「『恋に至る病』にかかる」恋に至る病 なさんの映画レビュー(感想・評価)
『恋に至る病』にかかる
原作読了済。
原作の小学校時代から高校時代までの間の出来事を、本作では映画の尺(とキャスト)の問題で高校時代のみ、しかも1年経たない期間の出来事として描いているので全てが唐突には感じてしまうかも。でも原作での重要なトピックを上手くまとめていたんではないかなと思いました。
主演のお2人、長尾謙杜くんと山田杏奈ちゃんの雰囲気がとてもよく作品に合っていました。2人とも外見は可愛らしいのに、どこか闇や翳りを感じさせるのが上手でした。
長尾謙杜くんは今年4作目の映画出演となりますが、本作では得意な役どころ(?)である内気な性格の役。個人的にはこういった役をやらせれば若手俳優の中では右に出るものはいないんじゃないかと思います(笑)台詞はもちろん、台詞がないところでも瞳や表情で何かを伝えるのがとても上手です。どうしたって景に惹かれてしまう宮嶺の葛藤や純粋な気持ちが伝わってくる演技でした。特に最後の事情聴取を受け、「僕はまだ景のことが好きなんです」と言いながら笑顔を浮かべているシーンは、その純粋な笑顔と言っていることの恐ろしさのギャップに思わず鳥肌が立ちました…。
山田杏奈ちゃんは流石としか言えない、圧巻の演技でした。景の仕草や喋り方がいちいち魅力的で、周りが思わず景に取り込まれてしまうことへの説得力が物凄かったです。一方で、みんなの前での景と宮嶺の前での景とでは印象が少し変わるような、そういったグラデーションの表現もとても上手いなと感じました。宮嶺の前の景は、少し子どもっぽいような、恋する少女のような印象を強く受けました。
ただ、本作では原作と違い、景がブルーモルフォの真のマスターだということが明言されないので、良くも悪くも景の得体の知れなさが増してしまっていて、本作だけ見ると宮嶺と景の関係は"洗脳"であると感じられるのかな〜と思いました。私は原作も読んだ上で"純愛"だと信じたい派です。まあ、純愛だとしても洗脳だとしても、景の宮嶺に対する感情は他の人たちに向けるものとは異なる特別なものだったのではないかなと思っています。
原作と比べると物足りないところがあるのは正直なところですが、主演のお2人、そしてクラスメイトの生徒を演じたキャストの皆さんの素晴らしい演技を堪能できる作品でした!
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。

