「怖さが良く伝わって来る」愚か者の身分 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
怖さが良く伝わって来る
予告編から楽しい作品ではないことは予想できたが、キャスティングに期待して観賞。
【物語】
闇ビジネスで生活しているタクヤ(北村匠海)と弟分のマモル(林裕太)。彼らの仕事はSNSを使って生活に困窮し、現在身の上に絶望している男を探し出し、戸籍売却を持ちかけて買い取り、他人の戸籍が欲しい人間に高値で売り付ける商売だった。
そんな世界に暮らしながらもごく普通の若者である二人はいつかそこから抜け出したいと思っていた。あるとき、自分を闇ビジネスの世界に誘った兄貴分の梶谷(綾野剛)の力を借りて、タクヤはその世界からの脱出を実行に移そうとしていたが・・・
【感想】
予告編から想像した以上に怖い作品だった。
まず、脚本が良く出来ている。構成、ストーリー展開、会話に破綻が無く自然。闇社会がリアルに感じられたし、だからこそ中盤の“怖いシーン”がビシビシ伝わって来た。
役者もいい。
北村匠海、綾野剛は期待通りというところだがマモル役の林裕太も良かった。 (記憶の中では)初めて観た役者だが、ブレイク前の菅田将暉を“そこのみにて光輝く”で観たときのことを思い出した。このときの菅田は主人公演じる綾野剛を兄貴分として慕う“愚か者”だったのだけど、そのリアルさに感心し、印象に残った。それに近いものが有った。
ただ、本作の唯一の不満はタクヤが負った“怪我”のその後の扱い、そこだけはリアリティーを欠いた。あの“怪我”が素人手当で済むわけがない。あそこだけは筋書きをひと工夫して欲しかった。この手の作品だと信頼できる闇医者に担ぎ込むのが常套手段だが、ありきたりでもその方がずっとリアリティーを確保できた。
全体としては、刺さるものがあり良かったと思う。
今どきの闇バイトに興味を持ってしまった若者に、この世界に落ちてしまう前に観て欲しい作品。
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