらく海外の)闇カジノにはまり込み、
タクヤは中国の富豪夫妻への臓器提供者となってしまう。
ひと昔前なら、日本国内の資本主義の闇に翻弄される登場人物を描いてきたのでしょうが、「愚か者の身分」では昨今ならではのグローバル資本主義を背景にした貧富の差が垣間見える作品でした。
オープニングとエンディングで川上から川下と流れていく川を見つめるシーンが入り込みます。
川は辿っていくと、海へとつながってい行きます。
タクヤとマモルは離れ離れになりましたが、いつか出会える日がくるのではないか?という暗示ではあったのでしょうが、
これから行き着くであろう海(グローバル資本主義)を暗示しているようでもありました。
マモルが無造作にお金の入ったカバンを橋梁の道ばたに置くのも印象的でした。
クレイジージャーニーのゴンザレスさんがレポートするような世界の極貧街の小さな兆候が日本にも起こりつつあるようで、こころがざわつきました。
中ボス佐藤の関西弁もうちょっとなんとかならなかったのかな、そこさえ気にならなければ。
人間が人間でいるために必要なもの
2025年も残すところあと2ヶ月。いろんな映画を観てきたけど、今年、印象に残った映画を聞かれたら、はずせない映画に出会った。
今では「韓国ノワール」と呼ぶそうだが、2000年代の韓国映画は、雨の降った夜の濡れたアスファルト、寒々としたソウルの街並みを舞台に、救いのない陰惨な暴力シーンのある作品が多かった。
中でもデリヘル嬢の連続猟奇殺人の実話を元にした「チェイサー」(2007)は犯罪者の動機や心理に迫った印象深い作品だ。
本作はそんな雰囲気をまとった映画だった。
新宿歌舞伎町。暴力団より悪辣な○○連合が幅を利かせた時代を舞台に、戸籍詐欺を生業に底辺で喘ぐ男たちのクライムサスペンス。
セリフに無駄がなく、絵の中で設定を語るタイプの映画。あまり重要に感じないシーンなどが後半に効いてくるから、集中して観た方が楽しめるだろう。
モラルが崩壊した詐欺行為や非人道的な暴力の中で、人間が人間でいるために本当に必要なものは何かが炙り出されていく。このコントラストが切ない。
人間が生きるために必要なもの。それは他者を思いやる気持ちなのかもしれない。人間は他者との関わりなしでは生きていくことができないからだ。
エンディング曲のタイトルが「人間讃歌」と知った時、自然に涙が流れた。
暴力を娯楽にしない誠実さ
ホラーでは体験出来ない
生々しい恐怖に目が離させない。
暴力を娯楽ではなく恐怖として
描く作品の誠実さ。
加害者は育った環境の被害者であることが多く
反社や半グレになりたくて
生まれてくる人は恐らくいない。
大金を求めた理由からも良識があるタクヤが
この世界に馴染めないのは必然。
本作が北村匠海さん主演の意味は大きく
キャスティングによっては
作品の重さに耐えきれない可能性も。
残酷過ぎるあのシーンにも。
やはり生々しい現実を描く作品には
本作のように一筋の光を見せて欲しい。
あまりにつらく、救いようがないのですが・・・
ぬかるみで足掻く若者たち
どこまで実態に忠実かはわかりませんが、えぐい内容。
社会に頼る道がなく、親から暴力を受け、周りに差別され、貧困に落ちた若者たちが、金のために安易な方へ流されるとどうなるか……
半グレとか言われたところで、大規模組織じゃないだけのヤクザやマフィアと変わらない状況が描かれる。
罠に嵌め、罪を着せて、臓器や命を取り、金を奪い合う。
一度でも反社・闇ビジネスの世界に足を踏み入れたら、二度と出られない、泥濘(ぬかるみ)。
そんな中に落ちて足掻く、主演の北村匠海、助演の綾野剛と林裕太の3人が演じる若者たちが、お互いを想いあう姿は切ない。
その演技はすさまじく、実に救いのない内容に、観ていて冷や汗が流れました。
彼ら弱者が、幸せとまでは無理でも、少しでもマシな暮らしができるように祈る気持ちは湧いてくる。
だが、彼らが生き延びるために「より弱者」を騙し、搾取した罪は、許されるようなことではない。
とはいえ、ここまで苛烈な報いが必要なのか?
