「日本の遠くもない現状がささる」愚か者の身分 alvoさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の遠くもない現状がささる
少し重そうだなくらいに思ってたけど、主演三人が絶賛されているのでみてみた。ショッキングな映像にはびっくりしたが、本当に良かった。
家庭環境に恵まれなかったばかりに家を飛び出して、3度の飯と雨風凌ぐために犯罪に手を貸し、抜けられなくなり悲惨な目にもあっていく。改めてそうならずに済んだ自分の境遇にも感謝した。
最後はちょっと上手くいきすぎな気もしたし、マモルが果たしてあのお金を抱えてまともに生きられるのか?タクヤはあれでどう生きていくのか?梶谷が一生面倒見るのか?最後警察に捕まらないように、とつい願ってしまったがそもそも罪を償わなくてはいけないはずで、きっとこの先も順風満帆とはいかないんだろう。なんで捕まるところまで描かなかったのかは知りたい。。
戸籍を売るということ、2年くらいで帰ってくるという理論もよくわからないが、住民票が取れなくなる、家が借りられなくなる、銀行口座を作れない、偽造の免許証だけあって一体何ができるのだろう。腎臓を売るより軽く感じてしまうのだろうか。150万くらい?自分の存在を捨てるには安すぎる。でもそんな人がたくさん世の中にはいるんだね。
北村匠海はほんと出来杉くん、家族や人との繋がりを大切にして、美しい言葉を紡ぎ、音楽と俳優を両立する。頭も良さそう。それが今回の役に今までになく合ってる気がした。ヤンチャながら優しくて、落ち着いていて、家族のために裏の世界に入ったが悪くなりきれないタクヤにピッタリだった。
そして林勇太くんのマモルもあまりにピュアで心を打った。暴力のトラウマを抱える中で兄貴分に懐き、裏切られ、現実を知っていく。あとの二人に囲まれて見劣りしないか?という疑りは払拭されていた。彼が空気を作っていた。
そして綾野剛もすごく良かった。後輩を地獄に運びながら、めんどくせえと連呼しながら後輩を見捨てられない兄貴分、ピッタリだった。
三人揃って釜山で賞とったというのが、内容とは関係ないんだけどなんか見終わったあとちょっと救いに感じる。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
