「ドブの中で踠く鯵たち」愚か者の身分 Sさんの映画レビュー(感想・評価)
ドブの中で踠く鯵たち
「愚か者の身分」は、どうすれば救われるのだろう。開幕、タクヤがマモルをドブの中に入らせる(=悪事に引き摺り込む)無邪気さが哀しい。「おばあちゃんが作ってくれた」「ドブでも獲れるらしい」と話していた鯵がキーとなり、闇ビジネスから足を洗った二人。タクヤは梶谷という信頼できる大人に煮付けを振る舞い、マモルは背負っていた札束を下ろして澄んだ海を眺める場面で幕が閉じたのは、美しい伏線回収だった。自然なのに示唆に富んだセリフや演技が多く、その一瞬のために見返したくなる。映画は一縷の希望を見せて終わるが、私たちの日常と紙一重にある闇が鑑賞後も心に巣食い続ける。
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