「新宿歌舞伎町でのロケシーンが素晴らしい。マモル役の林裕太が、無茶苦茶いい。 多分、今年の助演男優賞を総ナメすると思う。」愚か者の身分 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
新宿歌舞伎町でのロケシーンが素晴らしい。マモル役の林裕太が、無茶苦茶いい。 多分、今年の助演男優賞を総ナメすると思う。
評判がとてもいいので気になり、見てきました。
悪くはないんだけど…。
いい点は、何点かある。
まず、シナリオがいい。3人の登場人物ごとに描くことで、立体的な深みが出た。
今年の脚色賞は、「国宝」かこのシナリオだと思う。(日本はオリジナルと脚色を分けていないが、今年、原作ものをうまく脚色したのは、この2作だと思う)
新宿歌舞伎町でのロケシーンが素晴らしい。
松本タクヤ(北村匠海)と柿崎マモル(林裕太)つるんで歩いているシーンが、生き生きとしていた。やはり実際の場所での演技、映像は、臨場感があり、とても魅力的な映像になる。
役者では、柿崎マモル役の林裕太が、無茶苦茶いい。
リアルで切なくて、可愛さがある。多分、今年の助演男優賞を総ナメすると思う。(彼を見ているだけで泣けてくる)
北村匠海は細かい演技で、セリフで語らない微妙なところを表情でうまく表していた。綾野剛は、どことなく面倒臭そうな表情をしながら、助けるところなど相変わらず良かったし。
女優陣も山下美月が出番は少ないけど良かった。木南晴夏が可愛いくてあったかい関西女を演じていた。彼女も出番はほとんどないが、電話の声が良くて、これも泣かせる。
擬闘(アクションシーン)も痛そうな演出で良かった。(話は違うが、「国宝」の擬闘は酷かった。なんでそこを手を抜くかと思うぐらい)
初めて見た監督(永田琴)だが、映像で端的に表すのが上手い監督だと思った。
北村匠海(松本タクヤ)と柿崎マモル(林裕太)は、疑似兄弟的な関係で、いつもつるんでいる。で、柿崎マモルは虐待の過去があることがそぶりでわかる。そのそぶりがまるで野良猫のよう。セリフでなく、映像で語ろうと意識した演出で、好感が持てる。あの新宿歌舞伎町の躍動感のある映像は、そんなところがうまく出たと思う。
ただこの監督は、テレビドラマ的な演出で、ある意味平坦な、あまり深みがないように感じる。
それに映画全体のチープ感が気になる。設定自体のチープさではなく、撮り方や制作上のチープ感というか。新宿のロケ以外は、あまり臨場感がなく、テレビドラマかVシネマのような平板さを感じた。演出力の不足なのかもしれないが、節約感が画面から出ている気がする。
ラスト近くの北村匠海と綾野剛との鯵の煮付けのシーンもこの映画の肝のシーンなのに、なんであそこでカットを割るのかわからない。もっとじっくりと撮れば、素晴らしいシーンになったと思う。
ただ、ラストシーンのマモル(林裕太)の表情で唐突に終わる演出は、キレが良く、結果的に素晴らしい余韻になった。
あのラストは、マモルが、何千万の金より、パチンコで儲けた2万円でタクヤに焼肉を奢った頃が一番幸せだったと言っているように感じた。
期待しただけに、辛口になったが、とても切ないいい映画でした。
わたしも、マモルは、
〉パチンコで儲けた2万円でタクヤに焼肉を奢ったころが
〉一番幸せだったと言ってるように感じた。
切ないラストでしたね。
2千万貰って、途方に暮れているように見えました。
mac-inさま
共感ありがとうございます🙂
この映画はキャストと脚本家で観に行くと決めていたのですが、釜山で受賞した時はびっくりでした。
日本の映画賞に「脚色賞」が無いのは、「小説家は文壇の先生」だけど「脚本家はライター」みたいな扱いだからなのかな、と思います。
マモル役の林裕太さんは、この作品で唯一オーディションで選ばれたそうですが、見事に期待に応えてました。
グロ耐性ゼロの私がギリOKだったのは、女性監督と女性原作者の、母性のような包容力を感じたからだと思います。
「賢者の贈り物」のようなラストと、エンディングの「人間讃歌」に泣きました🥲
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。



