劇場公開日 2025年10月24日

「現代にもがき続ける若者たち」愚か者の身分 さくらんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 現代にもがき続ける若者たち

2025年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

途中観ているのが苦しくなってしまう作品だった
これからも彼らには挫折や困難がたくさん待ち受けていると思うけどささやかな光が差していると信じたい

とにかくキャスティングが素晴らしかった。
マモルは林裕太くんにしかあの初々しさやピュアで汚れてない感じは出せなかったと思うし、あの3人が関係性が素敵だった。

タクヤは病気でなくなってしまった弟とマモルを重ねていて自分が闇バイトに誘ってしまったという罪悪感もあり、どうにかこの仕事から抜け出して、生きてほしいと願う
同じように、梶谷もタクヤを裏の世界の仕事へ導いてしまった自分を慕ってくるかわいい弟のような気持ちだったのだろう。
北村拓海演じるタクヤは「あんぱん」でヤナイタカシだった彼とは、真逆の役でしたが、あの壮絶なシーンも車内で自分の状態に気づいた時の迫真の演技は言葉にならなかった

悪に染まった半グレ集団の彼らとの境界線は、まだ他人のことを思いやる気持ち、大事にしたいという人としての温かみが感じられるか、られないかだ
マモルの箸の持ち方、魚の食べ方、行動にも彼の生い立ちが伺える。教わっていない箸の持ち方、手を振り上げれば殴られると避けてしまう。細かい所作にも拘っていて、それが自然と表現できていたのは、林くんがこの役を自分のものにしていたということでしょうね

梶谷演じる綾野剛も人を騙して底辺な生き方をしていても、まだ人間として腐りきってなくて、自分も酷い目に合うことはわかっていながらも、寸での所でタクヤを助けて逃亡するという、そこからのあの印象深いワゴニアでのロードムービー風の逃亡劇もなんだか梶谷の優しさが溢れていて、2人の時間がとても愛おしく感じた。
役を演じていても、きっと役者自身の素の部分って出てるのかなって思って、タバコの吸い殻を拾ったり、消えていない吸い殻を消したり、綾野剛さんの人柄を感じてしまった

また、大好きな信頼できる誰かと一緒にご飯を食べる事
それって、当たり前だけどとても大切で、幸せで、心温まることなんだなと思った
そして、若者を育てる親として、親は子に何を与え、子は親から何を受けとっているのか、子供に安心できる場所、ここに居ていいんだと思える場所を作ってあげられているのか
そんなことを考えてしまう作品でもあった。

追記
これだけは言っておきたかったあと二つ
ワンシーン、その後声のみの出演でしたが、木南晴夏さんの存在感はあっけらかんとしてて、それでいて肝が座ってるというとても素敵な役でした。
それから、綾野剛さんの肉体美、しっかりとご覧になってください。

さくらん
琥珀糖さんのコメント
2025年10月28日

共感ありがとうございます。

現代らしい闇ビジネスに加担する若者の
生態や現実を描いていますが、とても刺さりました。
ささやかな幸せを願っています。

琥珀糖
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