「緻密で骨太、余情も残す。闇の中に鮮明に浮び上がる優しさが切ない。」愚か者の身分 ケージさんの映画レビュー(感想・評価)
緻密で骨太、余情も残す。闇の中に鮮明に浮び上がる優しさが切ない。
海外の映画祭で北村匠海、林裕太、綾野剛が受賞したのも納得の素晴らしい演技。
脇を飾る山下美月、矢本悠馬、木南晴夏もしっかり印象を残す好演。
3人の視点から描く構成は多くは無いが使い古されたものと言えるが、決して流行りのトリッキーさを狙ったものでなく、物語をより鮮明に描くもので見事だ。
多くの伏線のようなものがあるが、これも流行りの伏線回収のための伏線でなく、物語に根付いてしっかりと、されどさり気なく描かれ、そしてさり気なくキレイに回収されて向井康介脚本は見事というしかない。
登場人物の心情を決して説明セリフで逃げない永田琴演出も傑出しているし、応えた演技陣も称賛に値する。
あまりにも酷く惨たらしい社会の闇の話なのだが、それ故に主要3人の優しさが鮮明に浮び上がるし、またそれ故に喰い物にされしまう構図が何とも切なく虚しい。
彼らの希望の光を切望する程の感情移入に、作品世界を壊してでもハッピーエンドを望む気持ちにもなるが、当然そんな安易に走る訳もなく、一縷の希望と大いなる不安を見せてのエンディング、心震わすしかない。
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