「あまり深入りしないほうがいいよ。君が足つっこんでいる世界って気が付くと戻れなくなるから。」愚か者の身分 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
あまり深入りしないほうがいいよ。君が足つっこんでいる世界って気が付くと戻れなくなるから。
現実では、とても弁護する気などさらさら起こらない、社会のクズたち。生い立ちに同情の余地はあったとしても、それが犯罪の免罪符になりはしない。そこは分かっているのだが、なぜか、こいつらを応援してしまう気持ちが湧いて来る。可哀想と不憫に思ってしまう。こいつらに食い物にされた人がいるというのに。
やはりそこは、役者陣の腕だろう。
北村匠海が、まさかああ(ネタバレなので書かないが仰天した)なってしまう役を引き受けたのがすごい。綾野剛は、普段からなのかこの役のためなのか、あの身体を作ってきて役を演じきったのがすごい。マモル役の林裕太は、ちょっとした発見だった。今後を追いたくなった。矢本悠馬、この映画ではこれまでと毛色の違う役がハマっていた。それにしてもあの、金歯のボスはなんだ?他を威圧する圧倒的な存在感じゃないか。
そうか、あんなエンディングを迎えながら(しかも匂わせ方も上手かったなあ)も観た後の気分がいいのは、あんなダークな世界に身を落としながらも人の情が通っていたからだろうな。たぶん、堕ちた境遇の仲間を助けることが、せめて助かることのない自分の代りに救われてくれという思いからなんだろう。
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