因果応報、自業自得の末なので、決してかわいそうとは思わないものの、同情の余地のみがあった。
そういう、引き込まれるほどのリアリティが詰まった創作だった(リアルであるかはわからないが)。
本作から学べることは、若い人には「安易な道に行かないこと」、年寄りには「お前たちの考える貧困や我儘とは違う地獄が世の中にはあるよ」ということかな。
鯵の煮付け
ドブの中で踠く鯵たち
胸が苦しく、余韻が長引く…。目ん玉の件、病院が先では?
闇の世界の中で生きざるを得なかった若者たちが、それでも「生き直す」道を探そうとする映画です。
作品にはとても厳しい描写も多く、正直、私は観ていて胸が苦しくなる場面もありました。現実の重さや、人の弱さがあまりにも生々しくて、少ししんどかったです。
それでも、登場人物たちが見せるささやかな優しさや、誰かを思う気持ちには救われる瞬間がありました。
闇の中にいても、わずかに差し込む光を信じたい-そんな想いが静かに心に残ります。
決して軽い気持ちでは観られない作品ですが、だからこそ、人が愚かであることの中にも希望を見つけられるような、深い余韻のある映画でした。
観終えたあと、描写の気持ち悪さを引きずりつつ、自分の中の「弱さ」や「優しさ」について、そっと考えさせてくれる一作です。
目ん玉の件。病院に先に行ってほしいものです…。
弱者男性からの搾取
日本の映画で裏社会とか貧困を描くと、どうしても弱者として扱われ、搾取されるのは女性になりがちだが、本作では社会的な弱者に陥った男性たちが、抜けられない搾取の連鎖の中でもがく姿が表現されている。
かなり後半まで地獄なので、ずっとムナクソが悪いが、最後に一時の光明が差す。
しかし、その時間は長く続かない。
そんな空虚な一瞬だからこそ、今という瞬間が尊く愛おしい。
歌舞伎町や都庁といった、「東京」を象徴する場所を背景にして、この国の首都は、まだまだそこに暮らす人々にとっての「後進国」であることを忘れてはいけない。…
そんな映画。
まずは主役の男性3人の好演。山下美月も良い。
しかし、本作で唯一の「太陽」、木南晴夏のパワーときたら。
『悪い夏』では弱者女性の「陰」の部分をほぼ独りで背負っていた彼女。
スーパー前で登場した後、ほぼ電話での声しか出て来ないのに、スクリーン内どころかスクリーン越しにそのポジティブなオーラが広がる。
「彼女は無事であってくれ!」
そう思わずにはいられない。
いわゆる戸籍ビジネスの暗部をかなり詳細に見せてくれたノワールサスペンスとしては途中でダレる時間もなくテンボも早いが、お話全体の構図は先日の『ホウセンカ』にも似ていて、それほど目新しいとは思えず、役者たちの良さが引っ張っている印象になっているのが惜しい。
最後の「え?あの人!」も良かったよね。
壮絶すぎた
闇バイトに手を出してしまった若者が足を洗う話だと思ってたら、全然違うどころか、さらに過酷だった。
そういえば若い頃、何やったのか、戸籍売ったかも知らないけど、死んだことになってる知り合いがいたことを思い出した。
全部金歯という気持ち悪いビジュアルのジョージと、怖いけど妙に小物感が漂う佐藤から如何にして逃げ切るのか、映画と分かっているのに気が気でない。
かなり衝撃的なシーンもあるから、容易にオススメはし難い。
あれで生きていられるのが逆にすごい。
終盤、前田さんの再登場と正体には驚いた。
矢本悠馬さんだと、あとあと絡んでくるだろうと想像つくけど松浦祐也さんは、重要な役からワンシーンだけまでいろいろ出てるから、予想しづらい絶妙なキャスティング。
しかしなんといってもマモル役の林裕太くんが素晴らしかった。
魚を食べる、ふとした瞬間のワンシーンで、マモルがどう生きてきたのか分からせてしまう、根性焼きと怯えの表情。
そしてタクヤがなんとか守ろうと思わせる、圧倒的な弟感。
『HAPPYEND』の5人組の1人だったのね。
ふた通りの結末が想像できる終わり方も好き。
マイナス0.5は、あんな描写があるとは聞いてない。
上映時間短くはないけど、薄めの展開でした
原作は読まずに見てきました。特殊詐欺やネットで募集する強盗のような、今どきの闇バイトの話かと思いきや、戸籍売買や臓器取引などある意味古典的な犯罪で、ちょっと拍子抜け。他の半グレグループとの構想とか、小説ではもっと広がりがあるのかもしれません。
鬱々とした空気を纏う最高級のエンタメ作品!
