「闇の中にも“救い”がある——北村匠海×林裕太が魅せる青春クライムドラマ」愚か者の身分 leoさんの映画レビュー(感想・評価)
闇の中にも“救い”がある——北村匠海×林裕太が魅せる青春クライムドラマ
杉咲花の『ミーツ・ザ・ワールド』とどちらを観ようか最後まで迷ったが、上映時間の関係で『愚か者の身分』を選んだ。だが、今ではこの選択を悔やむ理由はない。
(※ネタバレ注意)
本作をざっくり言えば、映画や漫画の『闇金ウシジマくん』の一編のような世界観。
半グレたちによる暴力や、登場人物が精神的に追い詰められる場面も多いが、不思議と物語には“救い”が感じられる。それは、監督独自の演出なのかもしれない。
例えば、半グレの金を奪ったタクヤ(北村匠海)の知人であるパパ活女子・希沙良(山下美月)や、タクヤを逃がした梶谷剣士(綾野剛)の恋人・由衣夏(木南晴夏)など、女性キャラクターが理不尽な暴力に巻き込まれない点は印象的。
物語の中で「弱者に徹底して残酷でない」というバランスが保たれているのが、本作の魅力の一つかもしれない。
また、タクヤが両目を失う衝撃的な展開(生きながら両目を取られる)もありながら、激痛に七転八倒するのかと思えばそうでもなく、大丈夫?と思う描写もあった。
しかし、エンドロールには公益社団法人「日本眼科医会」の医師たちの名前がクレジットされており、描写のリアリティには問題ないのだろう。
冒頭からラストまでテンポよく、最後まで飽きずに観られる作品だった。
特にマモル(林裕太)の演技は悲壮感と切なさが共存しており、観る者の心を掴む。
骨太な社会派ドラマというよりも、「道を踏み外した先にはこういう現実が待っている」と、静かに語りかけるような映画。
過酷な状況の中にも、どこか人間らしい温度を感じさせる一作だった。
と、思ったら監督は永田琴監督で女性でした。
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