劇場公開日 2025年10月24日

「ドブの中で踠く鯵たち」愚か者の身分 Sさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 ドブの中で踠く鯵たち

Sさん
2025年10月26日
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鑑賞方法:映画館

「愚か者の身分」は、どうすれば救われるのだろう。開幕、タクヤがマモルをドブの中に入らせる(=悪事に引き摺り込む)無邪気さが哀しい。「おばあちゃんが作ってくれた」「ドブでも獲れるらしい」と話していた鯵がキーとなり、闇ビジネスから足を洗った二人。タクヤは梶谷という信頼できる大人に煮付けを振る舞い、マモルは背負っていた札束を下ろして澄んだ海を眺める場面で幕が閉じたのは、美しい伏線回収だった。自然なのに示唆に富んだセリフや演技が多く、その一瞬のために見返したくなる。映画は一縷の希望を見せて終わるが、私たちの日常と紙一重にある闇が鑑賞後も心に巣食い続ける。

S
Sさんのコメント
2025年10月30日

追伸
「愚か者の疾走」で思い出したのですが、重松清『疾走』という小説も、闇社会に翻弄される青年を描いた救いのない話でおすすめです。読中ずっと水中にいるような息苦しさが味わえます。ぜひ。

S
Sさんのコメント
2025年10月30日

ひな様
拙投稿にコメントありがとうございます。
最後の刑事……見逃してしまったので再観賞しなければ!
「賢者の贈り物」とは言い得て妙ですね。あれだけのものを犠牲にして得たものが金というのも皮肉ですが。「人生讃歌」がまだ救いでした。
続編とは、知りませんでした!ありがとうございます!

S
ひなさんのコメント
2025年10月29日

Sさま、初めまして🙂

最後の刑事がパパ活焼肉の囮捜査官だったのは、最高の伏線回収でした。

「賢者の贈り物」のようなラストと、エンディングの「人間讃歌」に泣きました🥲

原作は3人の3年後を書いた続編「愚か者の疾走」が、11月11日に出版されます🫡

ひな