「後半のどこかでドロップキックが炸裂するのかなと思ったが、そんなことはなかった」DROP ドロップ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
後半のどこかでドロップキックが炸裂するのかなと思ったが、そんなことはなかった
2025.7.14 字幕 TOHOシネマズ二条
2025年のアメリカ映画(95分、G)
メッセージアプリにて脅迫を受けるシングルマザーを描いたスリラー映画
監督はクリストファー・ランドン
脚本はジリアン・ジェイコブス&クリス・ローチ
原題の『Drop』は映画内で登場するアプリ「Digi DROP」のこと
物語の舞台は、アメリカ・イリノイ州シカゴ
セラピストとして5歳の息子トビー(ジェイコブ・ロビンソン)を育てるバイオレット(メーガン・フェヒー)は、夫ブレイク(Micheal Shea)から暴力的な迫害を受けてきた
今ではシングルマザーとしてトビーと暮らしているが、時折、彼女の夢にブレイクが登場していた
ある日のこと、マッチングアプリで知り合った写真家ヘンリー(ブランドン・スクレナー)と会うことになったバイオレットは、妹のジェン(バイオレット・ビーン)にトビーを預けて、高級レストランの「PALETE」に向かうことになった
「少し遅れる」というメッセージを受けたバイオレットは、レストランのバーカウンターで時間を潰すことになった
そこにブラインドデートの相手だと勘違いした老紳士リチャード(リード・ダイヤモンド)がやってきて、さらに専属ピアニストのフィル(エド・ウィークス)までもやってきてしまう
バーテンダーのカーラ(ガヴリエル・ライアン)は呆れながらも、バイオレットをフォローし、会話を楽しむことになった
物語は、ようやくヘンリーが姿を現すものの、それと同時に「Digi DROP」というアプリにてメッセージが送られる様子が描かれていく
ヘンリーは別のアプリ「Air DROP」を使っていたが、そのアプリは半径15m以内にいる登録者にメッセージを送れるというもので、最初はインタネットミームを使っての冗談のようなものだった
だが、相手は自分のことを知っていて、さらに息子のことや、家に遠隔監視できる監視アプリを入れていることも知っていた
指示通りに家の中を覗くと、そこには覆面をした黒づくめの男がいて、トビーとジェンが危険に晒されていることがわかった
相手の要求はヘンリーのカメラに入っているSDカードを盗むというもので、隙を作ってカメラに手を伸ばしたバイオレットは、そこに市長の不正の証拠などが記録されていることを知ってしまう
なんとかしてSDカードを抜いたバイオレットは、それを持ってレストルームへと向かう
カードを処分したバイオレットは、その場所にもメッセージが送られてくることに気付き、盗聴器があるのではと探りを入れていく
さらに、店中にもカメラがあることに気付いたバイオレットは席を変えることを提案するものの、その行動にも制限がかかり、やむを得ずに指定された場所で次の指示を待つしかなかったのである
映画は、閉鎖的なシチュエーションスリラーで、レストラン内でほとんどが完結する流れとなっていた
このレストランは既存のものではなくすべてスタジオに作られたもので、外観に関してはアイルランドのダブリンにある「The Convention Center」が使われている
アプリ自体は架空のものだが、同じように近距離にいる登録者にメッセージを送信できるものがあるので、そこまで絵空事でもない
ただし、映画のように「その場にいるほとんどの人が入れて登録している」と言うことはほぼないので、かなりファンタジー度合いが高い
物語は、冒頭で示されるように、バイオレットと夫の間で何かしらの出来事があり、そこで夫が死んだことが仄めかされている
彼女が収監されていないことで何らかの判決が下りているのだが、それが何なのかは明示されず、おそらくは事故か自殺で片付けられている
だが、犯人はそのことも知っていて、状況的にはバイオレットが殺したとも考えられ、夫家族が判決に納得しているのかはわからないということを嘯いていた
ぶっちゃけると、状況を楽しむだけの映画で、後半のトンデモ展開もギャグ要素になっている
そのシーンまでほとんど動きを出せなかったゆえの反発のような後半は、カメラワークも凝っていて、それまでの鬱憤が晴れるような内容になっていた
プロット的には一捻り欲しいところだが、これ以上凝るとややこしさが増すと思うので、これぐらいあっさり風味の方が良いのかもしれません
いずれにせよ、作品の世界観に入り込むにはハードルがある感じで、アプリ自体が類似品も含めて日本ではほとんど流通していないことが問題のように思う
FacebookやInstagramなどをインストールしていれば、その場にいる相手にメッセージを送れるみたいなものだが、さすがに危なすぎて利用する人はいないと思う
また、ヘンリーや店員などがバイオレットの異変に気付いているのだが、SOSを仕掛けるネタが少ないようにも思える
犯人に関しては「もう少し捻りなさい」と言わざるを得ないものだが、徐々に「その席に座ったが最後」というのがわかる構成はうまいと思う
だが、犯人がうっかりと口を滑らせるコメディ展開はズッコケ要素で、「毒」の扱いについても「他の犠牲者への効能」を考えると、あの場所でわからないのはおかしいと思う
なので、そのあたりのガバガバさも含めて、笑い飛ばすコメディスリラーだったのかな、と感じた