「3人の生き様」愚か者の身分 MMさんの映画レビュー(感想・評価)
3人の生き様
きっと身近にあるのだろうけれど、交わることのない世界を目の前に突きつけられたように感じた。
前半では、タクヤとマモルが、それぞれに事情を抱えて、闇ビジネスに手を染める様が描かれる。
彼らに他に選択肢はなく、真っ当に生きる道は閉ざされている。印象的なのは、闇ビジネス以外の描写。ごく普通の若者として日々生きる姿が、逆に裏社会を身近なものに感じさせている。
後半では、タクヤと梶谷の逃走劇が展開する。
タクヤが両目を失い、そのことを知って慟哭するシーンは、苦しくて見ていられなかった。そして、それでもこの世界から抜け出せないことを悟っている姿も。梶谷は、タクヤよりも長くこの仕事をしている分、自分の無力さに自覚的であるように見えた。
そんな梶谷に、タクヤを救おう、一緒に逃げようと決意させたのは、タクヤのマモルへの思いを知ったことが一番大きかっただろう。
タクヤはマモルをこの世界に引き摺り込んだことに責任を感じていて、抜け出す時は一緒だと決意している。タクヤにビジネスを持ちかけた梶谷もまた、諦めて蓋をしてきたけれど、同じような気持ちを抱えていたと思う。梶谷の表情や動きの端々にそれを感じて、言葉にしなくても伝わるのがすごいなと思った。
マモルとタクヤ、タクヤと梶谷、それぞれが強い絆で結ばれていて、何もない3人が信じられる、唯一のものなのだと思う。
貧困やそれに付随する犯罪という重い背景はあるものの、ストーリー自体は息もつかせぬ展開で楽しめた。今日を必死に生きる3人の姿は、それぞれ違った見応えがある。
ただ、タクヤの両目は今後ずっと見えないわけだし、抜け出す代償として大きすぎる気がして、観終わった後も引きずってしまう、、
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