「3つの時代、3人の戦士、そして3体の宇宙ハンター。」プレデター 最凶頂上決戦 ガッキーさんの映画レビュー(感想・評価)
3つの時代、3人の戦士、そして3体の宇宙ハンター。
1987年のシュワルツェネッガー主演の第1作目以降、「エイリアン」とのクロスオーバー作品を含めて、
これまで7作品も作られた人気シリーズ「プレデター」の、初となるアニメーション映画。
(余談ですが、「ターミネーター」もアニメ化されましたね(「ターミネーター0」))
まず驚かされたのは、このバイオレンス描写です。
「ザ・プレデター」や「プレデター:ザ・プレイ」も強烈な残虐描写でしたが、本作も引けをとっていません。寧ろアニメーションだからこそ、より鮮烈なものを感じました。
とにかく、おびただしいほどの血飛沫だらけで、人間の手、足、首がバッサバッサと斬られまくる様は壮絶でした。
星々をめぐり最強の獲物を探し求めよ
そやつらを仕留めて捕食者の頂点に立て
ヤウージャの書 0522/74
この一文から映画は始まり、様々な時代と国をまたぎ、
生きる時代も国も異なる3人の戦士たちと、プレデターと人類の激闘が描かれます。
それぞれの相手の流儀に合わせた、個性的なプレデターが戦いを挑むのが面白かったですね。
よって、オムニバス形式でストーリーが展開されます。
まず、西暦841年の「盾」の物語。
あるバイキングの母子、ウルサとアンダースタンドの復讐劇。
父エイナルの仇でもあるゾランのいる本拠地に、正々堂々と正面突破で乗り込み、
自身が矢の攻撃を受けても全く怯まず、鬼神の如き特攻をしていく様は圧巻でした。
一部分が欠けた鋭利な盾を武器に使うという、攻守の両方を駆使しての戦法はユニークでしたしたね。
次に、1609年の封建時代の日本の「剣」の物語。
ある武士の兄弟が、後継者争いの中で、宿命の対決が描かれる。
セリフがほぼ皆無で展開されるのが効果的でしたね。
なんと忍者も登場します。
くない、鎖鎌、刀、あらゆる古風な武器が登場し、
舞台となる城の内、外、屋根の上、地上など、場所や空間が目まぐるしく転換しながらの躍動的なバトルは圧巻で、
一進一退の死闘には固唾を飲んで釘付けにさせられました。
一瞬の静寂からの、居合い斬りという、静と動のアクションはめちゃくちゃ格好良かったです。
次に、1942年、第2次世界大戦の北大西洋の「弾」の物語。
戦闘機パイロットのジョン・トーレスの成長が描かれます。
そう。戦闘機ということで、なんと舞台はシリーズ初の空中戦。
肉弾戦、肉弾戦ときて、このテイストのシフトはフレッシュでしたね。
プレデターを相手に、大空を縦横無尽でドッグファイトする臨場感がありました。
トム・クルーズばりの大アクションには失笑しましたが。
ただ、前二つのエピソードに比べると
決してつまらない訳では無いのですが、母子の悲願の復讐や、時代に引き裂かれた兄弟の対決といった、バックボーンの深みがイマイチで、物足りなさを感じました。
ともあれ、これらのエピソードだけでも十二分に面白く、いち作品として成り立っているところを、
それぞれの物語の中で、その一部始終を“見ている”「何者か」の存在。
シリーズファンとしては、もうこの時点で胸の高鳴りが抑えられません。
氷の海で体温をカモフラージュしたり、
姿が透明になる機能を宙に浮く木の葉で見抜いたり、
手裏剣型の爆弾を逆に武器に使ったり、
熱に弱いという弱点を使ったりなど、
プレデターの特性を逆手に取った戦略という、歴代のオマージュもニヤリとさせられました。
盾も、剣も、弾も、プレデターとの激闘の末に大切な人を喪うという悲しみを残しており、
そして最終章では、そんな3人が邂逅し、頂上決戦のバトルロイヤルをさせられるという展開になります。
総評として、
クリフハンガーの幕切れこそモヤモヤしましたが、わずか80分程度の尺でこれだけ楽しませてくれたのですから大満足です。
また、シリーズファンへのサービスもありました。
「プレデター2」、「プレデター:ザ・プレイ」にも登場したピストル、ラファエル・アドリーニ 1715年の登場や。
更にミッドクレジットでは、なんとナル、ハリガン、ダッチの登場という大サプライズまで。
まあ、なんだか無駄に風呂敷を広げすぎな気はしないでもないですが、続編が楽しみです。