闇社会で生きる愚か者たち
闇世界に身を置かざるを得なかった若者たちの話しですが、説教臭くなくて、ハラハラドキドキの面白さと暴力や疾走感が混在するエンタメ作品だと感じました
大満足です!
観たあとに様々なインタビューを読み、もう一度確かめたい、と思えるシーンがあるほどです
社会問題×エンタメ
闇から抜ける困難、諦めながら生きていくしかないことの残酷、現実世界の鬱々とした空気は纏っていますが、脚本にはエンタメに大きく振れる養分が散りばめられているので、「楽しめる」要素がたくさんあります!
セリフにも映像にもこだわりが感じられる骨太な作りなのに押し付けがましさ皆無の稀有な作品、社会性ある内容なので多くの人に伝わればと思います
楽しめるポイント
闇社会の鬱々とした世界を描きつつも、ブラックジョークにも思えるセリフ、展開、いちかばちかの逃亡劇、暴力、見応えあるアクション、逃亡先でのふたり、そうだったのかぁーの刑事登場!
他にも隠された要素があるかもですが、細かく散りばめられたセリフや映像がラストに向かって繋がっていく流れは爽快でした
悪3人の描き方や激しいアクション含め、エンタメ要素が盛りだくさんな脚本には楽しめるポイントがたくさんあります
だからといって、
大雑把な作りなのかと言えばそうではなくて、セリフ、映像、心を鷲掴みにされるシーンがたくさんありました
たとえば食事のシーン、
過去映像で多く語らずとも、マモル、タクヤの育ってきた家庭環境、梶谷がどんな人間なのかが伝わるのです
心に残るセリフや思い出しても泣けてくるシーンがあります
細部にこだわるディテール、リアリティと緊張感を追求する演出、美術、特殊メイク、全てが合わさって素晴らしかったです
最後に
永田琴監督の視点、役者への繊細な演出、優しい視線や呼吸、大胆で残酷なカット、多様な要素を混ぜて合わせて組み立てての怒涛の130分!生きるパワーを受け取る感覚もあり"逃げろマモル"って気持ちで迎えるラスト
ラストのマモルの表情が何を物語っているのかは、観る人に委ねられているんだと思う
許される生き方ができてやり直せる未来があると信じたい!けれど、マモルの表情には孤独と不安が見て取れて、簡単には変われない未来を暗示しているように感じた
選択を誤り闇の世界を生きた代償はあまりにも大きい
北村匠海さん林裕太さん綾野剛さん
3人が素晴らしいのは言うまでもありません!
配役がこの3人で良かったと心から思える映像作品でした
この3人だから最高でした!
ぜひ3人のこと映画館で見届けてください
エグいけどギリギリ救いがあった
前日にミーツザワールドを見ていてそれとの対比もおもしろいです。こちら方がハラハラドキドキする展開にいてもたってもいられないのとおもわず目をそむけたくなるようなエグいシーンもあるのでインパクトがありました。
北村匠海は朝の連ドラ「あんぱん」で優しいけどちょっと頼りない役をやっていましたがこの映画では戸籍売買に手慣れた裏社会の輩を演じていてハードなシーンもあり幅広な演技がなかなかよかったです。
この映画に登場する人物はみんな「事情」を背負っていて自分のせいだけではないある種不可抗力的にこの世界に関わっている人たちで悪いことをしているんですが同情するところがあって切なさを感じます。後半の展開はとにかくエグいです。裏社会の残酷さはわかるのですが映画館の巨大スクリーンで見るとおぞましさ倍増で気分が悪くなるほどでした。後半はスピード感があるのであっという間にエンディングです。そこではとにかくこの人たちを救ってほしい気持ちで気もそぞろでした。私はなんとも後味が悪かったですがギリで救いがあるのがよかったかな。あのアジの煮込みは格別においしそうでしたね。
朝新宿の駅を降りて映画館まで歩くと酔いつぶれたのか帰る場所がないのか若者が地下道の角でぐったり座り込んでいるのをたくさん見かけました。その姿とこの映画を重ね合わせてみると座り込んでる若者にも何か背負ってるものがあるのかなと思えてきました。新宿はそんな人も映画に出てきたような居場所のない人、金に困った人も、良いも悪いもすべて呑み込んでくれる、受け入れてくれる街だなとしみじみ思うのでした。前日に見たミーツザワールドも同じものを感じます。見終わった後歌舞伎町の街をぶらぶらしてみました。日曜昼ということもあって観光目当ての人でごたごたしていましたがなんか楽しそうでいいなと思いました。新宿は懐が深い。ミーツザワールドとこの映画は是非新宿で見てほしいです。
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