「地獄の3日間は闇を抜ける為の通過儀礼」愚か者の身分 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
地獄の3日間は闇を抜ける為の通過儀礼
クリックして本文を読む
身寄りのない男たちから戸籍売買を行う闇ビジネスを稼業とする3人の若者が辿る、ある3日間。
メイン舞台が歌舞伎町の映画だと、個人的には『新宿インシデント』が印象強いが、どうしてもダーティなイメージがある。以前に比べて夜でも幾分歩きやすくはなったが、手軽に気軽に金を稼ぎたいという若者が吸い寄せられるように集い、中には違法常套な仕事にありつく。戸籍売買の実態、経済格差に伴う貧困層は若者にも及んでいるという日本の実情が生々しく活写されている。PG-12レイティングでは軽いのでは…というショッキングな顛末も含め、3人が直面する3日間は地獄ながらも、それまで染めてきた犯罪のツケを払うとともに、歌舞伎町=闇ビジネスを抜ける為の通過儀礼なのだ。
鑑賞後に原作を読んだが、原作では主要人物5人のところを、映画では3人に絞っている。この取捨選択を良しとするか否かは人それぞれだろうけど、少なくとも観やすさという点では奏功していると思う。あと、映画を観て感じた疑問点は原作である程度補完できた。
キャストに関しては、邦画やドラマを全くと言っていいほど観ないので、3人を演じた俳優も名前でしか知らなかったが総じて良い役者だと思う。とりわけ綾野剛は存在が松田優作とダブった。あとどうしても脇役に目が行ってしまうが、田邊和也や松浦祐也のイイ顔ぶりが最高。
コメントする