「裏社会ノワールの傑作。役者が役にハマり過ぎてる幸福!!」愚か者の身分 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
裏社会ノワールの傑作。役者が役にハマり過ぎてる幸福!!
釜山国際映画祭で、北村匠海、林裕太、綾野剛が最優秀俳優賞を
受けたとの報告が9月末にありました。
最優秀俳優賞‼️えっと思いましたが、
この映画を観た今日(10月24日)、
それがいかに正しいかが、心から納得出来たのです。
キャスティングが最高でした。
演じた3人の役へのアプローチが凄すぎる。
私には、配役が当て書きのように3人意外に考えらないほど
ハマり役でした。
ノワール映画の傑作。
映画は前半ちょっと取り留めなく、ヤクザの下っ端の
マモル(林裕太)と、タクヤ(北村匠海)が、
戸籍売買の客に偽免許証を渡したりする様子が描かれたり、
タクヤがマモルとふざけてツルむ様子を3日間の時間経過がバラバラに
描かれます。
ちょっとその描写の意図が分からず、テンポ良く進めたら・・・
とか不満を持ちながら前半は見ていました。
①がマモルの章
②がタクヤの章
③が梶谷剣士(ケンシ)の章
梶谷の綾野剛は前半殆ど出てこなくて、アレレと思ってましたが、
後半は梶谷無くしてこの映画は成立しません。
梶谷はタクヤを闇家業に誘い入れた先輩ヤクザです。
《不穏な出来事》
マモルが兄貴分からタクヤの部屋の掃除を命じられます。
おびただしい血痕の汚れた部屋。
不吉な予感は、想像を超える事件の発生を予告しています。
この辺はネタバレすると映画をこれから観る人の妨げになるので
これ以上は語りません。
タクヤとマモルそして梶谷に生まれていた絆。
それは彼ら達が考える以上に強固な絆だったのです。
弟を病気で亡くしたタクヤのマモルへの想い。
ヤクザ家業から抜け出そうとしていたタクヤ。
それを知る梶谷。
梶谷もまたタクヤへの同情と愛とに、引き裂かれるのです。
とても不幸なストーリーではあります。
愚か者・・・というより、社会からつまはじきにされる
貧しい若者たちへの鎮魂歌。
タクヤの作る鯵の煮付けを食べるシーン。
幸薄いマモルの嬉しそうな顔。
鯵は、実に強力な印象と役目を果たします。
原作の西尾潤さん、
脚本の向井康介さん、
監督の永田琴さん、
この映画に流れるのは弱者への共感と慈しみだと思います。
(付け加えると、戸籍を売る男役の矢本悠馬さんが、
(珍しくシリアスな役でとて存在感を見せていました)
そしてマモルの弱々しく寄る辺がない姿に、
泣かずにはいられませんでした。
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