「ネタバレなしで観た方が良い作品だけど、ちょっと衝撃的なシーンがあるので要注意かな」愚か者の身分 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレなしで観た方が良い作品だけど、ちょっと衝撃的なシーンがあるので要注意かな
2025.10.24 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(130分、G)
原作は西尾潤の同名小説
闇ビジネスから抜け出そうとする若者を描いたスリラー映画
監督は永田琴
脚本は向井康介
物語の舞台は、東京の歌舞伎町
戸籍売買の仲介人をしているタクヤ(北村匠海)は、シェアハウス時代に知り合ったマモル(林裕太)とともに、女性を装ったラインを送り、パパ活にハマっている希沙良(山下美月)に繋ぐという仕事を行なってきた
借金まみれの人間から戸籍を買い、それを他人に売ることで中抜きをして、それを監視役の佐藤(嶺豪一)に上納する
佐藤は幹部のジョージ(田邊和也)にそれを渡すことで組織の一員として恩恵を受けていた
ある日のこと、佐藤から寝返った仲間がいることを聞いたタクヤは、佐藤の目論見を知ることになる
それは、裏切り者に責任を押し付けて、ジョージが溜め込んでいる金を奪うというものだった
物語は、「柿崎マモル」「松本タクヤ」「梶谷剣士(綾野剛)」という順番で展開され、それぞれが章立てのようになっている
佐藤の計画を知らないマモルの目線で彼らの日常を描き、タクヤの目線にてその経緯を描き、梶谷の視点にて顛末を描くという構成になっていた
序盤で危ない橋を渡っていたタクヤが突如あんなことになって、という展開になり、その全貌が描かれていくのだが、この語り口はうまい構成だと思う
映画は、ヤバい話に巻き込まれてしまったタクヤが何とか組織から抜け出そうとする展開を描き、可能な限りのインテリジェンスを発揮していく
佐藤の金庫番をしていたタクヤがトランクルームに罠を仕掛けるのだが、佐藤はその上を行くことになる
それは劇中で登場した中国人夫婦(顧暁東&わたなべやえこ)にまつわる顛末になっていて、その手伝いをさせられることになった梶谷がタクヤと絡んでいく流れになっていた
バックアップを取るのが彼らのやり口ということで、何重にも逃げ道を塞いでいくあたりがいやらしくもある
映画では、闇ビジネスは危険だよというメッセージも込められているが、それ以上に戸籍売買はヤバいよというメッセージもあったと思う
戸籍がなければ部屋も借りれず生活がままならないのだが、それはこれまで普通に生きてきた人では無理という話でもある
路上生活をするとか、訳ありの物件に住むなどの生活を余儀なくされるのだが、現金を溜め込めば何とかなる世界でもある
だが、2年で返ってくるというのが嘘であり、戸籍を売ったところで自分の過去は変わらないので、そこまで行く前に何とかするしかない
一歩、その道を行けば戻ることはできず、タクヤも梶谷も組織よりも大きなものの力によって、その生涯を潰えることに繋がっていく
映画では、とある顧客の正体が後半で判明するのだが、前半と後半の違いっぷりに驚かされるし、抜群のキャスティングだったと思った
やはり実力のある役者が評価されて重要な役を演じていくというのは長年銀幕を追いかけてきた報酬のようにも思える
いずれにせよ、結構衝撃的なシーンがあるのだが映倫区分は控えめなジャッジで、ファンの人とかビビってしまうように思えた
ロキソニンとムコダインで何とかなるとは思えないが、そこら辺はファンタジーで良いのだと思う
合法的に人生をやり直せるチャンスというのは探せば転がっているものなので、手元にあるスマホで何を調べて、どのように行動するのかはその人次第ということなのだろう
そう言った意味において、情報社会で生きていくための術を学んでおいた方が良いのかもしれません
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