「フィクションなのにドキュメンタリーに見えてくる作品。闇の世界に落ちた三人が、それぞれの方法で闇から這い上がろうと足搔くが、それらはやがて一本の線に繋がっていく。」愚か者の身分 おつろくさんの映画レビュー(感想・評価)
フィクションなのにドキュメンタリーに見えてくる作品。闇の世界に落ちた三人が、それぞれの方法で闇から這い上がろうと足搔くが、それらはやがて一本の線に繋がっていく。
アバンがなく、すぐに縦書きのタイトルが出てくる始まり方は、昭和のヤクザ映画を彷彿とさせましたね。街の愚か者タクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)がじゃれあっている。一見楽しそうだけど一般人は絶対に近付かない夜の風景。ここからドンドン闇社会の残酷さが暴かれていきます。
マッチングアプリでカモを釣り上げて希沙良(山下美月)に陰で指示を出しながら戸籍の売買という最悪の方向に誘導するシノギの手口。実はタクヤ自身も戸籍を売っているという事実からも、本音ではこのシノギで不幸になる人を作りたくない、自分も闇ビジネスから脱出したいという気持ちが演技の細かいところから垣間見えます。
ここからはタクヤの個人視点で話しが進みます。巨大な闇ビジネスの後ろ盾は、当然一つや二つだけであるはずもなく、シノギの奪い合いの現場を目にしたある意味賢いタクヤは、脱出の準備を梶谷(綾野剛)と進めていきます。梶谷の車の後ろに積んであるキャスターバッグに自分が詰め込まれることになるとは知らずに・・・
そしてマモルのターン。上記の光景を目撃してしまったマモルは、タクヤの前に立ちはだかって何をしていたか詰問しますが、それには答えないタクヤ。「物事は知らない、知ろうとしない方が良いんだよ」という佐藤の言葉がここで効いて来ます。マモルが真実を知ったのは、タクヤの目玉が無くなった後なんですけどね。
梶谷は当初計画通りにタクヤを内藤病院に運ぶことを考えていますが、途中で休憩をしたり恋人の由衣夏(木南晴夏)とスマホで会話しているうちに気が変わります。「そうだ、俺も闇から脱出しよう」と。ここから梶谷とタクヤの逃走劇が始まりますが、GPSを車に取り付けられていたり恐ろしいシーンが連続しますが、梶谷が唯依夏に準備させていたことが功を奏して西宮に逃げ延びます。
西宮の生活で二人は鰺の煮つけを食べますが、そういえばタクヤの部屋を掃除し終わった後のマモルも冷凍した鰺を欲しがっていたな、と思い出したところでの答え合わせが秀逸でしたね。タクヤが江川に託した生存証明メール、星印の封筒の中身がマモルに届いたときタクヤの計画の全貌が明らかになったのは圧巻でしたね。マモルも希沙良のメールでピンチを回避できたし。
フライヤーの写真みたいに三人が肩を組んで笑いあうシーンはありませんでしたが。三人が闇社会から遠いどこかで繋がって、いつか笑って再会できる未来を期待させる作品でした。
コメントありがとうございます。
家から一番近い都会が新宿なんだけど、親近感は沸きません。むしろ池袋の方が親しいです。駅前のタカセは昔から大好き。
生まれた時からきっつい身分制度で将来は「愚か者」に固定されていたようなタクヤとマモル、どうできたんだろうかと思うんだけど延々言葉が出ません。
おつろくさん、コメントありがとうございます♪
確かにドキュメンタリーっぽいところもありますね〜
闇に落ちそうになってる人に是非、観てもらいたいです。
だけど、そうゆう人はだいたい映画は観ないんだろうな、。
★共感ボタン&コメントありがとうございます。
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『月一でトー横界隈の若者を観察』されているのであれば、私より遙かに本作をリアルに感じられたことと思います。また、仰る通りで、本作から伝わる怖さは教育映画になり得ますね。
そうそう、フライヤーのような3人の姿は見ませんでしたよね。
いい絵なんですが。
私は歌舞伎町絡まれたことが一度もなく。
昨日も今日これからまたtoho新宿行ってきますー
皆んなから私は見えてないのかも(笑)
コメントありがとうございます♪
ラストは、哀しい予感・・・
本当に幸せになってほしいです。
香港ノワールより、韓流ヤクザ映画の方が、
ずっと怖いですよね。
(韓国映画はあんまり観ません)
おつろくさん、コメントどうもありがとうございます。
それぞれを見せる順番も良くて、どんどん引き込まれていって、予想外の展開にもなって、面白かったですね😊
おつろくさま
共感ありがとうございます🙂
グロ耐性ゼロの私がギリOKだったのは、女性監督と女性原作者の、母性のような包容力を感じたからだと思います。
最後の刑事がパパ活焼肉の囮捜査官だったのは、最高の伏線回収でした。
「賢者の贈り物」のようなラストと、エンディングの「人間讃歌」に泣きました🥲













