「あるショッキングなシーンにより内容が頭に入りません」愚か者の身分 セッキーかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
あるショッキングなシーンにより内容が頭に入りません
貧しい家庭で育ったタクヤとマモルは困窮している人間の戸籍を売買することにより生計を立てていた。ところがある時、タクヤは同業者の先輩に裏切られてしまう。そこへタクヤの古くからの仲である梶谷が手を差し伸べる。彼らは裏社会の組織から脱却することはできるのか…。
上映終了後開口一番に出てきたのは、グロすぎるだろ、である。
ネタバレ100%で言う。生きてる人間の眼球をえぐりとるのはショッキングすぎる。そして、アンラッキーなことに、本作はホラーシーンの魅せ方が秀逸である。このダブルパンチを食らい、見事にトラウマを植え付けられてしまった。タクヤの動かない後ろ姿、そこから顔を見る女友達のリアクションは100点満点である。そして、頼むから絶命していてほしい状況で動き出す輸送ケース。眼球が無くなったことに気付いた時のタクヤの反応はこれまた満点なのである。ストーリーも良くできていて、できればそちらに焦点を当てたいが、これらのショッキングシーンは本作のピークと言わざるを得ない。こんなに画面を観るのが辛くなったのは久しぶりである。ホラー系ではないと油断している状況で、不意に立てられた刃物ほど深く突き刺さるものはない。何年か経って本作を思い出した時真っ先に思い浮かぶのはこのシーンだと思う。
本作はPG12となっている。大人が観てもトラウマになるので、年齢制限のことはどうでもいいが、判断能力の低い子どもが観ることで悪影響を受ける点が3点考えられる。
まず1点目は、上記の通りとんでもないグロテスクなシーンがあること。2点目は、裏社会の詐欺行為を知ってしまうこと。3点目は、詐欺行為をしている主人公達をヒーローのように描いてしまっていることである。主に3点目が問題のように感じる。本作は裏切った人間が逮捕されハッピーエンドのように終わるが、これは間違っている。タクヤ達も罪を償うべきである。同組内の裏切り行為など世間一般の人間からしたら知ったこっちゃない。私は全員が逮捕され更生することが本当のハッピーエンドだと思う。判断能力の低い子ども達が本作を観て、相手のことを思いやれば詐欺をしてもいい、悪いことをしても逃げ切ってその後で反省すればいい、などと思ってしまってはまずい。
色々問題はあるが、ドラマとしての面白さは申し分ない。マモルを助けるタクヤ、タクヤを助ける梶谷、普段は気の弱い梶谷が命懸けでタクヤを助ける決心をした瞬間には胸を打つものがある。
おすすめしたい映画ではあるのだが、知人に何も言わず薦めたら反感を買ってしまいそうである。それくらいの映画であるため、鑑賞する際は心の準備をお願いしたい。
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