「「お前も一緒に来い」は恐い」愚か者の身分 hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)
「お前も一緒に来い」は恐い
劇中のセリフ「お前も一緒に来い」というワードは、本当に怖いです。言われて断れず、ついて行ったが最後、見なくていいことを見て、聞かなくていいことを聞いて、最後はやりたくないことをやらされる羽目になる。そしてやり終わった後に「また連絡する」と告げられ、逃げられなくなる。これって闇ビジネスだけじゃなく、真っ当な会社でも同じ流れがありますね。立場の弱い人間は、流れの前は断りにくく、流れた後は逃げられない。これに(金がもっと欲しい)という心理状態が加われば、たちまち「闇はあなたのすぐそばに」です。
この映画を観に行くのは少しためらいました。どうしようもなくキツくてリアルな話だったら、嫌な気持ちしか残らないのではと。ところが、闇の世界の末端者タクヤ(演:北村匠海)とマモル(演:林裕太)の、闇バイトしながらも、魚の煮つけを作って食べたり、飲んでヤンチャに遊んだりと、都会で暮らす若者となんら変わらない姿が描かれ、更にタクヤの過去経緯や二人の出会いがバランス良く回想されていく演出に、短い時間で一気に二人を応援…とは言えませんが、親近感が湧きます。中盤以降は怖い世界(目玉を抜かれて脳感染死しないのでしょうか?)に陥っていきますが、おそらく由衣夏(演:木南晴夏)のパック牛乳な存在が闇を抜け出すきっかけとなった梶谷(演:綾野剛)も含め、最後に三人が見せた「善」と「兄弟愛」に心は熱くなり、ビビらずに観に行って良かったです。
ラストに悪組織の検挙と、オトリ捜査だったのかと思わせる(ですよね?)轟の再登場でタクヤと梶田は捕まるのかもしれませんが、闇を抜け出せそうで良かったなと。マモルはホントにかわいい弟分でした。林裕太さんの絶妙な演技に拍手です。
