劇場公開日 2025年10月24日

「完成度の高い良作」愚か者の身分 uchouten_Fuuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 完成度の高い良作

2025年11月2日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

半年くらい前からずっと見たかった映画。
原作未読だったのでもっとハードボイルドよりだと勝手に思ってたんですが、裏社会ものというより社会派ヒューマンドラマでしたね。

まず主演3名の演技は大変素晴らしかったです。
特に林さんはあそこまでナチュラルにピュアネスを体現できるってすごいなと。素朴な印象ですが表情や仕草が絵になります。
北村さんは目の表情が印象的だったんですが、それ以外の素晴らしさが色んな意味で伝わりましたし、綾野さんは言わずもがなでした。

構成もよく考えられていて、三者三様の視点から見ることで細かい疑問が解消されたり、集中してずっと口開けて見てた気がします。(隣の人のポップコーンも全然減ってなかった)
言葉での説明は最小限で、映像で背景や経緯が伝わる演出も良かったし、構図も印象的で綺麗でした。

あえて言えば終盤の展開はややご都合主義的な印象もありましたが、全体的に寓話的というかメタファーが効いていた気がしたので、多少のファンタジー要素もむしろ余韻に繋がった気がします。

作中はずっと雨や曇り、夜のシーンが多いんですが、それだけに最後のシーンが印象的でした。
やったことの責任はとらなければならないとしても、やっと何かから解放されて、青空が見えたということなのかなとも。

余談ですが、序盤のシーンでおそらく壁に貼ってあった(気のする)「TRAVIS」というステッカーでバンドのトラヴィスを思い出したんですが、『The man who』というアルバムの曲が本作とリンクする気がして、それもあって妙に切ない気分になったのかもしれないと思ったり。

いずれにしても色々と考えさせられる作品でした。
多少のショッキングなシーンに耐えられる人であればおすすめです。

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uchouten_Fuu
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