劇場公開日 2025年10月24日

「闇でもがいて落ちる「闇」」愚か者の身分 ちっちゃなきょゥじんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 闇でもがいて落ちる「闇」

2025年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

 無知故に地獄にハマった愚か者が、無知な他人をハメて地獄に引き摺り込む負の連鎖。飄々と裏社会を泳ぐ主人公が下した決意が、悲劇のドミノを倒してしまう。
 正直、どの主要人物も共感できない。それでも、タクヤを体現した北村匠海の表現力には感服した。タクヤは多面的な人物で、身内を思い遣る優しさの一方で、素人をカモにし仲間も裏切る冷徹さも共存する。その二面性もタクヤの中では矛盾がなく、身内を守る為なら他人を犠牲にしても構わないと割り切る、本質的な愚かさがある。そんな主人公を違和感なく自然に「生きた」匠海さんに凄みさえ感じた。特に、落ちてしまった奈落の「闇」に気づいた瞬間の、のたうちながら発した「慟哭」は胸に刺さった。
 デートには向いてないが、中盤に起きるショッキングな展開で高まる緊迫感は、サスペンスとしても秀逸。彼等ほどの愚か者には陥らぬよう、自身を律したい。

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ちっちゃなきょゥじん
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